ブロックチェーンとは、みたいな議論が活発に行われていますが、結局ブロックチェーンってなんなのよ的な意見に対して、今のところの自分の意見をば。
簡単に言うと、ブロックチェーンは改ざん、複製不可能な電子データを扱うことができ、それが価値という概念を表現するのに非常に適しているということに尽きるのかなと思っています。
で、それが既存の電子通貨とどう違うのかということですが、誰が発行してもその通貨の信頼性は発行者(イーサリアムのトークンならトークンを実装した人間や団体やイーサリアム財団等)に依存するのではなく、ブロックチェーン自体の信頼性に乗っかることが出来るという点かと思います。
ブロックチェーン自体の信頼性は、それぞれのチェーンのコンセンサスアルゴリズムに依存しますが、PoWなら経済的なインセンティブに支えられた(無数の)マイナー達によって担保されます。
要するに誰でもブロックチェーンの信頼性を担保にした通貨を発行出来るってことです。
んで、通貨発行で結局何が出来るようになるのかというと、価値観をベースにした通貨が作れるようになる、が答えかと思っています。
ここで例として米ドルと日本円を考えて見ます。日本円と米ドルはあくまで地域をベースにした地域通貨だと思いますが、日本で日本円を稼ぐ能力とアメリカで米ドルを稼ぐ能力にはある程度違いがあると思います。
具体的に言うと、日本の大企業で出世するタイプの人と、外資系コンサルティングファームで出世するタイプの人、東大に受かる人とスタンフォード大学に受かる人の分布には違いがあると思います。
これは何故かというと、それぞれの国や会社、大学では評価の基準が異なるからです。決して優劣の話をしてる訳ではないです。
優劣の問題ではないんですが、この地域通貨の仕組みには大きな問題があって、それは生まれた国の通貨を使って生活しなければいけないということと、そのせいで価値交換の交渉が難しく場面が多発するということです。
さっきの例でいうと、日本人でもアメリカ的な価値観を持った人もいて、アメリカ人でも日本人的な価値観を持った人はいると思います。しかしそういう人達も、地域通貨の世界では生まれた国の価値観に従って生きる必要があります。
実際、価値観の合わない人とお互いwinwinな関係を築くのは非常に難しいわけで、例えばリモートで人の3倍成果出せるけどコミュニケーションが苦手なエンジニアが出社しないという理由で評価が下がるとか、実際そういうことってありますよね。
もちろん同じ地域に住む人は価値観も近い場合が多いと思いますし、物理的に近くにいることの利点もあるとは思いますが、価値観の合わない人間との価値交換の交渉は基本的に難航します。
で、ようやくですが、これに対するソリューションが仮想通貨なんじゃないかと思っていて、誰でも通貨を発行出来るようになったことで、地域をベースにした価値のやり取りではなく価値観、つまりその通貨を使う人達は何に価値を置いているのか、ということをベースにした価値のやり取りが出来るようになって、価値交換の交渉がよりスムーズに進むようになると思います。価値観に合わせて通貨も選べる時代が来るわけですね。
また、異なる通貨同士の交換はDexなど交換所の仕組みもブロックチェーン技術を使って実現することが出来るので、通貨から通貨の交換もスムーズに行うことが出来るのではないかと思います。
そして恐らく、価値観をベースにした通貨に対してビットコインやETHは基軸通貨としての働きをするのではないかなと個人的には予測しています。
最後に勘違いして欲しくないポイントとしては、誰もが発行出来るからと言って、通貨が無数に増えるわけではない、ということです。
価値観をベースにするとは言っても、通貨が増えすぎるのは不便ですので、利便性と天秤にかけることになりますし、そもそも人間の価値観なんてせいぜい数十くらいの分割で十分うまく回りそうな気もします。また、通貨として流通させるには、初期段階で何らかの方法でそれなりの人数の人に保有してもらう必要がある、というハードルもあります。
個人的には、価値観をベースにした経済圏が広がり、生まれた場所に価値観を縛られてしまうことや、価値観の合わない人間との無茶な交渉が少なくなると良いなとは思っています。