太陽の塔の内部に潜入

念願の太陽の塔に行きました。

太陽の塔は、1970年に大阪市吹田市で開催された大阪万博の際に岡本太郎が制作したものです。塔の高さ約70m、根元の部分の直径約20m、腕の長さはそれぞれ約25mある巨大なもの。

1970年の万博のテーマは「人類の進歩と調和」でした。それを表現する場としてテーマ館が作られました。テーマ館は、地上、地下、空中の3層にわたる展示空間でした。テーマ館の中心「太陽の塔」は、博覧会全会場の象徴として人間の尊厳と無限の進歩、発展を表現したものだそうです。

太陽の塔のモデルは縄文時代にあると言われています。縄文時代の筒型土偶を見た岡本太郎は衝撃を受けて、筒型土偶をモデルに太陽の塔を制作したそうです。

岡本太郎は縄文の人々が持っていたプリミティブな感覚や創造性に感銘を受けていたそうです。

太陽の塔には３つの太陽を表現した顔がデザインされていて、それぞれ過去、現在、未来を表しています。

黒い太陽（過去の顔）

太陽の塔の背面にある黒い太陽。過去を象徴しています。過去は常に背中から追ってくるのでしょうか。

太陽の顔（現在の顔）

正面の歪んだ顔が太陽の塔のメインの顔です。現在を表していると言われています。太陽の塔が制作されたのが1970年ですが、それから約50年経った今でも見事に現在を象徴している感じがしました。

黄金の顔（未来の顔）

なんだかニワトリのような宇宙人のような不思議な未来の顔。万博当時は、黄金の顔の目にはサーチライトのように光を放つキセノン投射機が点灯されていたそうです。この大きな顔からサーチライトが点灯された迫力はものすごかったと思われます。

横から見た黄金の顔。

さらに、万博当時テーマ館の地下展示には「地底の太陽」といわれる顔も展示されていました。「地底の太陽」は、高さ約3メートル、全長約11メートルにもなる巨大な展示物だったそうですが、万博終了後に行方不明になったそうです。

地底の太陽（第４の顔）

これは盗まれた地底の太陽をもとに作られたレプリカ。

太陽の塔の内部は万博終了後は公開を中止していたのですが、2018年から内部を改装して期間限定で見学できるようになりました。完全予約制です。

生命の樹

太陽の塔の内部には、鉄鋼製で造られた高さ約41メートルの「生命の樹」というものがあります。

樹の幹や枝には大小さまざまな292体の生物模型群が取り付けられ、アメーバーなどの原生生物からハ虫類、恐竜、そして人類に至るまでの生命の進化の過程が表されています。

生命の木を下から上に上がっていくにつれて、下から順に＜原生類時代＞、＜三葉虫時代＞、＜魚類時代＞、＜両生類時代＞、＜爬虫類時代＞、＜哺乳類時代＞という風に進化していきます。

螺旋状に階段を登りながら進化の過程を見学できる仕掛けになっています。

なんだかDNAの構造を辿りながら生物の進化を追体験できるような仕掛けになっている気がしました。

そして生命の樹の進化のエネルギーの源になっているものが、先ほど紹介した”地底の太陽”なのだと思います。

帰り側に壁に書かれていた岡本太郎の言葉を発見しました。

「芸術は呪術である。」

なんだか魂が揺さぶられるような言葉です。

夜になって観覧車に乗って太陽の塔を眺めました。

床が透けているので結構な怖さがありました。

観覧車の一方の窓から見える大阪の夜景が素晴らしく美しかったです。

そして反対の窓をのぞいてみると。

太陽の塔がそびえ立っていました。

夜の太陽の塔はライトアップされていてその存在感が際立っていました。

宇宙と交信しているような、そんな存在感があります。

実際に太陽の塔に近づいたり内部に入ると体にピリピリと微弱電流が流れる感じになります。

人工的に作られた最強のパワースポットではないでしょうか。

内部には地球の生物の進化数十億年の歴史を表現し、外部では独特の宇宙的な存在感を持っている太陽の塔。

「芸術は呪術である。」

岡本太郎のこの言葉を理屈で理解するのは難しいのですが、なんだか直感や体感では理解できたような気がしました。