以前のお話→https://alis.to/dorogamihikage/articles/3qQ6Dn4X7pwG
よければBGMどーぞ↓
いつのまにか服に砂が入ってて、それが海の思い出みたいでなんとなくいとおしいのだけど、とっとくわけにもいかないので払って捨てる。それがなんだかさみしい。
払った砂粒はどこにいったかもうわからない。さみしく思ったのなんて今だけで明日にはきっともう思い出すこともない。私も同じかな。いなくなっちゃったら思い出す人なんていないかもね。
最近、胸が苦しくて動けなくなることが増えた。あと少しかな。
「きっとすぐやむよ」
強く降る雨を見ながら君が言う。
「うん」
コンクリートでできた東屋?みたいな場所で雨宿り中の私たち。二人だけ。
「今日、海誘ってくれてありがとね。白石さんが誘ってくれなきゃ今年も海見ないままだったかも」
「うん」
「海来れてよかった」
笑顔、君の、心に焼き付ける。あと何回見れるかわからないから。
「君が喜んでくれて私もうれしい」
私の笑顔、君の心には残るかな。命って儚い。人はいともかんたんに死ぬ。誰だって明日も生きてるなんて保障は本当はない。けど医学は進歩し続けてるから100年以上先も生きてるかもしれない。100年後の君は100年前に死んだひとの笑顔なんて覚えてないんだろうなきっと。
やだな。
つづく→https://alis.to/dorogamihikage/articles/KOwnYVxErjlE