しかし、文明レベルを見る限り犯罪捜査を一見の旅人や商人に恥も外聞も無く依頼してくる政府首脳とかはどうなんだろうな?まあ、力不足を認識し適切に頼る姿勢は嫌いじゃないが・・・・・・
「ところで、ペネロペさん。なんで俺たちに助力を求める気になったんだ?」
「え?それは、竜さんが出来る男の匂いをプンプンさせていたからですわ。黒と白の猫を従えてカッコイイですわ、痺れますわ」
腕に抱えた白いペルシャ猫のように見える猫を撫でながらペネロペさんが、謎の自説を展開する。はあ、なんだろう。この根拠が有るのか無いのか微妙な感じは。
「竜さん、頼られるのも当然でしょう。一つの恒星系を丸っと引き連れて旅行する商人なんて、桁違いの力を有している実力者、つまり蔑ろにするよりも頼ってしまう方が賢い選択ですよ」
「そういうものなのかな?この星のプライドとか権威とかないのかな」
「そんな一銭にもならないもの捨ててしまって事件も私たちの力を測る手段、尚且つ速やかな解決を手にする。見掛けに寄らず油断ならない優秀な方ですよ」
俺の疑問にネコさんが瞳を細めて答えてくれた。
「ご主人、被害者の状況とか聞いた方がいいにゃ。手を貸す気満々にゃんだから、照れ隠しとかする必要ないにゃ」
黒い方のシャム猫がいつもの定位置である背中に磁器人形を跨らせたシュールな格好で俺に意見してくる。
「ところで、ペネロペさん。そのペルシャ猫?は昨日見掛けなかったけど、いつもはいっしょなのかい?」
「ええ、この子は今日から私の物になったのよ。先ほど、父が亡くなったので私が相続しました」
「それは、お悔やみを申します」
「ありがとうございます。でも父は高齢でしたし、苦しまない最期だった思いますわ。話が脱線しましたね、そちらのネコが言うように被害者の二人のことでしたね」
「ええ、このタイミングで話せるならお願いします」
ペネロペは、ペルシャ猫の顎を撫でると静かに語り出した。
被害者はアランとスコットの二人だった。街の外れで、お互いをナイフで刺して死んでいたのを物資搬入の業者が見つけて通報したらしい。
凶器のナイフは、あり触れた市販品でスコットがアランにぶつかる様にして胸を一突き、アランは抱き締めるようにスコットの背中にナイフを埋めていたそうだ。
連絡も無く仕事の時間になっても現れない彼らを心配して、探したところ喧嘩か決闘で相打ちとなった解決事件として報告が上がってきたそうだ。
「でも、アランとスコットが殺し合う理由なんて思い当たりません。解剖の結果でも特におかしな薬物を使っていた形跡もなかったのです」
「ふーむ、既に解剖済みですか。じゃあ、後で資料を読ませてください。一応現場を見に行って来ます」
「ええ、お願いします」