どうもこんばんは。
新米心理カウンセラー・あぶです。
前回の記事(【139】行列のできる人気店に行きたくなるワケ)では、人と同じ行動をとると安心する「同調行動」についてご紹介しました。また、多数派の行動を真似したくなる心理は、多くの日本人にみられる傾向であると述べました。
ではなぜ、日本人は周囲の意見に流されやすいのでしょうか?
それは、“空気”の影響を多大に受けているからです。ここでいう空気とは、「断れない空気だった」「場の空気読めよー」などといった時に使うものです。
今回は、この「空気」の正体と、空気によってお客様を動かす手法についてご紹介します。
「空気」について触れるにあたって、欠かせない書があります。作家・山本七平氏が著した『「空気」の研究』です。本書は、日本社会を覆う「空気」の正体を正面から考察した名著です。この本、すごくおすすめです!!
山本氏によれば、「空気」とは非常に強固でほぼ絶対的な支配力を持つ「判断の基準」であり、それに抵抗する者を異端として社会的に葬るほどの力を持つ超能力だといいます。過去には、第二次世界大戦時に無謀な作戦だとわかっていても、その場の「空気」によって実行に移したものがあったといいます。
いくら細かいデータや明確な根拠があったとしても、それを無にすることができるもの。それが「空気」です。そして、私たちは常に、論理的判断の基準と、空気的判断の基準という、一種の二重基準(ダブルスタンダード)のもとに生きているのだと、山本氏は言います。
だからこそ、自分に有利となる「空気」を醸成することができれば、論理を超えて、多くの人を味方につけることができるようになるはずです。
企業が、お客様が気持ちいいと思える「空気」を作り出し、商品を実力以上に売る方法があります。それが、『「空気」でお客様を動かす』が説く、「空気マーケティング」です。これには、次の3つの手順があります。
①ペーシングして、「しっくり」くる空気を作る。
②ティーチングして、「心の抵抗値」を減らす。
③リーディングして、「意思決定」を促す。
では、それぞれの手順を解説していきます。
①まずは、お客様とペースを合わせ、相手が「しっくり」くるような空気を作ります。このペーシングで大事なのは、売る人の「気持ち」です。「売れない」という気持ちを持たず、商材や自社を好きになる。「好き」だという感情があれ ば、その思いはお客様にも伝わるといいます。
②しっくりくる空気を作る事ができたら、さらに「心の抵抗値」を下げることを目指します。すなわち、お客様に意思決定する際の判断材料となる知識を提供するのです。この知識は、次の2つに大別できます。
・第1の知識:調査すれば入手できる情報
第1の知識には、「ミクロ情報」と「マクロ情報」があります。
ミクロ情報とは、「その商品はどのような素材でできているのか?」「その素材の産地は?」といった細かい情報のことです。細かな情報まで提供することで、聞き手は臨場感を覚えてくれます。
一方、マクロ情報とは、商材の向こう側に広がる背景や世界についての知識である。例えば、「過去や他商材との比較データ」「どれほどお客様に支持されているのか?」といった統計データなどが当てはまります。
・第2の知識:体験からくる理解
勉強すれば頭に入れることができる「第1の知識」に対して、「第2の知識」は、体験した者でないと味わうことのできない知識です。これは、相手に強いインパクトを与えます。
第2の知識を多く得るには、「現地現物」を見ることが必要となります。多くのお客様と会い、「どのようなことで困っているのか?」「他社の商品だとどうなのか?」といった体験談を多く知ることです。
③最後は「リーディング」で、お客様の意思決定を促していきます。営業の世界でいう「クロージング」です。
すでに「空気」ができ上がっているにもかかわらず、決断できないお客様がいれば、「もう決めましょう」「いかがでしょうか」と迫っていきます。
ただ、この時に最も効果的なのは「無言」です。具体的には「いかがですか?」と言った後、無言を貫く。人は「間」があると居心地が悪くなり、この状態を回避しようとして行動をとろうとするはずです。
ではまたー。