昨年はレジンという樹脂を使って「源氏物語巻名簪」を作り、皆様にもご覧頂きましたが今年は進化版を作ってみたいな~と思い立ち「百人一首イメージ簪」を作って
みました。
資材はレジン・ドライフラワー・貝のフレーク・天然石・ラメ、贅沢に金箔などを
使い、百人一首の歌を自分なりに表現してみましたので、よろしければご覧になって下さい。
ちなみに表面は歌のイメージ、裏には歌と詠み手を入れてみました。
(秋の田圃のほとりにある仮小屋の屋根を葺いた苫の編み目が粗いので、私の衣の袖は露に濡れていくばかりだ。)
やはり最初は第一句の天智天皇の歌を作らねばですよね。
田んぼの穂を金糸、金のフレークやラメでお米、淡い水色で固めたレジンを露に見立てました。背景の赤は秋のイメージに天智天皇の高貴さを表しました。
(もう春は過ぎ去り、いつのまにか夏が来てしまったようですね。香具山にあのようにたくさんなまっ白な着物が干されているのですから。)
これも有名な歌ですね。初夏の青空をグラデーションし、シェルフレークで白い着物、ドライフラワーで花の咲く香具山を表現してみました。
(川の流れが早いので、岩にせき止められた急流が時にはふたつに分かれても、またひとつになるように、私達の間も後にはきっと結ばれるものと思っています。)
崇徳院といえば日本三大怨霊の一人ですが、このようにロマンチックな歌も歌われていたのですねぇ。
二人の流れを分かつような石に天然石のアクアマリンを置き、ラメをまぶして川の流れを表しました。
(広い空を仰いで眺めると美しい月が出ているが、あの月はきっと故郷である春日の三笠山に昇った月と同じ月だろう。)
…転勤族の僕にはよく分かりますねぇ、この気持ち(笑)
黄色に染めたレジンに蓄光パウダーを混ぜて暗い場所で光るんですよ、この月。
ラメで星空をイメージしてます。
(さて、あなたの心は昔のままであるかどうか分かりません。しかし馴染み深いこの里では、梅は昔のままの香りで美しく咲いているではありませんか。)
ここで詠われた花とは梅のことのようですね。
梅の花は紅く染めたレジンで梅の花を作り、華やかな平安絵巻のように金箔と
赤いシェルフレークを散りばめました。
(こんなにも日の光が降りそそいでいるのどかな春の日なのに、どうして落着いた心もなく花は散っていくのだろうか。)
これはもう桜を目いっぱい散らせるしかないと思いましてね。余計なものは何も入れず、ひたすら桜を重ねて散りばめました。花びらを散らせては透明のレジンを塗り、またその上に花びらを…を繰り返して立体的に桜が散っているようにしてあります。
裏は淋しくならないように金箔を散りばめました。
(せっかく久しぶりに会えたのに、それがあなたかどうかも分からない間に帰って しまうなど、まるで雲に隠れてしまった夜中の月のようではありませんか。)
…なんか凄いですね。こんなちょっとした日常のことが歌で表せるなんて。
百人一首って、こういうちょっとしたことを詠ったものも多いですから面白いです。
まぁ、せっかくの紫式部ですから背景は紫色の夜にして、下部が淋しくなりそうだったのでアメジストを置き、雲は練りけしをこねてこねて、ひたすらこねて伸ばして
作りました。
(いつの間にか花の色もすっかり色あせてしまいました。降る長雨をぼんやりと眺めいるうちに。私の美しさも、その花の色のようにこんなにも褪せてしまいました。)
さすがの世界三大美女の一人も衰えていく美貌に焦りを感じていたようですね。
これは色あせて散ってしまった花に桜を使い、雨とうつろう心を水面の波紋で表現
してみました。ちなみに波紋はお菓子のヨーグレットの容器でレジンを固めて作っています(笑)
さて、絶世の美女と言われた小野小町にここまで言わせたモテ男は誰なのか?
それは次の歌を詠った在原業平のことだそうです。
(神代の時代にさえこんなことは聞いたことがありません。竜田川一面に紅葉が散りしいて、流れる水を鮮やかな紅の色に染めあげるなどということは。)
小野小町の気持ちに気づいていなかったとされる在原業平の歌です。
伊勢物語の主人公ともされる、在原業平のこの歌はマンガのタイトルにもなっていますから有名ですよね。
朱色でグラデーションを作り、上記の桜と同様に紅葉の葉を置いては固め、また置いては固め…を何層にも作り立体的な紅葉の流れを作りました。
(あなたのために春の野に出てで若菜を摘んでいましたが、春だというのに雪が降ってきて私の着物の袖にも雪が降りかかっています)
光孝天皇は優れた文化人であり、この歌が表すようにとても気さくでお優しい方
だったようですね。とても気持ちが優しくなる歌ですので、最後の10本目に選ばせて頂きました。
若菜にはドライフラワー、薄く積もった雪は透明なガラスフレーク、降っている雪はラメで表しました。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
(百人一首好きな方のイメージを損ねていなければ良いのですが…)
改めて読み返してみると、百人一首って季節の歌・恋の歌・日常の何気ない歌…と
親しみやすい歌が多いんですよね。
解説本も出版されてますし、読み返してみようと思います。