東海大学の硬式野球部の複数の部員が神奈川県平塚市にある野球部の寮で大麻と見られる違法薬物を使用した疑いがあります。東海大学は2020年10月、硬式野球部の無期限活動停止を発表しました。依存性薬物汚染の深刻さを示します。
東海大学の無期限活動停止に対しては無関係の部員にも制裁を科す連帯責任との批判の声があります。管見も連帯責任には反対です。他人の行動で負担を負わされることは不合理です。連帯責任を教育と正当化することは論外です。金八先生的なクラス全員を集めて問題を考えようという取り組み自体が昭和の集団主義です。
今やイジメ問題でもイジメ加害者か被害者のどちらかが学校を去ることが解決策になります。本来ならば被害者が去ることは不合理ですが、クラスが一丸になって問題を解決するという非現実的な妄想よりは現実性のある解決策です。
この皆で話し合って解決するという連帯責任とは真逆の視点から、無期限活動停止という措置自体は肯定できます。依存性薬物使用者は周囲を巻き込まずにはいられないという悪い性質があります。若年層の大麻汚染と言えば警察官の大麻汚染も深刻です。大阪府警堺署巡査も山形県警寒河江署巡査も知人から大麻を勧められたことが大麻使用のきっかけでした。堺署巡査は同僚警官にも大麻を勧めました(「伊勢谷友介さんが大麻取締法違反容疑で逮捕」ALIS 2020年9月10日)。
部活動の人間関係は非常に濃密です。特に体育会は濃密です。人生の質的にも量的にも圧倒的大半を占めるという部員も少なくないでしょう。部員に依存性薬物使用者が存在したら、周囲を巻き込まずにはいられないという悪い性質から、部活動の人間関係を通して依存性薬物が広がる危険性があります。
ここから活動停止は防衛措置として意味を持ちます。真面目に野球に取り組む依存性薬物とは無縁の部員達に、依存性薬物を使用した不心得者の連帯責任を負わせると考えるならば不合理です。しかし、依存性薬物を使用した不心得者から、真面目に野球に取り組む依存性薬物とは無縁の部員達を完全に切り離す措置と位置付けられます。
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