幸せになりたい ―― 。
そう思ったことはありませんか?
あ、デジャブじゃないですよ。
こんばんは。新米心理カウンセラー・あぶです。
前回は、フランスの哲学者アランの『幸福論』をご紹介しました(【130】幸せになる方法とは?)。
今回は、同じ『幸福論』でもバートランド・ラッセルのものをご紹介します。
ラッセル(1872 - 1970)は、「20世紀最高の知性の1人」と称される、現代イギリスを代表する思想家です。彼が1930年に著した『幸福論』には、幸福獲得のための知恵と、不幸を逃れるための処方箋が記されています。
中でも代表的なラッセルの知恵は、次のものになるかと思います。
人は、自分の情熱と興味が内へではなく外へ向いている限り、幸福をつかめるはずである。
最悪の不幸の1つは、我々を自己の殻に閉じ込める情念である。
そういう情念のうち、最もありふれたものが、恐怖、ねたみ、罪の意識、自己への憐れみ、自画自賛である。これら全てにおいて、我々の欲望は自分自身に集中している。
このような自己中心的な情念の大きな欠点は、生活に多様性をもたらさないということだ。自分自身しか愛さない人は、熱愛の対象が常に同じなので、結局は耐え難い退屈に苦しむに決まっている。
幸福な人とは、自己中心的ではない、客観的な生き方をし、自由な愛情と広い興味を持っている人である。また、こういう興味と愛情を通して、そして今度は、それゆえに自分が他の人々の興味と愛情の対象にされるという事実を通して、幸福をつかみとる人である。
愛情の受け手になることは、幸福の大きな原因である。しかし、愛情を要求する人は、愛情が与えられる人ではない。愛情を受ける人は、大まかにいえば、愛情を与える人でもある。
ラッセルはこの他にも、関心を寄せる対象が多いほど、幸福になるチャンスが多くなること、また安心感を抱いて人生に立ち向かう人は、不安感を抱いて立ち向かう人よりも幸福であることなどを説いています。
では、自分の殻に閉じ込もってしまい、不幸だと感じている人はどうすればいいのでしょうか?
ラッセルは次のように言います。
―― 自分の不幸の原因を考え続けている限り、依然として自己中心的であり、この悪循環から逃れることはできない。悪循環から逃れたいのであれば、自ずと興味が湧き上がってくるような対象を見つけることだ。これは難しいことだが、あなたが自己に没頭することをやめたならば、本物の客観的な興味が芽生えてくるだろう。すなわち、必要なのは、興味を外へ向けることなのである。
あなたが辛い時、あるいは幸せになりたいと思った時には、自分ではなく周囲にこそ優しさ・思いやりを示してみてください。遠回りのようでいて、それがいつかのあなたの幸せにつながっていくはずです。
“三大幸福論”最後の書、カール・ヒルティの『幸福論』は次回ご紹介します。
ではまたー。