権力の分散を目指す仮想通貨 一方、4%に集中する富
仮想通貨のムーブメントに乗っかり、莫大な資産を作り上げた人々がいます。2018年2月7日、米フォーブスは史上初となる「仮想通貨長者ランキング」を発表しました。
1位は、リップルの共同創業者で元CEOのクリス・ラーセン氏。現在57歳で、スタンフォード大学でMBAを取得後、シリコンバレーで様々な企業の創業に関わってきた人です。
ラーセンは2018年1月時点で52億XRPを保有していました。資産額は75〜80億ドル(約8200〜8700億円)と推定されましたが、ここ2ヶ月の急落によりラーセンは5000億ほど失っています。
しかし、一時はマーク・ザッカーバーグの資産も超えたラーセン。資産総額は2017年フォーブスの米国富豪リスト「フォーブス400」で15位の元マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマー氏と並んだことになります。
大手取引所のコインベースには1300万人以上が口座を持っていますが、ビットコインの94%前後は男性が保有し、全体のうち95%はわずか4%の人が占めているとの試算もあります。
つまり、その4%に入った人々の影響力は、ちょっとやそっとじゃ揺らがないのです
2位はイーサリアム共同創始者のジョセフ・ルービン氏。資産額は10~50億ドル。
仮想通貨時価総額2位のイーサリアム。Consensysの創始者でもあるルービン氏ですが、両プラットフォームの成功が、彼を億万長者へと押し上げました。
3位は仮想通貨取引所、バイナンスCEOのジャオ・チャンポン氏で、資産額は11〜20億ドル(約1195〜2170億円)。
ジャオは中国の江蘇省生まれですが、早くに父をなくし1980年代後半にカナダのバンクーバーに移り住みます。10代の頃のジャオは、家計を助けるためマクドナルドやガソリンスタンドで、夜勤のアルバイトをしていたそうです。
ジャオはモントリオールのマギル大学でコンピュータサイエンスを学び、ソフトウェアエンジニアとして東京証券取引所・ニューヨーク証券取引所のシステム構築を行い、のちにブルームバーグのTradebookのソフトウェア開発部門に勤務。
その後、27歳でニュージャージーやロンドン、東京のチームのマネージャー職に昇進、2005年に退職。上海で証券取引所向けに超高速取引システムを提供するフュージョン・システムズの設立パートナーを務めました。
そしてジャオは2013年、ポーカー仲間のベンチャー投資家から仮想通貨の存在を知ってから、ビットコインのウォレットを提供する「Blockchain.info」に3番目の社員として参加するなどした後、自身で仮想通貨ビジネスをはじめることになります。
ジャオが2017年7月に設立したバイナンスですが、今やユーザー数は600万人。世界最大の仮想通貨取引所となりました。ジャオは今後さらに上位に食い込んでいくことも予想されています。
4位はウィンクルボス・キャピタルの共同創業者であるウィンクルボス兄弟。資産は各自9〜11億ドル。
2人は実は映画「ソーシャル・ネットワーク」でマーク・ザッカーバーグの敵役として描かれた、ボート部の双子のエリート兄弟なのです。
ウィンクルボス兄弟は自分たちのアイデアが盗まれたとしてザッカーバーグを訴え、和解金で受け取った6500万ドルの一部を使い、2012年ビットコインへの投資を開始。
彼らは2015年にニューヨーク拠点の取引所ジェミニも設立し、今やコインベースと並ぶ、米国で最も有名な仮想通貨取引所となっています。
そして5位は個人投資家であるマシュー・メロン氏でしたが、ランキング発表の後、54歳で亡くなりました。
大富豪・メロン家出身のマシュー・メロン氏は仮想通貨に投資していました。リップルに200万ドル(約2億円)投資すると、2018年初めには価値が10億ドル(約1000億円)まで膨らんだようです。
このような巨額の資産を保有していた人物が亡くなると、相続の対応などで仮想通貨の市場に波乱を引き起こす可能性はあります。
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乱高下を続ける仮想通貨市場ですが、その荒波をくぐりぬけて成功した人もいるんですね。うらやましい限りですね。