ふう、流石にこれだけ多くの業種を手中に収めるのは骨が折れるわね。ほんと誇大妄想狂か、とんだペテン師ね、あいつは。
「でも、私はスカーレット。私に買収できないものは無い、それこそ祖父の遺産、自分の両親、兄弟、恋人でさえ必要であれば売らせて見せる。
そう、それが裏世界一のM&Aアドバイザ、スカーレットよ!」
「うーん、イマイチね。映画化の際はもう少しCGに凝ってよね。あと、私にこな掛けて来る男優のレベルは考えてね。ハリウッドレベルとまでは言わないけどせめてテレビドラマの主役級じゃないとね。あまり程度が低いと、客に舐めれれるわ。
高いギャラ払っているんだから、そういうとこはプロ根性見せなさい!
女は舐めれれたら、おしまいなのよ!!」
うん、今のは決まったわね。かっこいいエフェクト掛けてね。あと音楽も重要ね、才能のある子を付けなさいね。
「ああ、ごめんなさい。別に自慢じゃないけど、自伝のビデオ撮影よ。
なんか情報あるなら、小出しにしないで教えなさいな。
そう、大陸で大規模な干ばつが予想されるのね、わかった、ありがとう」
「ええ、私よ。小麦を一00万トンオーダーしといて。支払いは、いつものルートでね。あと、解っているでしょうけど、私がオーダーしたなんて噂が一ミリでも出たらアンタの所の未来は無いと思ってね!じゃあ」
「ハイ、なんか良さげな金属が出来そうだって?いいわね、あんたんとこの株一0パーセント買ったげたわ。ふん、まだまだ開発費に金が掛かるんでしょ?見栄張っても駄目よ。研究成果は私に最優先で知らせること、これが安売りしない条件よ。今、株価暴落したらヤバいんでしょ?、じゃ、そういうことで」
「ええ、うちが買い占めたわよ、あんたんとこの株。えっ?いくらで売るかって、そんなけち臭いことしないわよ。宇宙旅行は人類の夢よ。だから、私が支援するのよ。ただ、どーしても安心したいなら、開発資料を一部でいいから流しなさい。そりゃ、投資家としてはプロジェクトの成否が一番知りたいじゃない。ええ、ダメそうならそちらの言い値で売るから、損はしないでしょ?」
ああー、ほんとあの男の要求の高さと言ったら、ここ五年の労働以上に働かされたわ。うーん、悔しいけどそれでもあいつの目指すものを見てみたい気がする。
「何を恋する乙女みたいになってるのかしら?これも働きすぎが悪いのかしら?ええい、いっそあいつに日頃の労働に対する感謝の念を示して欲しいわね。
こんど、いつ会えるのかしら?」
うーん、この服は最初に逢った時の仕事用だし、これは少しカジュアル過ぎるし、まっいっか。仕事の連絡だけど、私のオフタイムだし。
スカーレットは、赤いドレスを身に纏ってある男に電話した。
「おう、スカーレットか。今日は私服か、まあ似合ってるよ。」
スカーレットからのビデオ電話の少し驚く乱導 竜。
「ふふん、今はオフタイムだけど。大口顧客へのサービスとして経過報告を直々にしてあげているんだから、心して聞きなさいよ」
「あ、ありがとう」
「よろしい、大陸の干ばつに乗じて試験場の用地買収は上手くいきそうよ。船体の構造物に関しては新金属、たぶん合金なんだろうけどの情報も入手できるようにしたわ」
「おう、流石世界一のM&Aアドバイザだね」
「まだまだ、あるわよ。例の旅行会社も手に入れられそうよ。私、結構頑張ったんだからね。そっちに、いってもいい?」
「悪い、流石に地球から異世界へ君を移動させるのは出来ないんだ」
「ふーん、なら、いいわ」
スカーレットが臍を曲げたのが分って、竜は動揺した。
「ああ、実体でこちらに転移することは無理だけど、仮想実体(バーチャルボディ)で来ることは多分出来ると思うよ。準備に時間が掛かるから流石に今すぐという訳にはいかないけど。少し、待ってくれるかな?」
「待てと言われれば待つけど、私のモチベーションにも影響するからなるべく早くね」
「うん、努力するよ。いろいろありがとうな」
「まあ、その言葉で今日の所は許してあげる、じゃね」
「おお」
うーん、あんまり駄々を捏ねるのも大人の女としては駄目だし、ある程度譲歩させればトレードは私の勝ね。今日は、いい夢が見られそう。
「しかし、こっちにスカーレットの仮想実体を呼ぶには、どうしたら?
こういうときは、あの女に連絡だ!?毎回だと依存症になりそうだな?」