2月頭から始まった長い春休みはいつの間にか終わり、
今年度の春学期の授業もいつの間にか終わっていた、
一度も大学に行くことなく。
つい1年前には、東京に世界中から大勢の人々が訪れると
誰もが予想していた2020年7月末、
自宅でパソコンを開き、パジャマ姿で期末試験を受けた。
通帳には半年分の学費がきっちりと引き落とされた記録。
大学からやや離れた場所に住んでいる身としては、
これといって何をするでもなくただ電車で揺られていただけの時間を
過ごさずにすんだことはメリットではあった。
しかし、自宅でパソコンを開き、時々音声が止まる先生の話を聞きながら
他に誰が受講しているのかもよくわからない授業が淡々と進む日々。
サークルやゼミは、画面に写る消しゴムほどの大きさの仲間たちと。
キャンパス内のふとした出会いから新たな友人ができるなんてこともなく、
去年と同じ人間関係のまま毎日が過ぎていく。
勉強できているだけ幸せではあるが、これが大学生活か?
「いつの間にか大学生活が終わってしまっていた」
と近い将来思うのだろうか。
近所の学校から風にのって届く子どもたちの楽しそうな声を聞きながらふと考えた。