今年もいっぱい論文が出ましたね(死)。
巷ではそろそろ研究室配属や卒論・修論の話が出てきています。
そこで(何のそこでなのか)今年私がときめいた論文を3つ紹介します!
CasX enzymes comprise a distinct family of RNA-guided genome editors
日本語解説
新しいCasタンパク質。
Cas9と同じように1つのタンパク質と1つのガイドRNAで標的DNA配列を二本鎖切断する。
ただしCas9とは異なり、二本鎖それぞれ別々の位置で切断するので標的DNA配列以外で反応が起こる確率が下がる(Cas9はcisでDSBするがCasXはtransでDSBする)。
新しいゲノム編集タンパク質の発見や開発っていうのは、ゲノム編集技術自体がかなりお金になるもとい画期的な技術であるのが背景にある。そのため、もっとも世界的に使われているCRISPR-Cas9の特許とクロスリンクし、使用料を抑えたい国家的な目論見もある。
CRISPR-Cas3 induces broad and unidirectional genome editing in human cells
https://www.nature.com/articles/s41467-019-13226-x
日本語解説
和製ゲノム編集ツール
問題はClass 1, つまり多数のタンパク質複合体によるゲノム編集であるため
・どうやって細胞に入れるのか
・どう代謝させるのか
・臨床での挙動
あたり。
ゲノム編集ツールの開発の事情は前述。
Search-and-replace genome editing without double-strand breaks or donor DNA.
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1711-4
sgRNAにテンプレート(Prime editors, PEs)の役割を持たせて遺伝子を編集する。
相同組み換え的にゲノム配列を挿入・欠損させることが可能
一塩基編集と比べると大雑把になるものの
・目的配列を得られやすい
・1塩基編集/塩基編集では手が届かない編集が高精度で可能
これまでに報告されているC-to-T, A-to-Gでは
C to GやA to Tは不可能
CCCといった連続した配列では1~3塩基が確率的に編集される
といった技術的な課題に対して、直接配列を張り替える(PEs)ことで対応
もうこれだけでいいんじゃないかな()
2019年のCRISPR界隈、基礎研究部分で幅広い研究が出てきています(gRNAを少し削ったらオフターゲット減ったみたいな微妙な内容ではなく)。
また今年からゲノム編集食品の流通もOKになったり、ゲノム編集の応用、中国のゲノム編集ベビーが1年を迎えるなど来年以降も話題を欠かさないと思われます。
私も、何か、頑張ろう。