神社仏閣アドバイザーのhideです。
今回も大人の教養【仏教】の二回目ということでお送りします。前回は釈迦は何を悟ったのかを書きました。要は、世の中は常ならず。思い通りにならないのに、思い通りにしたいと欲すると、そうならなかった時に人はストレス(苦)を感じる。
これを「四諦」という言葉で表しました。自らの欲望や煩悩が、自分自身をどんどん追い込んでいってしまうのだということです。
しかし、釈迦は欲望や煩悩を無くす方法も教えてくれています。これを掘り下げていきたいと思います。
いつもの通り動画の宣伝です(笑)
文字が苦手な方はYouTubeでさくっと見てください。1.5倍速にすれば、たった12分で見終えることができます。
煩悩を無くす方法!
これは全部で8つあり、すべてを実践すると欲望・煩悩が少ない人間に至る。つまり、ストレス(苦)の少ない人生を歩むことができます。
この8つ!
①正しい物の見方をしよう。自己中心的にとらえない見方。
②正しい決意をしよう。貪り、憎しみ、妄想に惑わされない。
③正しい言葉を使おう。騙したり、悪口を言ったりしない。
④正しい行いをしよう。社会に誇れる仕事をしよう。
⑤正しい生活をしよう。人の迷惑にならず、規則正しい生活をしよう。
⑥正しい努力をしよう。悪いことはやめて、善いことをたくさんしよう。
⑦物事の本質をあるがままに受け止めよう。刺激に反応をするのではなく、真理を求めていこう。
⑧心を安定させよう。
この8つの教えのことを「八正道」(はっしょうどう)と言います。
仏教の理論ではなく、実践を説いているパートです。
経典の中では、さきの①~⑧はどのように言われているかというと、
①正見
②正思惟
③正語
④正業
⑤正命
⑥正精進
⑦正念
⑧正定
とりわけ、⑧の正定にフォーカスした実践方法がいわゆる瞑想。坐禅などの作法でも知られており、近年ではマインドフルネスという英語にもなっている概念です。
まあ①から⑥は皆さん結構意識していると思います。小学校の道徳の時間じゃね~んだぞ!ってバカにされそうなくらいです(笑)
では、⑦と⑧はどうでしょうか?まずは⑦から考えましょう。
会社で隣の席の方が急にカップラーメンを食べ始めたとしましょう。
「ふー、ふー」と冷まし、「ズルズルズル」っと麺をすする 音(聴覚を刺激)
「お出汁の香り」「チャーシューの香り」 匂い(嗅覚を刺激)
「笑顔で食べる隣の人」「ほとばしる汁気」 目(視覚を刺激)
瞬く間にラーメンが食べたくなってきたかと思います・・・。ほんの数秒前まで仕事に集中していて、大事なプレゼンの資料を作っていたはずなのに。たったカップラーメン一つで途切れる集中力。人間とはそういう生物なのです。
実は同じことは無意識にも起こっています。
シチュエーションはこうです。
◎朝の満員電車
◎スマホを見るあなた
◎見る目的は今日のニュースをチェックしたい
◎Yahoo!ニュースを開いたところ
・・・気づいたら、トピックスに上がっていた芸能ネタをタップしていたりしませんか?スポーツの結果を開いてたりしませんか?
あなたは!今!ニュースをチェックしたいんですよね?
何を開いているの?今!
今朝電車の中で、インスタやツイッターを開きましたか?
誰の投稿に「イイね」を付けたか覚えていますか?
何が言いたいかと言いますと、
無意識に視界に入ったものに反応してしまうし、無意識に何かの行動を起こしてしまうものなのです。
ニュースを見ようと思っても違うものをタップしてしまうものだし、他の人とつながるエンターテインメントとしてのSNSなのに誰にイイねしたかも覚えきれない。
それが悪いということではなく、人間とはそういう生き物なのだということを意識することが大切。意識的に物事に取り組んでいると思っていても、実は無意識にいろいろなことをしてしまっているし、無意識にいろいろなことを考えてしまっている。
これは自分だけではありません。
あなたの家族も、友人も、取引先の方も、外国の人も、みんなすべて無意識に動いていることがある。刺激に反応して行動していることがある。
だからこの世は、
常に予測不可能に動いていて、何が起きるか分からないのです。
刺激に振り回されないようになるために、⑧の正定が説かれています。
ですから、八正道は逆回りではじめないといけない。
⑧からスタートして、⑦ができる。そうすると⑥もできるようになり、⑤ができる・・・。最終的に①まで到達して完成。そんな感じでしょうか。
なぜ、この8つをやるのか?おさらいですが、
だから。
「長生きしたい」「お金持ちになりたい」「会社で偉くなりたい」etc
これらはみんな欲望・煩悩です。考えの最初が欲望・煩悩では永久に幸せをつかむことはできません。
いや!待ってくれ!
このように反論されることがあります。確かにそうです。その通りだと思います。おっしゃる通りです。
欲望や煩悩を無くしたら、人間的な発展は無かったと思います。
考え方としてこんなイメージが理想でしょうか。
「長生きしたい」 → 「いつまでも家族と楽しく過ごしたい」
「お金持ちになりたい」 → 「自分の好きなライフスタイルを追求したい」
「会社で偉くなりたい」 → 「チームを率いて大きな仕事をしたい」
本来ものの考え方は矢印の右側のような考え方からスタートしていなければならないはず。欲望・煩悩からスタートした考えは、必ず喉の渇きとなり、永久に満たされない。理想的に生きていく考えを身につけましょう!という教えが、現代の仏教です。お寺などでお坊さんが説く内容となっているかと思います。
しかし、釈迦はもっと究極に欲望・煩悩を無くしていこうと言っていました。経典にもそのように書かれています。財産、家族、地位や名誉などすべてを捨てて出家し、ひたすら瞑想をしなさいと言った。徹底して欲望・煩悩を消し去ることを目指す。
欲望・煩悩を無くすことを要求した「釈迦の仏教」。厳しい・・・。
ということですね。
ここで多くの読者が離れていってしまう。オレに仏教は必要ない。
世界三大宗教となった仏教。ネガティブ教団が多くの信者を獲得したという事実、歴史を見なくていいのでしょうか?もったいない(笑)
次回はなぜ仏教は広まっていったのか?とりわけ「釈迦の仏教」(初期の仏教)についてを解説します。
神社仏閣アドバイザーのhideでした。それではまた!