“参加者たちはみんな、順番をまったりしないで、いっぺんに玉をうっていて、そのあいだずっといいあらそっては、アナグマをとりあってけんかしてます。そしてじきに女王さまはカンカンに怒って、そこらじゅうズシズシうろついては、「あやつの首をちょん切れ!」だの「こやつの首をちょん切れ!」だの一分に一度くらいはわめいています。”
引用元:不思議の国のアリス
もし専門家が信じられるなら、80年代からプライバシーは死んでいたはずである。だがビットコインと言う匿名の発明や、最近の歴史に見られる出来事が、これが事実ではないことを示している。プライバシーは監視状態から逃れるのは決して容易ではないがまだ生きている。
サトシは、自分の足跡を隠し身元を隠すために長い時間をかけた。10年後、今もなおサトシ・ナカモトは個人なのか、グループなのか、男性なのか女性なのか、はたまた世界を征服するために自身を起動したタイムトラベルAIなのか不明なままである。陰謀説はさておき、サトシは自身を日本人男性と名乗ることを選択した。それゆえ私は邪推せず、彼が選んだ性別を尊重して彼を“彼”と呼ぶのである。
彼の本当の正体が何であれ、サトシはそれを隠すことに成功した。彼は匿名のままでいたいと願うすべての人を、勇気付ける例を示したのだ。オンライン上でプライバシーを保つことは可能であると。
“暗号は機能する。適切に実装された強力な暗号システムは、数少ない信頼できるものの1つである。”
エドワード・スノーデン
サトシは、最初の偽名ないし匿名の発明家ではないし、最後でもない。MimbleWimbleで有名なトム・エルビス・イェドゥサーのように偽名による出版スタイルを直接模倣した者もいれば、完全に匿名のまま高度な数学的証明を出版した者もいる。
我々が住んでいるのは奇妙で新しい世界である。それはアイデンティティは選択可能であり、貢献は功績に応じて受け入れられ、人々が自由に協力したり取引できたりする世界。こうした新しいパラダイムに慣れるには多少の調整は必要だが、こうしたすべては、世界をより良く変える可能性を持っていると私は強く信じている。
プライバシーは基本的人権であることを忘れてはならない。そして、人々がこれらの権利を行使し、守る限り、プライバシーをめぐる戦いは終わりには程遠い。ビットコイン私に、プライバシーは死んでいないと教えてくれた。
(C)Gigi "21 Lessons" クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)に基づき翻訳
翻訳者雑記:個人的にドリアン・ナカモト氏と言えば、ハル・フィニー氏(一番最初にサトシからビットコインを受け取った伝説の暗号研究家&プログラマ)の近所に住んでいたっていう話が、サトシに嵌められた感がすごくて好き。
好きすぎて、下記の動画にほんとに今さらながら日本語字幕を付けてきた。申請が通るかわからない上に、ドリアンさんのしゃべりゆっくりだから、そもそも字幕要らない感じなのに何してんだろ自分。
優しく見守るアンドレアスさんのまなざしも好き。