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分散型ソーシャルメディアBlieskyの設立の経緯

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  • 2022/03/10 02:28

企業としてのBluskyとコミュニティとしてのbluesky

by Jay Graber & Golda Velez

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TLDR: Blueskyは2019年に発表され、法人格としてはつい最近設立されました。その間にblueskyのコミュニティは形を整え、一人歩きしています。現在、blueskyコミュニティとBluesky PBLLCという2つの別組織が存在します。私たちは、小文字の「bluesky」をオリジナルのオープンエンドプロジェクトに、大文字の「Bluesky」をその名を持つ会社に見立てて使っています。以下、Jayはblueskyの起源について「3つのフェーズ」という記事を書き、Goldaはコミュニティで起こっていることを表すために「blueskyコミュニティ」という記事を、ここに記しました。

 

3つのフェーズ

by Jay Graber

Blueskyは、アイデアから始まり、コミュニティへと発展し、企業となっていく、3つのフェーズを経ています。2021年末のBluesky PBLLCの設立は、最も新しいステージの始まりであり、現在、私たちは資金とミッションを追求するための組織を手に入れたのです。

フェーズ 1:アイデア
blueskyプロジェクトは、Twitterとして分散型ソーシャルメディアのオープンプロトコルの開発に資金提供するという意向を表明したJack Dorseyのツイートから始まりました。その時、多くの人がblueskyのTwitterアカウントにDMを送り、詳細を知ろうとしました。私やGoldaもそのひとりです。TwitterのMatrixチャットルームに12人ほどが集まり、blueskyのあるべき姿について最初の議論が始まりました。

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blueskyコミュニティの最初のチャットルーム

その部屋での最初のQ&Aで、Jackは「最大かつ長期的な目標は、公共の会話のための耐久性があるオープンなプロトコルの構築です」と書きました。また、「どの組織にも所有されず、できるだけ多くの人々によって貢献されること。そして、それは同じ原則でインターネット上で生まれ、進化していくことが重要である」と。

これは私たちの心に響きました。Twitterによるサポートを受けてこれに取り組みことは、既にTwitterを公共の会話のプラットフォームとして使っている人たちにとってもエキサイティングなことでした。

TwitterがMatrixルームを作ったのは、blueskyの方向性やリーダーシップがそのコミュニティから生まれるかどうかを確かめるための、自己組織化の実験の場としての意味合いもありました。Jeremie Miller(XMPPの発明者で現在はblueskyの役員)、Matthew Hodgson(Matrixの技術共同創設者)、Ian Preston(Peergosの共同創設者)、rabble(初期のTwitterエンジニアでPlanetaryの共同創設者)など多くの人が時間を惜しまず議論への洞察を提供してくれました。しかし、blueskyのコミュニティチャットルームができたのと同じタイミングで、COVID-19が世界を席巻し始めていました。2020年は組織も個人生活も大混乱に陥った1年となりました。この年の半ば、Goldaはコミュニティをより多くの開発者に開放することを提案し、私は既存の分散型ソーシャルネットワークのエコシステム概要を書くことを提案しました。

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エコシステムの概要図

blueskyのチャットルームを拡大して60人くらいにし、そのスペースに存在する全てのプロジェクトの概要を書き始めました。blueskyプロジェクトの最終的な形はまだ決まっていませんでしたが、blueskyコミュニティはプロジェクトを横断して話すために人々をつなぎ始め、エコシステム・レビューという形で集合的な知識ベースを構築していました。

フェーズ2:コミュニティ
2020年のある日、Twitterからコミュニティグループに対して提案の依頼が出されました。私たちは、既存のプロトコルをベースにするか、ゼロから始めるか、新しい分散型ソーシャルプロトコルがどのように機能するかについて、技術提案として作成しました。2021年、Twitterはblueskyをリードする役割を決めるためにコミュニティメンバーを面接し、最終的に私が指名されました。採用ではなく指名と言ったのは、Twitter社で働き始めるのではなく、blueskyを実現するための資金提供を受ける独立組織としての立ち上げだったからです。

私がblueskyのリーダーとして公に発表されたとき、多くのメディアが興味を持つことは分かっていましたが、まだ人々を集める場所がありませんでした。そこで私はGoldaに、blueskyのコミュニティに参加することに興味がある人への開放プロセスを手伝ってくれるよう頼みました。会社創設の発表日に、私たちはblueskyweb.orgと、Discordblueskycommunity.netの各サイトを開設しました。そこで、新規参加者の熱意をどうすれば生産的な方向に向けることができるかを議論し、コアなトピックや既存のプロジェクトにエネルギーを向けることを決めたのです。この結果、活発な議論と討論の場が生まれ、かつてはバラバラだった会話を一つにまとめることができました。

