血糖値を下げる「疫病よけのお守り」
【玉葱】 Onion
◎旬=春・秋◎効能=強壮・強精・高血圧・血栓症の予防・改善
アフガニスタンからペルシャ(イラン)にかけての原産。ユリ科の越年生草本。ヨーロッパでは、4000年以上も前から栽培されていて、古代ギリシャの歴史家へロドトスも「古代エジプトのピラミッドの建設に従事した奴隷にタマネギとニンニクを食べさせて、仕事の効率を上げた」と書いている。
ニラ、ニンニク、ネギと同じくアリウム属の野菜であるタマネギには、駆虫、殺菌、防腐、発汗、利尿、解毒作用があることがわかっている。
こうした作用の主役は、含有成分のイオウ、リンなどのミネラルだが、イオウを含んだ硫化アリルは、その中心的働きをしている。特に、タマネギを包丁で切った時に涙を出させる成分として有名なチオスルフィネートには、血栓予防や、抗ヒスタミン作用(アレルギーに効く)が
ある。
他に、血液中の善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減少させる作用があることも科学的に証明されている。
ビタミンとしてはB1・B2・Cを多く含み、特にCは、ファイトケミカルのケルセチンと協同して、血管をしなやかに、かつ丈夫にして、脳血栓、心筋梗塞、高血圧などの血管病の予防・改善に役立つ。
タマネギの含有成分として特筆すべきは、グルコキニンで、強力な血糖降下作用を有している。
また、鎮静作用もあり、生のタマネギを切って枕元に置くとよく眠れることが、経験的に知られている。イギリスには「1日1個のタマネギは医者を遠ざける」ということわざもあり、台所や病室にはタマネギを置いて「疫病よけのお守り」のように用いてきたが、タマネギの香気(硫化アリルなど)には殺菌作用があることが、フランスの有名な医学者パスツールなどによって確かめられている。
欧米では、ボクサーや競輪選手など、体力の消耗の激しい人たちはタマネギを常食するが、これは硫化アリルがビタミン以の吸収と利用効率を上げ、体力・気力を高めてくれるからであろう。
またタマネギの薄皮に多いケルセチン (フラボノイド)には、抗酸化作用と抗動脈硬化作用があり、高血圧やガンを防ぐ作用のあることが明らかにされている。
タマネギやニラ、ニンニク、ネギを食べると口臭がするが、梅干しやパセリ、リンゴなどを食べると、その臭みがかなり少なくなるはずである。
【民間療法】
高血圧・動脈硬化・血栓症……タマネギの赤褐色の薄皮10gをコップ1杯の水で半
量まで煎じたものを毎日飲む。
糖尿病・倦怠感……タマネギ、ダイコンをスライスしたものにワカメを加えたサラダを作り、醤油味のドレッシングをかけて食べる。
不眠症……タマネギ2個を刻んで皿などにのせ、枕元に置いて寝る。
風邪(発熱) …刻んだタマネギ1/3個分を茶碗に入れ、適量の味噌を加えて、熱湯を注ぎ入れて溶かす。これを飲んですぐに寝ると発汗して解熱する。
筋肉痛・関節痛……同量のタマネギ、ダイコン、ショウガのすりおろしをガーゼに塗り、痛む部分に貼る。乾いたら取り替える。