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【絶賛御開帳中】長野・善光寺に行こう

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  • 2022/04/07 12:32
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神社仏閣アドバイザーのhideです。

既にニュース等でご存知かもしれませんが、今年2022年は長野県長野市にある善光寺の御開帳が行われます。

 

《期間》

2022年4月3日(日)~6月29日(水)

 

 

今日のテーマ

 ①御開帳とは何か?

 ②善光寺という寺とは?

 ③オススメお参り方法

 

また、御開帳とは関係ありませんが、「善光寺」というお寺の歴史について解説する動画をYouTubeにアップしています。良かったらご視聴くださいませ。

 

では早速参りましょう!

 

①御開帳とは何か?

まず結論からですが、御開帳とは7年に一度行われ、本尊に似せた「前立本尊」を公開し、一般参拝客が拝むことができる行事です。

7年に一度とありますが、「数え年で7年に一度」という解釈になります。ですから、開催年の今年を一年と数え、来年2023年が二年目・・・ということで七年目を迎えるのは6年後の2028年。しかし、オリンピックとは違い次回の開催日は発表されないのが通例です。というのも、今年の開催もイレギュラーだからです。前回は2015年に御開帳が開催されました。本来ならば2021年に御開帳が開催される予定でしたが、コロナ禍の影響により、2022年に延期されていました。

次に前立本尊という言葉を出しました。元々善光寺の御本尊は「一光三尊阿弥陀如来」という飛鳥時代に朝鮮から伝来したと言われる大変貴重な仏像です。そして、御本尊は「絶対秘仏」と言って、一般公開されていません。学術機関や政府の調査などにも協力していません。更には、お勤めされているお坊さん達も御本尊様が普段どこにどのように安置されて、どんなお姿なのか知りません。門外不出どころか、未知なるベールに包まれているのです。

そこで、数百年前に御本尊様のレプリカを作成しました。これが「前立本尊」です。秘仏である御本尊の前に立てて、拝めるようにしたために前立と付いています。姿かたちは御本尊とまったく同じであると言われているので、レプリカと言ってしまいましたが大変ありがたいものなのです。前立でありながら、歴史的にも、美術的にも、そして宗教的にも貴重な仏像です。

 

御開帳の歴史は江戸時代中期に遡ります。

当初は前立本尊の方から江戸や上方などの都市へ出張して、見世物にしていました。現在でも国立博物館などで神社仏閣の宝物などが公開されていますので、あれと同じ感覚と認識ください。善光寺では「出開帳」(でがいちょう)と言っていました。

ミーハーな町人たちが、物珍しさに善光寺の前立本尊を観にやってきます。入場料を払い、更にはお賽銭をしたり、お札を購入したり、と多額のお金を集めることができました。こうして集めたお金で、お堂や門を修理したり、壊れた境内を建て替えたりしていました。

修理や再建などを目的に、寺社が資金を調達する行為を「勧進」(かんじん)と言います。歌舞伎の演目で勧進帳というものがありますが、あれも自社の勧進から来ているものです。集めた寄付金や売り上げを記録する帳面が勧進帳です。

そうです、

御開帳は画期的な資金調達方法

なのです。

珍しい貴重な御本尊を「今だけ」「特別に」公開します!という触れ込みで人々を集める訳です。町民も「今を逃したら次は無いかもしれない」「これは珍しい」などとこぞって集まってくる。

そして、御本尊のお姿もまた、非常に神々しい訳です。ご利益あること間違いなし!行って良かった!また次も見たい!と、口コミに拍車がかかり、一躍大ブームになりました。

時代は下って、明治以降に鉄道が開通すると、御本尊が出掛ける出開帳ではなくなり、人々が長野へやってくる今のシステムに落ち着きます。

数え7年に一度という定期開催のスキームもこの頃出来上がりました。以来、御開帳の年になると、長野市をはじめ旅行会社や鉄道会社など、関係業者がいっせいにPRををして地域を盛り上げていきます。

 

②善光寺という寺とは?

では、なぜ、信濃国「長野」にある善光寺に人が集まるのか?御本尊はそんなに貴重な仏像なのか?という疑問が残ります。

 

善光寺の創建は飛鳥時代後期(白鷗期)

御本尊「一光三尊阿弥陀如来」はそれよりも古い説

 

有名寺社と言うと、京都や奈良など近畿地方の名刹をイメージされるかと思います。

しかし、奈良に都が置かれたのが710年、京都に都が置かれたのは794年です。

飛鳥時代はそれよりも更に前の時代!中大兄皇子とかが出てくる大化の改新が645年ですので、おそらく西暦600年代の話!

めちゃくちゃ古い!

