どうもこんばんは。
新米心理カウンセラー・あぶです。
ALISでの100本目の記事となる今回は、前回(【099】重い腰はなぜ上がらないのか)に続いて、『影響力の武器[第三版]』から「心理学の原理」をご紹介します。
《6つの心理学的原理》
返報性のルール/コミットメントと一貫性 /社会的証明/好意のルール/権威/希少性
この中から、「返報性のルール」について、詳しく見ていきます。
返報性のルール。これは「他人がこちらに何らかの恩恵を施したら、自分は似たような形でそのお返しをしなくてはならない」というルールです。
もしある女性が私たちに新設をしてくれたなら、お返しに何らかの親切を返さなくてはいけません。ある男性が自分に誕生日のプレゼントをくれたら、今度はその人の誕生日を覚えておいてプレゼントをすべきです。
この返報性のルールがあるために、親切や贈り物、招待などを受けると、そうした恩恵を与えてくれた人に対して将来お返しをせずにはいられない気持ちになるのです。
—— 『影響力の武器[第三版]』
ALISを利用されている方で、「投げ銭」を受け取ったことがある方なら、このルールは非常に納得感のあるものでしょう。投げ銭を受け取った後、その方に何らかのお返しをしたいと思った方は多いと思います。
このルールを巧みに使ったビジネスは、すでに数多く存在しています。
例えば、試供品の無料配布や、「使ってみて気に入らなかったら無料で返品・交換します」というサービス。これらは顧客満足に応えるだけでなく、客が「少し試しに使ったんだから、 買わなきゃ悪い」と思ってしまう心理をついたマーケティングのテクニックといえます。
また、返報性のルールを使うやり方はもう1つあります。最初に譲歩し、そのお返しとして相手の譲歩を引き出すというもので、「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」と呼ばれています。
例えば相手が、コンサートのチケットを1枚10000円で何枚か買ってほしいと言ってきたとします。必要ないので断ると、ならば1枚だけ8000円でいいから買ってほしいとお願いしてきます。そこであなたは、1枚でいいならとチケットを買ってしまう ―― 。
この状況の背景には、「譲歩してくれた相手に対しては、こちらも譲歩する義務がある」という返報性のルールが関わっています。コンサートに興味がないのに、相手が大きな要求から小さな要求へと譲歩したので、こちらもつい譲歩してしまう、というわけです。
では、返報性のルールを無力化し、欲しくない商品の購入を避けるにはどうしたらいいのでしょうか?
著者のロバート・B・チャルディーニが提案する対処法の1つは、「ルールを始動させないようにする」ことです。最初の好意や譲歩を拒絶すれば、相手の策略から逃れられます。
ただし、これは非常に難しいと、チャルディーニは言います。確かに、相手からの申し出をすべて拒否することなど、普通ならできそうにありません。
そこで、チャルディーニはもう1つの対処法を提案します。それは、「人からの申し出は受け入れるが、その申し出がどのような体裁をとっているかではなく、根本的に何であるかを判断して受け入れる」というものです。
例えば、人が親切にしてくれるというなら、先々自分がお返しをする義務を負うことは心に留めておいて、それをありがたく頂戴しておけばいいのです。
そしてもし、相手からのプレゼントが真の贈り物ではなく、あなたを丸め込むための道具に違いないと思ったなら、返さなければいいのです。著者はいいます。「結局のところ、返報性のルールは、それで正義がなされるのだとすれば、搾取の試みには搾取でお返しをすべきだ」、と。
投げ銭に限っては、ここまで神経質にならなくていいと思います。
ただ、もし「何か受け取ったら返さなきゃいけない気になる」「お願いされると断れない」といったことでお悩みの方は、「必ずしも、受けた親切はお返ししなくてもいいんだ」と頭の片隅に置いておくだけで、気が楽になると思いますので、ぜひお試しください。
ではまたー。
コミットメントと一貫性
→【099】重い腰はなぜ上がらないのか 〜nemlogと私の場合
他者への「思いやり」について