どうもこんばんは。
新米心理カウンセラー・あぶです。
読書にはまっていたら、約1週間ぶりの記事となりました。
今回は「ホーソン効果」と、その心理を活用した指導法についてご紹介します。
ホーソン効果とは、人から注目されている・期待されていると感じることで、行動の変化を起こし、作業効率が上がることです。
なぜ「ホーソン」効果と呼ぶのかというと、アメリカのAT&T(電話会社)の関連会社のホーソン工場で調査が行われ、上記の効果が判明したからなんです。
実験内容は次の通りです。
ホーソン工場で照明と労働者の生産性について調べていたら、照明を明るくした方が生産性は上がるという結果が出ました。ところが、明かりを元に戻しても生産性は上がったままでした。
詳しく調べていくと、照明の明るさが関係していたのではなく、今、生産性に関する実験をしているという「誰かに見られている」という感覚が重要であることがわかりました。つまり、人から注目されていると、「頑張ろう!」という心理が働き、仕事の生産性が上がった、ということです。
また、ホーソン実験では、人間が働き、生きる上において、次の5つの願望・欲望があることが明らかになりました。
①生活の維持/②生活の安定/③集団化/④人格の尊重/⑤自己表現
作家の童門冬二氏は5つの願望・欲望のうち、中間管理職にとって特に留意する必要があるのは、部下が持っている④「人格を尊重されたい」という欲望と、⑤「仕事を通じて自己を表現したい」という願望の実現だといいます。そしてその重要性を示すために、豊臣秀吉の次のようなエピソードを引いています。
戦国時代、信長は清洲城の塀が台風で壊れた時、普請奉行(ふしんぶぎょう)に修理を命じた。しかし、一向にはかどらないため担当を豊臣秀吉に代えた。
秀吉は修理個所を10等分し、工事人を10組に分けて競わせ、さらには「一番早くできた組には信長様から賞金が出る」とまで約束した(秀吉は信長に、もし 1日で工事を完成させれば褒美の金を出してほしい、と事前に頼んでいた)。
しかし、最初の日は指示を出しただけで、秀吉は工事人たちに酒をふるまい、「仕事は明日からでいい」と言って帰ってしまった。
そこにやって来たのが、仕事を奪われた元の普請奉行である。彼は「サルの言うことは嘘だ。信長様は賞金など出すはずがない」と言った。それを聞いた工事人たちは、確かに話がうますぎると半信半疑になった。
その時、秀吉が戻ってきた。しかも、信長を連れて。
「ご苦労。早く修理を頼むぞ」、信長は工事人たちにそう声をかけた。彼らをねぎらうよう、秀吉があらかじめ信長に頼み込んでおいたのだ。
そんな経験の全くない工事人たちはすっかり感動し、競って工事を進めた。その結果、塀の修理は一夜で終わってしまったのである。
普段から彼らがいかにトップの「一言」を待ち望んでいたか、この例からそのことがよくわかる秀吉は、トップに認められたいという部下の願望を汲み上げることによって、彼らのモラールをアップさせたのである。
—— 『名将に学ぶ人間学』
部下に対する人格の侮辱が破滅的な結果をもたらすことは、容易に想像ができます。 また、部下が「何をやったか」という結果だけを評価し、「何をやりたがっているか」という可能性に目を向けないようでは、管理者として部下の力を引き出しているとはいえません。
そうではなく、豊臣秀吉のように部下が心の奥底で望んでいること —— トップに認められたい —— に着目し、それをうまく叶えてあげることで、彼らの力を最大限引き出せるようになるはずです。
ではまたー。
ピグマリオン効果:ある人物に対して、ある行動を期待し続けると、実際にその人物は期待に沿うような行動をとるようになる。
→【068】期待を込めて、言葉をかけよう。
スポットライト効果:舞台の上でスポットライトを浴びるように、自分の外見、装いや振る舞いなどについて、「他人が自分に注目している」と思うこと。
→【149】心のスポットライトを自分に向けてみる?