カンボジア滞在中、アンコールワットやアンコールトム遺跡群に行く機会が多くありました。
これらの遺跡は9世紀頃から発展したアンコール文明の中心地として建立されたものです。
カンボジアは1000年ほど前までは小国が乱立していて、様々な宗教が混在していました。
やがて9世紀後半くらいまでにアンコール王朝が設立されます。この頃になるとヒンドゥ教と大乗仏教がアンコール王朝の主要な宗教になりました。
特に12世紀にはヒンドゥ教が主流になり、当時の王によってヒンドゥ寺院アンコールワットが建立されました。そして王朝はさらに発展してゆきます。
巨大な塔が並ぶ中心部分は、ヒマヤラにあると言われる想像上の須弥山(メール山)がモチーフになっています。
アンコールワットは絶好の日の出スポットです。
早朝に行くと幻想的な日の出に出会えます。
アンコール王朝の時代、カンボジアは美術や文化の最高潮にありました。
当時の王はアンコール王朝こそが宇宙の中心であると考えて、メール山をかたどったアンコールワットを王朝の中心に建立しました。
13世紀に入るとジャヤバルマン7世という王様が登場します。
この時代になるとヒンドゥ教よりも大乗仏教が優勢になっていて、仏教様式のバイヨンと呼ばれる寺院を中心としたアンコールトム遺跡群が造られました。
この遺跡群には仏教寺院、ヒンドゥ教寺院が混在しています。
アンコールワットもバイヨン寺院も真上から見ると、メール山を表す塔を中心として同心状に広がる曼荼羅の形をしています。
バイヨンにいた猫。(このニャンコは遺跡の中のコウモリと格闘して捕まえて食べていました。とってもたくましい🐱)
アンコールワットやアンコールトムも素晴らしいのですが、さらにオススメの場所があります。
それはクーレン山と呼ばれている場所です。
アンコール文明は、トンレサップ湖という広大な湖を含む平地に発展しました。
(かなり前にこの湖の環境保護プロジェクトに関わっていました。みんな筏式の家で水上生活を送っていお店も筏、学校も筏、カラオケボックスもお寺も筏の湖です)
トンレサップ湖は豊富な水産資源に恵まれています。雨季には湖が氾濫して多くの地域が水没し、乾季には元の大きさに収縮するというサイクルを繰り返します。
その湖の氾濫によって土壌は肥沃になり、米作りが盛んに行われています。
アンコール文明は、トンレサップ湖によってもたらされる豊富なお米と水産資源によって支えられていました。
そのトンレサップにつながる源流が、クーレン山にあります。
当時はこのクーレン山こそがメール山だと考えられていました。
源流の川底にはシヴァリンガが彫刻されています。
シヴァリンガは創造の源であり、この川底こそが広大なアンコール文明の源にあたる部分です。
河原にいた猫🐱
アンコール王朝は15世紀まで続きますがやがて衰退していきます。
のちに上座部仏教がビルマ経由で入ってきて、現在では90%以上のカンボジア人が上座部仏教を信じています。
そのほかにも数%の人はイスラム教やキリスト教を信じていて、ジャライ族などの山岳少数民族はアニミズムを信仰しています。
カンボジアというひとつの国の中には多くの歴史と宗教、文化が融合しています。
宗教、民族、歴史、価値観、様々な多様性を経験できる場所だと思います😊