皮肉という単語を聞いて、真っ先に思いつく国はどこだろう。国の文化とさえいわれいる国は、フランスという。日本人にとって、フランスは、欧州でも人気のある国のひとつだ。「目は口ほどにものをいう」ということわざがある。このフランスで、台詞を語らずとも、絵の雰囲気で語る映画がある。
2003年6月11日(フランス)公開『ベルヴィル・ランデブー』。
では、絶妙な雰囲気を醸し出す予告編をどうぞ。
物語は、孫を必死で探すおばあちゃんが困難に立ち向かうものだ。ここの探す側をおばあちゃんにしていることが面白い。なにかを探す、なにかを助けるというとき、勇敢な少年や屈強な男性が出てくることが多いが、ここはおばあちゃんだ。おばあちゃんは、体はそんなに強くないし、無理も出来ない。しかし、おばあちゃんだからこその強みがある。それは、人生経験と知恵だ。これは、誰にも奪われない。孫を必死に探すおばあちゃんが、ときに最愛の孫を探すとき、自分のおばあちゃん力を最大限に発揮する。
これは、年齢に関係なく、そのときそのときにある力を用いれば、困難に立ち向かえるというものだ。若く体力があるなら、その体力を。体力がなければ、知恵を。使ってこその能力であるのだから。
今作は、絵の表現と歌が、フランスならではの豊かな雰囲気を生み出す。人の動きから、建物の立ち姿まで、あますことなく堪能できる。物語もさることながら、あえて手書きのアニメーションにこだわった当時の傑作をぜひ劇場で味わってほしい。
今作を紹介したのは他でもなく、2021年7月9日(日本)リバイバル上映するからだ。以前、2004年12月18日に公開して以来だが、不朽の名作はいつみても色褪せない。人というより、街に魅力を感じるのは、フランスならではといえるだろう。
『ベルヴィル・ランデブー』とは、直訳すると、「美しい街との出会い」。その街に、人に、雰囲気に出会い良さを感じるのは、一種の旅行のような楽しみかもしれない。
それでは、それでは。