神奈川県鎌倉市由比ガ浜にあるマンション「シーサイドコート鎌倉若宮大路」の怪談話を紹介します。シーサイドコート鎌倉若宮大路は墓地だった場所であり、建設時に人骨が出土しました。由比ガ浜は鎌倉時代以来、墓地や処刑場、戦時の死体捨て場として使われました。
鎌倉時代は内戦に次ぐ内戦でした。その実態は2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でも描かれるでしょう。新田義貞の鎌倉攻めの際の戦死者も由比ガ浜で放置されたり、埋葬されたりしました。由比ガ浜は関東大震災では津波に洗われました。鎌倉簡易裁判所や由比ガ浜地下駐車場でも建設時に人骨が出土しました。戦死者と見られる刀創・刺創・打撲創のある人骨も出土しました。
シーサイドコート鎌倉若宮大路は販売時のキャッチコピーで「思い出」を強調したことが逆に怪談を印象付けました。「思い出の場所が、永住の地となる」「思い出がよみがえるあの場所に」「鎌倉を愛する人々の思い出がいっぱい詰まった道」などです。鎌倉という歴史ある街に因み、「思い出」を強調したと推測されます。しかし、葬られた人々の怨念も思い出してしまいます。
マンションの広告チラシを配布するアルバイトに異変が起きました。その人物はマンション建設地の由来を知りませんでしたが、昼過ぎから胃が重たくなるような感覚になり、倦怠感に襲われたとのことです。心臓に流れ込んだ血が冷たくなり、思考が脳で凍りつきました。
勤務前に「現地で大量の人骨が発見されたらしいよ」と言われた同僚も同様の症状に見舞われました。そこで彼も建設地の由来を知ることになりました。最初は都市伝説のようなものと考えていましたが、体調を悪くしてから急激に罪悪感が強くなりました。最後は仕事しているフリだけで、ほとんどチラシを渡さなかったと言います。それで少し楽になりました。