「おお、今日はハンバーグにゃ。うーん、アルド今日のは特に美味しいにゃ」
「ふふ、いつもの冷凍ハンバーグですよ。船長には何出しても、外れ無しで相変わらず張り合いがないですね。
ところで、お客様のお口に合いましたかしら?」
『まあ、悪くない。だが、出来れば肉は塊のまま出してくれた方が助かる。
ぐちゃぐちゃに潰した肉では、趣がないから・・・・・・
ああ蝙蝠のステーキとか猿の脳味噌をもう一度食べたいなあ』
「そうですか、次の機会には特別メニューでお客様をもてなすといたしましょう。
ですが、素材はご自分で用意してくださいね」
アルドがどこか楽し気にホムンクルスにリクエストしていた。
「ところで、まもなく指定座標に到着にゃ。探し物、ご主人は見つかるのかにゃ?」 『ご主人様、確かに他の魔人とは異なって癖の強い魔導の痕跡が観られます』
『ふむ、ならばリュラーン皇子の痕跡で間違いあるまい。アン、ご苦労であった。だがこんな所でいったい何をしようとしているのか?』
船長が呑気に疑問を発し、索敵係として半ば船のシステムに組み込まれた魔人アンドロマリウスが目標選定理由を述べた。
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うーむ?
「そう言えばなぜ、あんな無茶な稼ぎ方をしたんだい?まあ、あのときは時間もあまり無かったし途方もない額を稼がなきゃいけなかったんで助かったのも事実だけどさあ」
『そうね、何故だったんだろう。怒りと悲しみでそれこそ自分のことなんかどうでも良くなっていたのかも?
大きな力を持つとやはり使いたくなるものね。でもあなたにまた逢えてうれしいわ』
紅いスーツを着た女が照れくさそうに微笑んだ。
『お取込み中悪いんだけど。
生憎こっちは忙しいのよ、過去に捕らわれている暇人に付き合う時間はないわ。 リュラーン皇子、目を覚まして欲しいんだけど』
愛しい女を手に掛けた、あの女が目の前に現れた。
「何をー、お前がスカーレットを殺したんじゃないか。
今度は、俺が殺ってやる、敵をとってやるぞ!」
リュラーン皇子らしき男が、私を愛人の敵だと喚いているようだ。これって、惑わされているのか?うーん、誰か適当な魔人はいたっけ?このような、夢遊病者の相手ができるのは?
こういうときは、頼ってもいいよねZ-RAIDERシステム?
『なるほど、こんな奴配下にいたのか?ふむ、幻覚を操る地獄の序列七一、三六の軍団を統べる大侯爵ダンタリオン疾くと現れてこやつを縛る幻覚を解いてやれ!』
ソローンの前で膝まづき現れたのは、美しい男女の顔を散りばめた魔人、右手には一冊の本を携えている。
『ははあ、御前に。その者の迷いは消え失せましてございます』
見やると、リュラーン皇子は気を失って倒れていた。
『ふふ、仕事が早くて結構よ。
アルド!リュラーン皇子を確保したわ、船に拾い上げてちょうだい』