大正浪漫夢通りは埼玉県川越市連雀町の商店街です。石畳の通りに広がる大正浪漫風の古くてモダンな建物は、まるで時空を越えてきたかのような趣があります。かつては銀座商店街という昭和風のアーケード商店街でした。アーケードを除去して開放的にしました。
大正は昭和の前の時代ですが、昭和よりも新しさを感じます。どうしても昭和には精神論根性論を感じます。第二次世界大戦中の軍国主義が元凶ですが、戦後も官僚主義や集団主義の中で個人の抑圧が続いており、昭和全体にネガティブなイメージがあります。これに対して大正時代には昭和よりもポジティブで前向きなエネルギーが漂っています。
商店街活性化は多くの地方都市の課題です。大正時代を目指すアプローチは斬新であり、他の地方都市にも一石を投じるかもしれません。昭和のネガティブなイメージから抜け出し、大正の明るさや開かれた雰囲気を取り入れることで、訪れる人々に新たな魅力を提供できます。アーケードを撤去して開放的にしたことも、時代の変遷とともに柔軟に対応し、新しい風を取り入れる意思の表れと言えます。
大正浪漫夢通りの南の入り口に大野屋洋品店があります。この店舗は石造り風でありながら、実際には木造建築という驚きの融合を見せています。ショーウィンドウの上には花束のレリーフがあります。これはまるで時間を超越した美を象徴しているかのようです。
大野屋洋品店は立門前通りと大正浪漫夢通りの角に立っています。立門前通りは蓮馨寺の門前商店街です。大野屋洋品店は大正浪漫夢通りと門前商店街の両方の商店街に重なります。異なる商店街の文化が交わる場所であり、地域の多様性と共生を象徴しています。
蓮馨寺と呑龍上人
大野屋洋品店の隣には吉田謙受堂書店、シマノコーヒー大正館が並びます。吉田謙受堂書店は白壁漆喰の川越名物蔵造り風の建物です。シマノコーヒー大正館は大正モダン風の喫茶店です。おしゃれで懐かしい雰囲気の中、大正の風に吹かれている感じがたまりません。大正浪漫で統一された建物が並ぶよりも、大正風、江戸の蔵造風、大正風とアクセントがある方が面白いです。
川越陣力屋(浪漫石焼)は石焼の食事や人力車が楽しめる店です。川越は人力車も走っており、東京の浅草のような観光地です。「やきいもワッフル」は石焼き芋をワッフル型で焼いたものです。石焼き芋をワッフル型で焼くなんて、まるで食べるアート。江戸時代の川越はサツマイモの産地でした。江戸時代から続く川越の歴史が、美味しさの中に閉じ込められていると考えると、感動もひとしお。これは「歴史を味わう」の真髄です。
サツマイモは明から琉球王国、薩摩に広がりました。八代将軍の徳川吉宗が飢饉対策として痩せた土地でも容易に栽培できるサツマイモを奨励し、関東の栽培が普及しました。飢饉対策の食べ物となると味は二の次となりがちですが、サツマイモは甘みがあり、日常の食べ物としても人々から歓迎されました。これぞサツマイモの甘い勝利です。値段と味は比例しません。
川越芋のキャッチコピーは「栗よりうまい十三里」です。江戸から川越まで十三里(約52km)の距離にあったためです。「栗(九里)より(四里)」で九里に四里を足して十三里という洒落にもなっています。
川越熊野神社は八咫烏がシンボル
光る君へと鎌倉殿の間の川越八幡宮
冤罪繋がりの畠山重忠と道場天満宮
鎌倉殿ゆかりの大宮氷川神社で初詣
鎌倉殿ゆかりの鎌倉大仏