かなり前のお話になりますが、1999年11月、近畿大学の男子学生がサークルの飲み会で一気飲みをさせられ、死亡していたことがわかりました。「はやし立てられた男子学生はショットグラス20杯分のウォッカを一気飲みしたということです」
学生の両親は「適切な処置をしなかった」として上級生らを刑事告訴しています。
「イビキをかいているから大丈夫やろ」という素人判断で尊い命を奪ってしまったのです。
急性アルコール中毒の影響で、吐いたものがのどにつまり窒息死したとみられているそうです。
私が大学生の時にも同じようなことがありました。新入生歓迎コンパであおられ、飲まされた同期が倒れてしまいました。すぐに先輩たちは「救急車呼べ!」となって、適切な処置がされ、一命を取り留めました。
せっかく、大学まで入れて、お酒の一気飲みでお子様を亡くされたご両親の悲しみはどれほどのものでしょうか?
このような話は毎年、聞く話です。でもその危険性は伝わりません。今年の春にもやはり同じような事故が起こるでしょう。
一気飲みの強要は「犯罪」との意識をもっと幅広く知らしめるべきですが、マスコミからはそのような報道は積極的にながれてきません。
このような痛ましい事故や、芸能人のアルコール依存症の話題ニュースになりますが、問題の本質が語られることはまずありません。
急性アルコール中毒はあなたのお子様にも起こりえますし、アルコール依存症は誰もがかかる「脳の病気」です。
人は自分や家族が実際に痛い目にあわないと、多くは他人事です。そういう私も「アル中?だらしのない飲み方をする人たちのことね!」と全く自分とは無関係だと思ってました。なってから、「とんでもない病気になってしまった」と気がつくのです。
アルコール依存症になった多くの人は否認の病と言われるくらいですから、まずは自分がアルコール依存症だとは認めません。
いつでもやめられるし、コントロールはきちんとできている。昨日はたまたま覚えてないけど、たまにはそういう日もある。
はたから見ていたら、明らかに問題があるのに、見て見ぬふりをしてしまうのですね。
理由は簡単です。病院に行ったら、お酒が飲めなくなるからです。ストレスを解消したり、仕事の疲れを癒やしてくれる親友を取り上げられたく無いのです。
アルコール依存症は進行性の病気で最後は死にます。平均寿命は52歳です。
私は妻が脳卒中で倒れて、介護、仕事、子育てを同時にこなしているうちに睡眠障害で眠れなくなりました。それで、寝酒をすることが習慣になりこれが原因でアルコール依存症になりました。
寝酒、やけ酒、晩酌はやめないと遅かれ早かれ、誰もがアルコール依存症になります。若い人は半年から2年で発症すると言われていますし、女性は男性の半分のお酒の量でアルコール依存症になってしまいます。
私は病気になる前にこの病気の知識がほしかったのです。アルコール依存症になると、2度と普通の飲み方はできません。一生、お酒が飲めなくなるのです。
アルコール依存症の予備軍や初期段階の人は「節酒」が可能な場合があります。是非、正しい知識をつけて、ご自分やご家族の命を守ってください。
Masa