フジテレビ系列『めざましテレビ』内で放送するアニメ『ちいかわ』が2023年6月に「三ツ星レストラン」編を放送しました。ちいかわとハチワレが三ツ星レストランに行き、ピンチに陥ります。
『ちいかわ』はナガノ『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』を原作とするアニメです。小さくてかわいいキャラクターの「ちいかわ」や友達のハチワレ、うさぎ達の日常を描きます。ちいかわもハチワレも子どもが声優をしています。ちいかわは青木遥さん、ハチワレは田中誠人さんです。
かわいいキャラクターを見て癒される話をイメージしますが、結構シュールでブラックな世界です。ちいかわ達は労働して報酬を得て生活しています。資格によって報酬が異なるシビアな世界です。労働の中には討伐という怖いものもあります。
ちいかわとハチワレは、たまたま「三ツ星」の看板のあるレストランに出会いました。ちいかわは店の雰囲気に不安を感じていますが、ハチワレは楽天的で前向きです。三ツ星レストランは三つの星が飾ってあるから三ツ星でした。星達は拘束されており、呻いています。最初に星達を観た時は星達を怖いと思ってしまいました。しかし、それは拘束された苦しみでした。解放された後の星達はかわいらしいです。
日本では留置場(代用監獄)や外国人収容施設の過剰拘束などの人権侵害が国際的に批判を集めています。愛知県警岡崎警察署は勾留者を裸でベルト状の手錠や縄で140時間以上拘束して死なせました(「「犬ネコ以下だ」息子の死に父怒りの会見 留置場で裸で拘束、署員が“暴行”か…監視カメラも見せてもらえず 県警が捜査中」FNNプライムオンライン2022年12月19日)。収容者が暴れたから拘束したと正当化する傾向がありますが、それは逆であり、自由が損なわれているから暴れます。
三ツ星レストランは宮沢賢治『注文の多い料理店』を連想させる展開です。不信感を抱いてもおかしくない展開ですが、ハチワレは「今日の疲れがすっかりとれました」と喜んでいます。『注文の多い料理店』は二人で店に訪れたため、互いに判断を委ねて都合よく解釈します。これに対して『ちいかわ』では、ちいかわは一貫して不安感を持っていますが、ハチワレが甘いです。
ちいかわ達は最後に巨大なオムライスを食べます。三ツ星レストランを否定した後に出された料理がオムライスという日常グルメであることには味があります。値段と味は比例しません。うさぎが走って登場し、オムライスにかぶりつきますが、すぐに満腹になります。食べる勢いはありますが、食べる量の制約を知っています。うさぎは飽食の愚かさを認識しています。