(台北101を撮ったのですが、サムネイルにすると全然入りませんでした^^;)
台湾での仮想通貨取引はまだまだこれから…という感じですが、そうした状況を変えていくかのように、仮想通貨の取引所はいろいろと開設されています。
取引手数料ゼロを掲げるCOBINHOODや、アジアで初めてのDEXというスタービット、新たな取引形態HEXを売りにするJOYSOなど、バラエティ豊かな取引所が営業を展開しています。
そうした状況のなかで、また新たな取引所が開設を控えて注目されているようですので、書き留めておきたいと思います。
(文中の日本語訳はざっくりとした粗訳です。参考までに留めてご覧ください^^;)
・「幣必多」が取引所開設に向けた記者会見を開催
・台湾初の「トレードマイニング」取引所⁉︎
・創設者の楊俊書さんって?
・取引所の「乱立」から抜け出すのは?
台湾の経済系ニュースサイト「鉅亨網」が2018年8月16日に報じた記事によると、「幣必多(BITBITDUO)」が記者会見を開き、同年8月18日から仮想通貨取引所を開設することを明らかにしたそうです。
幣必多の公式フェイスブックページによれば、記者会見には、幣必多の創業者でCEOの楊俊書さんをはじめ、以下の人々が登壇したようです。
黃立成さん(Mithril秘銀、創業者)
陳昭廷さん (TokenBakon培根鏈、CMO)
李立鴻さん(BitRabbit比特兔、CTO)
吳宗憲さん(タレント)
王琮瑋さん(環球區塊鏈產業加速器Global Blockchain Industry Accelerator、CEO)
David Tsaiさん(CoolBitX庫幣科技、セールス部門副社長)
このうち、記者会見のなかで、Mithril、TokenBacon、BitRabbitの3社が提携パートナーとして公表されたそうです。
この3社については、以下の記事をご参照ください。
また、吳宗憲さんはバラエティ番組の司会者として長年、台湾のテレビ界で活躍している方で、「台湾の明石家さんま(?)」とも呼ばれる有名人です。
そのほか、アクセラレーターとウォレット開発企業という、台湾の仮想通貨・ブロックチェーン界隈の著名な企業が集まっているという印象がありますね。
「鉅亨網」の記事によれば、「幣必多(BITBITDUO、日本語で呼ぶとすれば「ビビトー」でしょうか^^;)」は、台湾で初めての「交易挖礦交易所(トレードマイニング取引所)」であることを前面に押し出しています。
さらに、その特色として、「平台利益共享(プラットフォームの利益のシェア)」、「手續費返還(手数料還元)」、「用戶自治參與(ユーザーによる自治的な参加)」の3点が挙げられています。
「トレードマイニング」は、2018年5月に開設されたばかりで、すでに取引量トップクラスを誇る世界的な取引所の「Fcoin」で採用されている方式です。
Fcoinについては、日本語で読める情報がたくさん出回っていますが、ALISでもCryptoRedStoneさんがまとめてくださっています。
幣必多も取引所の独自トークン「BBD」を発行し、BBDの保有比率(所持BBD /流通BBD総数)をもとに、手数料収入を100%還元するとともに、利益の還元も実施すると同時に、上場トークンの決定やプラットフォームの運営方針に関わる投票にBBD保有者が参加できるようにするようです。
取引所開設当初は、1BBD=0.5台湾元で売り出され、3億BBDが発行された時点で一旦締め切られるようです。
また、取り扱いコインは、以下のとおりと報じられています。
NTD(台湾元):BTC/NTD、ETH/NTD、USDT/NTD
USDT:BTC/USDT、ETH/USDT、EOS/USDT
BTC:ETH/BTC、EOS/BTC
ETH:EOS/ETH、BITO/ETH、OTB/ETH、COB/ETH
このうち、「BITO」、「OTB」、「COB」はそれぞれ、BitoEX、OTCBTC、COBINHOODという、台湾の3つの取引所が独自に発行しているトークンです。
競合する取引所のトークンを取り扱うことにしている点は、後発の取引所ならではという感じがしますが、他取引所からの顧客流入を狙っているところもあるのかなと思います。
台湾のテック系ニュースサイト「INSIDE」に掲載された幣必多の提供記事には、創設者の楊俊書さんの経歴と考え方が語られています。
この記事をはじめ、さまざまなメディアで楊俊書さんが強調しているのが、以下のような自身のこれまでの経歴が持つ「強み」です。
在台灣目前的知名交易所產業中,許多創辦人或決策者多為科技背景出身,較少出現專業的金融背景的決策者。
(今のところ台湾にある有名な取引所では、多くの創業者や経営責任者の多くが技術系の出身者で、金融を専門にして出てきた経営責任者は比較的少ない)
「鉅亨網」の別の記事に掲載されている楊俊書さんの経歴を見ると、国立台湾大学のバイオ系の修士を修了したあと、台湾の大手保険会社「國泰人壽」の証券投資部門や「台新證券」などに在籍していたとのことで、自らを「金融畑」出身の取引所創業者と位置づけているようです。
こうした経歴を基に、「幣必多將會是台灣首家由金融團隊所領導的交易所,相信能在未來打造出更優質的用戶體驗與交易環境(幣必多を台湾で初めての金融グループによってリードされる取引所とし、将来、優れたユーザーエクスペリエンスと取引環境を打ち出すことができると信じている)」と語っています。
また、こうした姿勢から、取引所のKYC(Know Your Customer)認証の審査システムには、金融・リスク部門を通じたリスク管理ソリューションを提供している「トムソン・ロイター(Tomson Reuters、湯森路透)」のシステムを使用するようです。
ユーザーエクスペリエンスやシステムの面で、「金融畑」出身であることの「強み」がどのような形で発揮されるのかが注目されますね。
上に挙げた「INSIDE」の記事には、「交易所百家爭鳴,幣必多該如何脫穎而出?(取引所は百家争鳴、幣必多どうやって抜け出すのか?)」という見出しが見えます。
冒頭にも書きましたが、台湾にはバラエティ豊かな個性を持った取引所が近年、数多く開設されています。
ある意味では確かに「百家争鳴」、「乱立」ともいえるような状況が生まれているともいえますし、仮想通貨市場が冷え込んでいる今の状況のなかで新たな取引所を開設することに、疑問を感じる向きもあるかと思います。
ただ、「區塊鏈元年(ブロックチェーン元年)」ともいわれている台湾のブロックチェーン・仮想通貨をめぐる動きは、まだまだ黎明期だろうと感じますので、いろいろな動きが生まれてくることは、それ自体、歓迎すべきことだろうと思っています。
ここから生まれてきたサービスが続いていくかどうかは、まず始まってみないとわからないところがありますから、今の台湾の仮想通貨取引所をめぐる状況はむしろ好ましいと感じます。
ここからどこが生き残るのか、どんなサービスが発展していくのか…これからの動きが注目だと思いますので、引き続きコツコツと情報を追いかけていきたいと思います!
(2018年8月19日追記)8月18日に「幣必多」の公式ウェブサイトがオープンしました!冒頭の「まとめ記事」にも追加しました!
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