それが善光寺。奈良や京都の寺社よりも更に歴史があるのが善光寺なのです。

それならば、どんなところなのだろうかと気になるのが人間というもの。出開帳が始まった江戸時代でさえも、人々は善光寺の歴史に心躍らせた訳です。

ちなみにですが、寺社創建の歴史については後代になってから後付けで色々脚色されていることが一般的なのですが、善光寺に関して言えば創建年代は飛鳥時代後半で間違いないと比定されました。根拠として、出土した屋根瓦の生成方法や文様などが、飛鳥時代に使われていたものだということで、考古学的にも検証されました。

ただ、誰が何のために善光寺を作ったのか、絶対秘仏の御本尊様は存在しないのではなど、未だベールに包まれている部分もあります。まあ、それは歴史ロマンということで、細かいことはいいんじゃないでしょうか。

 

そして、

善光寺は無宗派のお寺

宗派に関係なく、誰でも受け入れていただけるお寺になっています。こうした点も宗教色を薄める効果があり、逆に現代人に受け入れやすくなっています。

とはいえ、実際は天台宗と浄土宗のお坊さんによって運営されています。善光寺というのはいわゆるホールディングスであり、所属する社員が誰もいない感じです。事業会社という位置づけで「大勧進」(だいかんじん)という天台宗のお寺、「大本願」(だいほんがん)という浄土宗のお寺の二つが共同で運営しています。

ですから、善光寺の住職は二人います。天台宗から一人、浄土宗から一人、合計二人が選出されています。ちなみに副住職もそれぞれの宗派から一人出ていて、合計二人の体制です。

奉仕しているお坊さんたちも、善光寺のお坊さんでありながら、大勧進か大本願に所属していますので、天台宗か浄土宗の方たちです。

ですから、本当に無宗派なのかと言われると、そうとも言えないという感じです。

ただ、善光寺の歴史を紐解くと、色々な宗派のお坊さん達が仕えていたり、勧進行為に貢献したりしていました。室町時代ごろまでの地方の寺院は、奈良や京都の有力寺院と違い、宗派に問わられずにお坊さんたちを受け入れていました。善光寺も同様で、様々な僧侶が活躍しています。そういった経緯を踏まえると、私たちも宗派などにとらわれることなく善光寺のありがたさを素直に受け入れることができるのかなと思います。

 

③オススメお参り方法

最後に御開帳期間に楽しみたいことをいくつかご紹介します。

 

回向柱(えこうばしら)

御開帳期間中に本堂の前に、高さ約10メートルの大きな木の柱が立っています。この回向柱の先には紐が結ばれており、最終的には前立本尊に繋がっています。回向柱に触れることで、御本尊とつながることができる訳です。なお、今回の開催に関しては、新型コロナ対策として回向柱周辺は二列に並びながら、立ち止まらずに触れていく形式になるようです。密になっていた場合など無理に触りにいかなくてもいいのかなとも思いますし、運営側の皆さんも回向柱にこだわらないようにと発信されています。柱自体は本堂の外にありますので、無料で拝むことができます。

 

御印文頂戴(ごいんもんちょうだい)

こちらの方は本堂の中で行われます。内陣拝観券(500円)が必要です。内陣とは本堂の中のことを言いますので、前立本尊を見るためには内陣拝観券がそもそも必要です。御本尊を見てから、人の流れが二か所に分かれていくと思います。そのうちの一つ目が御印文頂戴です。毎年1月7日から15日の期間で行われている行事なのですが、御開帳期間も同様に開催されています。

お坊さんが持った印判を参拝客の額に当ててくれるという一連の行為なのですが、これが儀式のようで大変ありがたみを感じます。無病息災、健康長寿などの他、諸願成就に良いと言われています。印判と言っても、朱肉が付いている訳ではないのでご安心ください。

 

御戒壇巡り(おかいだんめぐり)

内陣で二つ目の行列が御戒壇巡りです。こちらは通年行われているので、御開帳期間に限った行事ではありません。内陣の地下に降りることができ、御本尊が安置されていると言われる堂内を一周することができます。しかし、この地下空間は真っ暗です!壁に手を当ててひたすら時計回りに歩いて一周するというシステムです。

右手を壁に当てて歩き続けると、途中で錠前に触れられます。この錠前が、御本尊のお部屋の鍵。ドアを開けることはできませんが、御本尊と一体となれるということで、皆さん錠前を目指して必死に壁を触っています。

現在は新型コロナ対策のため、地下に小さな照明が付けられました。壁を触らずとも一周することができるようになっています。

 

残り2か月少々の会期ですが、是非機会がありましたら長野・善光寺へお参りされてはいかがでしょうか。きっと素敵な人生の思い出になること間違いなしです。

神社仏閣アドバイザーのhideでした。

 

 

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  • @hides-seichi-junpai
神社仏閣アドバイザー。元・大手旅行会社社員。「旅行をしながらお寺や神社にお参りしよう!」「お寺や神社は知識の宝箱!」をキーワードに聖地巡拝ツーリズムを提唱しています。

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