幸せになり(ry
どうもこんばんは。新米心理カウンセラー・あぶです。
今回は、“三大幸福論”最後の書、カール・ヒルティの『幸福論』 (第1部) (第2部)(第3部)をご紹介します。
ちなみに、アランとラッセルの『幸福論』記事は、すでに紹介済みです。本記事の最後にリンクを貼っていますので、よければ合わせてお読みください。
ヒルティ(1833〜1909年)はスイス生まれの法律学者、政治家です。ヒルティは『幸福論』の他にも、眠れない夜を自己反省の機会にしようと説き、安眠へと誘う『眠られぬ夜のために』〈第1部〉〈第2部〉なども著しています。
彼が熱心に読み、感化された書物が「聖書」ということもあって、本書では、キリスト教的信仰に立った幸福論が説かれています。例えば、次のお話。
人を幸福にするのは仕事の種類ではなく、創造と成功の喜びである。
ゆえに、この世の最大の不幸は、仕事を持たず、従って一生の終わりにその成果を見ることのない生活である。
「仕事を持たぬ人」は真の不幸者であるが、そのような不幸者が世には少なくない。しかも、それは下層社会よりも、むしろ上層社会の方がはるかに多い。
現に彼らは毎年、精神の荒涼と退屈を抱いて、スイスの山地や治療所を訪れる。
彼らはここかしこと休息を求めて動き回るが、どこにもそれを見出さない。なぜなら、仕事の中休息を求めないからだ。
「あなたは6日の間、働かねばならない」(出エジプト記)―― この処方をもってすれば、現代のたいていの神経病は治ってしまうだろう。
人生はそもそも、“享楽”すべきものではなく、必ず実を結ぶように営もうと、心がけなければならない。これを悟らぬ者は、すでに精神的健康を失っているのである。精神的健康を失っている者が、肉体的健康を保っているとは考えられない。肉体的健康は、正しい生活の仕方をする時にのみ保たれるからだ。
以上のことから、必然的に次の結論が出てくる。
すなわち、怠惰を業とする者は、正しい処世の道を失った、精神的に不健康な人間と見なすべきである。こうした考え方が社会全体の風習となって現れるならば、その時、初めてこの地上にも、より良い時代が到来するであろう。
ヒルティは別のところでは、「仕事は、人間の幸福の1つの大きな要素である。否、本当の幸福感は、仕事なしには絶対に与えられないという意味でなら、実に、その最大の要素でさえある」とまで言うほど、仕事に重きを置いています。
そして、聖書の言葉 ―― 「 1 週に 6 日は働かなければならない」「あなたは額に汗してパンを食べねばならぬ」、この成功の2つの前提を避ける者は、幸福を追求する人の中で最大の愚者だと指摘します。
そこまで言われると、怠け者で意志の弱い私としては、ヒルティの爪の垢を煎じて飲みたくなります🙄
ここのところ、「働き方革命」が注目されています。長時間労働の是正、劣悪な職場環境の改善はもちろんすすめられるべきです。ただ、仕事の向き合い方については、ヒルティの言葉を参考にするのもいいのかもしれません。他の誰のためでもない、自分の幸福のために。
ではまたー。
アランの『幸福論』(日経BP社)
→【130】幸せになる方法とは?
バートランド・ラッセルの『幸福論』(岩波書店)
→【131】幸せな人は、情熱と興味を外に向ける