フェーズ3:起業
2021年の最後の数週間で、私たちはBluesky PBLLCを設立し、資金調達することができました。私たちは、このコミュニティを別組織として維持し、Bluesky社からの助成金で運営する形を取ることに決めました。Bluesky社は、より公共性を高め、Twitter以外の企業とのアクセスを増やし、他のプロトコルとの関わりを持つようにしたいと考えていますが、まずは雇用を終え、方向性と技術的ビジョンを明確にする必要があります。その間も、このコミュニティは議論と討論の場であり、私たちは参加しますが、会話を推進することはありません。

 

blueskyコミュニティ

by Golda Velez

blueskyの発表を見たとき、この取り組みの重要性と実現の困難さを感じたことを今でもよく覚えています。ソーシャルメディアの設立とは、潜在的な攻撃者を組織化するリスクや、権威主義的なネットワーク支配や偽情報による危険性を包括的に抱えることを意味します。そこで、もしblueskyが、恣意的な操作に耐性を持ったオープンな公開会話を可能にし、かつプレーヤーが革新的で迅速に進化することができれば、私たちは本当の意味で重要なものを手に入れることになります。

私は、WhatsCookinという、コミュニティの構築とコントロールの分散に関連する取り組みを行っていました。Jayからblueskyのコミュニティ開設を手伝ってもらえないかと頼まれてから、私たちはWhatsCookinを活用して、開発者とコミュニティ志向の人々からなるグローバルチームを結成し、イベントの企画を手伝ったり、その過程で実際に技術面でのフィードバックを実施したりしてきました。当初はDiscordMatrixルームの間をつなぐという取り組みを試行し、スレッドや反応、安定性といった点で、ブリッジの限界を確認することができました。素晴らしいのは、dwebのエコシステムの人々が熱心に参加してくれることで、MatrixコミュニティのThib Martinなどのコアな人々までもがブリッジの修正と動作確認を手伝ってくれたことです。

最も目に見える取り組みは、Blueskyと共同で制作している「Community Voices」というオーディオシリーズです。このシリーズは、Twitter Spacesで行われ、10年前に初期のTwitter開発者コミュニティを組織し、それ以来、世界的なWeb3の取り組みに関与してきたRobert Schwentkerがリードしています。各回のテーマは、アイデンティティからストレージ、レピュテーション、ユーザー体験に至るまで、分散型ウェブの重要な構成要素と課題を掘り下げています。この分野の専門家やリーダーを招き、技術的、社会的、歴史的なニュアンスを議論したり、より伝統的で企業的な背景を持つ「懐疑的」な声も取り上げています。

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Twitterで行われたコミュニティボイスのセッションの1つ

blueskyコミュニティの目標は、企業としてのBlueskyとは異なり、分散型Webエコシステムにおけるコラボレーションを促進することであり、これは非常に有機的なアプローチです。常にオープンな視点が必要となります。また、分散型技術の採用を促進するというBlueskyの目的を共有していることもあり、様々なプレイヤーにプラットフォームを提供し、教育的イベントやフォーラムを開催し、開発者が協力して新しい技術を学ぶ機会を提供するための小規模プロジェクトも行っています。

このdiscord/matrixのブリッジフォーラムであるコミュニティスペースには、fediverse、matrix、ssb、gun、ceramic、solid、peergos、holochain、metamaskなどのグループが参加しています。私たちは「仕事は語るもの」と考えており、人々が興味をもって参加してくれれば、誰でも努力をリードすることができます。つまり、私たちが開催する組織的なフォーラムに加えて、誰でもdwebのエコシステムに関連するテーマについて「ポップアップ」を予定することが可能です。

新しく参加される方には、まずJayがこのスペースへのガイドとして書いたエコシステムレビューを読んでいただき、その後、実際に取り組んでいる人たちに会って、飛び込んでみることをおすすめしています。

多くの点で、インターネットの初期に、アルゴリズムのホワイトペーパーや新しいブラウザのプロトタイプを個人間で共有し、それらが結合してウェブを形成してきた経緯に似ています。

開発者ではない方でも、コミュニケーションや組織化に関して多くのことで参加することができます。あなたが誰であろうと、私たちに参加することは大歓迎です。

是非とも、blueskycommunity.netからエントリーしてください。

訳:Takeshi_TGAL

 

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