神社仏閣アドバイザーのhideです。
大人の教養【仏教】シリーズの第三回。最終回となります。前回は、ストレス(苦)の原因である欲望・煩悩を取り去る方法、「八正道」についてお話しました。
まずは動画の宣伝から(笑)
文字情報が苦手な方はYouTubeでどうぞ。倍速で視聴したらすぐです。
釈迦が悟りを開いた後、徐々に弟子が増え、欲望・煩悩を無くすライフスタイルを追求するサークルができました。
これを、
と言います。
当初は宗教的信仰や教説などはありませんでした。ライフスタイルサークルと言った方が分かりやすいと思います。現代でいうところの「酵素生活」サークル、「ヴィーガン」サークル、「腸活」サークルみたいな、ある種の生活向上倶楽部です。
しかし、いくつかの特徴がありました。
ということです。出家とは、家族・財産・職業・家を捨ててサークルメンバーと共に過ごさなければならないということです。でも、これは理にかなった行為。
なぜならば、サンガの目的は「欲望・煩悩を無くすこと」にあるからです。それにチャレンジしたいと思った人が集まるサークルなのです。ですから、街などで勧誘して無理やり連れ込むみたいな組織ではありません。入会金ゼロ、年会費ゼロ(笑)
むしろ、財産を持ち込んではいけないのです!
サンガではひたすら瞑想をして、刺激から離れ、心の安定を心掛ける生活をする。
とはいえ、人間腹は減る・・・。しかも、金は持ってはいけないと言われる。
食事はどうしているのか?
これを托鉢(たくはつ)と言います。現在でも駅頭でお坊さんが笠をかぶってブツブツお経を唱えている姿を見かけます。
当時のインドではお椀を持って街を歩き、家々を訪ね歩いてご飯を少しずつ分けてもらう風景が日常でした。しかも、食事は毎日のことなので、本当に毎日のことです。
なので、出家者にはあるスキルが必要でした。それが、
ということなのです。金を持っているから、家を持っているから、家族がいるから、ご飯を恵んでもらえない訳です。「自分の金で飯を食え」と怒られますよね。
恵んでもらえるような生活をしていないと、すぐに後ろ指を指されてしまう訳です。サンガでは、サークルメンバーとしての生活規範について、事細かにルールが作られていました。これを「戒律」と言います。とりわけ、「律」と言います。
それは当たり前です。万が一でも、街の人から後ろ指を指されるようなことになると、すぐさま食事の供給がストップします。命に直結する大事な問題です。サンガの中でルール違反をすると、糾弾されたり、場合によっては破門されることになります。
一つ疑問が湧きます。
サンガが出来る最初の話に戻します。元々、サンガは有志の集まるサークルです。これはあくまでも、有志が、自らの意志で集まってやっている好き勝手な集団なのです。自分の生きたいように生きる。好きなことやって生きる。これを志向するために作られたサークルなのです。
サンガに入るメンバーはみんな、
と思ってやってきます。普通の生き方に疲れ、悩み、苦しんだ末に、自らを解放したくて釈迦の元を訪れてきます。
誰でも長い人生、壁にぶちあたることはあります。
仕事でうまくいかない、家庭でうまくいかない、お金でうまくいかない・・・etc
常に悩みや苦しみにさいなまれて生きていく必要があります。
もし、そんな心のモヤモヤが無い方は
仏教は「今が辛い」「今が苦しい」という人のための哲学です。毎日がハッピーで、楽しく充実している人には不要の存在です。
悩み、苦しみ、辛い時、仏教を思い出してください。きっと、何かが変わるキッカケを与えてくれると思います。
最後にまた、サンガの話に戻ります。
釈迦がいた頃のサンガは、自由に出入りができました。サークルに入るには出家をして、メンバー同士で共同生活をするだけです。逆に共同生活の結果、心のモヤモヤが取れ、娑婆の生活に戻っていく人もたくさんいました。
だった訳です。
また当時のサンガは女性も加わることができました。もちろん男性メンバーとは一切関わらず別々に共同生活をします。女性同士のサンガを作る訳です。しかし、紀元前のインドで、女性が主体的に行動できるというのは画期的でした。非常に先進的な考えも仏教にはあったのです。
新しいライフスタイルを追求する有志たちが、自らの意志で取り組んでいた生活。それが、原始仏教なのです。
その一心で、一生懸命に生活を改善しようと打ち込んだ。それが仏教なんですね。
以上、神社仏閣アドバイザーのhideでした。
<参考文献>
『原始仏教』 著・中村元 出版・NHKブックス
『インド思想史』著・中村元 出版・岩波書店
『ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか』著・佐々木閑 出版・NHK出版新書
『出家とはなにか』著・佐々木閑 出版・大蔵出版