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PoWとASIC ~ASICは”善”か?”悪”か?~

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  • だれかさん(NHの人)
  • 2019/02/05 17:57


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この記事は、元々、私が合同誌「PLAYMONA」に寄稿した文です。
また、この記事を書いた2ヶ月後あたり(10月前後)に
Lyra2REv2のASICが登場しました。
そのため、現在の情勢とは若干異なることにご注意下さい。


この原稿の執筆日:2018/07/11
出版日:2018/08/10


PoWとASIC ~ASICは”善”か?”悪”か?~


ここでのASICとはマイニング専用機械の意である。

まず、我らがMonacoinはPoWを採用している。
PoWはご存知の通りマイニングによって新しいブロックを生成し、
それと同時に新しいコインを生み出す。

なぜPoWを採用しているか?

多くのハッシュレートを産む機械を攻撃に使っても割に合わないため、
攻撃するメリットは基本的に無いであろうということで、
PoWは安全性を担保するものとして多くの暗号通貨に採用されていた。
しかし、Nicehashでハッシュレートを買うことによって、Block withholding attackを発生させられるということが判明した。

どうすれば防げるか、例えばPoSを取り入れるのはどうか?
これは不公平になるという意見も多い。それ以外にも被害を抑える方法はあるが、最も根本的な解決策はハッシュレートを増やすことだ。
しかしハッシュレートを増やすといっても、GPUで掘れる限り
”安全”にならないだろう。というのも、
Nicehashで掘るマイナーはその時最も儲かるハッシュアルゴリズムを
掘るようにしているマイナーが多いので、
金を出すことによって簡単に、他のハッシュアルゴリズムを掘っていたマイナーにLyra2REv2を掘らせることが可能になる。

2018年7月現在、Lyra2REv2は多い時で合計10TH/sものハッシュレートが売られている。しかし、Monacoinの平均ネットハッシュレートは大体1~2TH/sと推定されている。



では、圧倒的に電力効率の優れる、
Lyra2REv2用ASICやFPGAが出たらどうなるか?


限られたコインしか掘れない上にGPUではもはや掘れないとなると、
Lyra2REv2市場においてGPUマイナーの出入りはなくなり、
売られるハッシュレートがほぼ固定化される。

そうすれば、金を出せばハッシュレートを買えるといっても、
他のアルゴから動いてまではこなくなる。そうすればNicehashにあるハッシュレート
(攻撃に使えるハッシュレートと考えることもできる)は一定になる。

それだけではない。そのアルゴリズムの中で最も大きいコインになれるのであれば、ブロック生成間隔の安定にも繋がる。

とあるコインは、元々Cryptonightアルゴリズムを採用していたが
ASICが開発されたので、ASICが開発されていないCryptonightv7に変えた後に、
今度は難易度が乱高下するということで
再びCryptonightに戻すといった(茶番のような)事例もあった。

Monacoinは現在Lyra2REv2を採用するコインの中では
最も大きいコインであるので、仮にASICが開発された場合、
Nicehashよりも多いハッシュレートを常に持ち続けられる上に、
ブロック生成間隔もかなり安定することになるだろう。

こういった点ではASICはネットワークの安定化に寄与する
という見方ができる。



しかし、ASICでしか掘れなくなることに批判もある。


これらについて考えていこう。

まず単純に、ASICでしか掘れないことによって
一部の人しか掘れないという批判がある。

買えばいいという話ではあるが、しかし、マイニングにしか使えない上
採算が取れなくなったら即ゴミとなる物を買うのは、
なかなかリスクのあることである。GPUは採算が取れなくなっても、
ゲーム用としての需要があるのとは対照的である。

しかし結局、現在のMONAも大量のGPUを持つGPUマイナーと
クラウドマイナーによって構成されている。
そこまで大きい変化は起こさないのかもしれない。

また、一握りのASICの製造会社が、ASIC市場を寡占するのでは?
という問題がある。CPUもGPUも実際そんなものではあるが、
ASIC製造会社はまだできたばかりということだろうか、信用が無い。
実際、ASICを作って売っている会社は数社程度であるし、
なかなか増えるものではないだろうから、
この問題は実際長く存在することになるだろう。

この点では、ASICは分散化を妨げるということになるだろう。
しかし、完全な分散というのはなかなか難しい話である。
言ってしまえば、プールも取引所も中央集権的なものである。
しかし必要な物である。
そこそこの妥協は必要なのかもしれない。



ASICは実際登場するのか?


ASICが登場しているアルゴリズムは、
SHA-256d,Scrypt,X11,Dagger-Hashimoto(Ethash),Equihash,Cryptonight,
Pascal,Lbry,Blake2B,Blake256R8,Blake256R14等である。

ある程度の市場規模の存在するコインが存在するアルゴリズムのASICが
作られるということがわかる。Lyra2REv2はどうか?採用している
コインの市場規模だけで言えばLbryやPascal以上はあるだろう。

しかし、Lyra2REv2はあのASIC大嫌いなVertcoinが開発したアルゴリズムである。そのため、そもそもASICが作られづらいよう出来ている。

ところが、面白い資料がある。株式会社アクセルの資料に
「マイニングハードウェア(FPGA)の販売
VIPPOOL を通じたマイニングハードウェア(FPGA)の販売」
引用元:http://navigator.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/
ENavigatorBody.aspx?cat=tdnet&sid=1607040&code=6730&ln=ja&disp=simple)との文字がある。実際に開発されるかどうかはわからないが、
開発は計画されているようである。まずはASICを売る前にFPGAを売ってからということなのかもしれない。

個人的には、
ASICの登場はMonacoinのネットワークが安定化すると信じる。
それはデメリットよりもメリットが大きく上回ることだと信じる。大いに期待したい。

執筆者:だれかさん

公開日:2019/02/05
獲得ALIS:25.84
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