「健脾益気」「利水消腫」の健康食
ジャガイモ
【馬鈴薯) Potato
◎旬=春・秋◎効能=美容、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の予防
南米アンデス原産。ナス科の多年生草本。ジャガイモはドイツでは「貧乏人のパン」、フランスでは「大地のリンゴ」といわれ、重宝されているが、日本には1598(慶長3)年、オランダ人がジャワ (インドネシア)のジャカルタから長崎の平戸に持ち込んだため、「ジャガタライモ」から「ジャガイモ」となった。ただし本格的な食用は、明治に欧米から新品種が導入されてからだ。
アイルランドではリウマチや座骨神経痛よけのまじないとして、ジャガイモをポケットに入れて持ち歩く習慣があったとされるが、漢方でも、打ち身や腫れ、関節炎による痛みに、ジャガイモの生汁と適量の小麦粉と酢を混ぜて湿布するという民間療法がある。
ジャガイモにはビタミンB群やC(加熱料理しても壊れにくい。ジャガイモのでんぷんが熱で糊化してCを包み込んで庇護するため)、パントテン酸、カリウム、イオウ、リン、塩素などのビタミン、ミネラルがバランスよく含まれている。
ビタミンCには解毒作用や細胞組織の再生機能の促進作用があり、イオウ、リン、塩素は殺菌、浄化作用や皮膚・粘膜の浄化・再生に有効なため、ジャガイモは美容食としても抗潰瘍食としても格好の食物になる。
また、抗ウイルス作用をもつプロテアーゼ阻害物質やクロロゲン酸には、発ガンを抑える作用があることがわかっている。
その他、パントテン酸は消化の促進、肉の中毒の解毒をし、カリウムは血圧を下げる効果があるので、肉類のつけ合わせにジャガイモは最適。漢方でも昔から、ジャガイモには「健脾益気」(胃腸を強くし、気力・体力を増す)、「利水消腫」(排尿を促し、むくみをとる)などの効能があるとしている。
なお、ジャガイモの芽の部分にはソラニンという有害物質が含まれていて、食べると、めまいや腹痛などを起こすことがあるので、調理の際には取り除くことが必要だ。
【民間療法】
胃潰瘍……ジャガイモを厚さ1㎝ほどに切り、網で真っ黒になるまで焼いたものを1日に2~3枚食べる。または、皮をむいたジャガイモをすりおろしてガーゼで濾した生汁を、朝夕小さじ1杯ずつ飲む。
軽いやけど……ジャガイモの生汁を患部に塗る。
痛風・座骨神経痛……ニンジン・リンゴ・セロリ・ジャガイモの生ジュースを毎日飲む。
湿疹……すりおろした生汁をガーゼに付けて患部に貼って湿布し、1日数回交換する。