今年始めに予算をつけてもらった自分のプロジェクトでブロックチェーンを使えるかどうか調査するためブロックチェーンの会議に参加したいと思っていて調べていたところ、ちょうどヨーロッパ・ブロックチェーン投資会議2019という会議がウィーンで2月28日から3月2日まで開催されるというので、同僚と参加した。
https://www.ebic2019.com/
初めて参加するブロックチェーン会議で2500人も来るというし、参加費も通常の3日チケットは8万円もするので(私達のチケットは人事の同僚が半値以下に交渉してくれた)、どんなにすごい会議なんだろうと思って期待して初日会場のシアターに到着した。
開始時間から20分くらい遅れてついたのに、普通のウィーンのアパートのような建物の螺旋階段を登っていくと聞こえてくるのは音楽と歌。
一見、普通のアパートのドアのようなところから入場しコンサートのリハーサルをやっているような雰囲気のシアターに到着すると300人くらい入りそうな会場にはスタッフも含めて25人ほどしかいなくて、唖然。先についていた同僚の隣に座って1時間ほどライブミュージックを聴きながら談笑して過ごした。
ようやく最初のオープニングスピーチのIsmail Malikが話し始めたのは予定開始時間から90分ほど経過してから。その後も最初のAgendaと多少異なる発表者がいたりと多少混乱しつつも、中にはとても良い発表をする企業もあって午後にはステージの上だけはなんとなく形になってきた。
どこかのインターネットTVにも中継されていたらしい。ただ、数万円の入場料を取ったイベントの会場運営はお世辞にもいいところなし。
しかし、会場運営と聴衆の数を無視すれば、個人的にはとても成果のあった3日間だった。
1.多くの企業はアメリカ・スイス・ロシアから参加していたが、いくつかの企業は自分が投資してもいいと思うほどすばらしかった。前の週に日本を訪問してトヨタと会合を持ったというwww.votex.ioなど、ブロックチェーンとハードウェアとソフトウェアとを組み合わせた省エネ技術サービスの提供は業績に裏づけされた形で既存の市場を十分脅かす雰囲気を醸し出している。
2.少数精鋭の参加者だったので、話す機会があったほぼ全員、起業家、投資家として実際に活躍している人ばかりだった。ハプスブルク=ロートリンゲン家のSandor氏も3日間ずっと会場にいて、直接話す機会が2度もあった。ハプスブルク=ロートリンゲン家が主催するFlame of PeaceというNGOの活動にブロックチェーンを導入することを考えており、イベントの開催にも関与しているようであった。
3.先進国をマーケットにしているスタートアップがほとんどだろうという先入観で会議に参加したが、話す機会のあった多くの人が新興国もターゲットにしていることが新鮮だった。2030年に向けた持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)をスライドにあげている発表者も3,4人いた。自分の信念として新しい技術は後進国のほうが導入しやすいと国連でのキャリア15年間ずっと感じていたが、そういう考え方を持った人が多く(全員かもしれない)いたのがびっくりでかつうれしくて、国際開発とブロックチェーンはパンとバターの関係なんじゃないかと考えるようになった。それは、特にブロックチェーン技術が銀行口座を持っていない人や身分証明を付与したサービスの提供を可能にすることや、サービスプロバイダーと消費者が直接やり取りすることで仲介料を下げることを可能にする市場アクセス促進に有利な技術であるから。最低限の機能の携帯電話さえもっていれば、それが銀行にも、身分証明にも、その他行政サービスや、世界どこの国への支払いにも使えるようになるはず。現在そのようなサービスにアクセスの全くない、開発後進国の人々には受け入れやすいインフラになるはず。結局会議翌日の日曜日の午後まで打ち合わせなどで過ごした。新しい知見を学ぶ機会だけでなく、息の長いお付き合いになりそうな専門家や起業家たちと出会えた実り多き4日間になった。
3月末から4月にはブロックチェーン関係のイベントが3つ続けてあり、どのイベントも今のところ今回のよりは運営もしっかりしているようなので、全てに参加する予定。中でもウィーン経済大学(WU)でのイベントにはパネルとしても参加予定。
3月28日:(招待者のみ)Successful launch of Token4Hope, TOKEN4HOPE – AUSTRIA’S FIRST 100% TRANSPARENT DONATION SYSTEM https://www.collective-energy.at/token4hope-event/, https://humanitytoken.net/
4月1-2日:UNBLOCK3D、the Cryptoeconomics Research Lab & the Regional Center of Expertise in Education for Sustainable Development, of the Vienna University of Economics, https://unblock3d.net/
4月2-3日:Anon Blockchain Summit, @anonsummit, https://www.blockchainsummitaustria.com/
(本内容は私個人の見解であり、私の所属組織の公式見解ではありません。)