(台湾の有名書店「誠品書店」は店構えもファッショナブルですよ)
台湾の人々の仮想通貨に対する感情は日本と同様に、まだまだ良好とは言い難い状況にありますが、それでも仮想通貨・ブロックチェーンに対する投資を積極的におこなっていこうという人々は少しずつ増えてきています。
そうしたなかで、仮想通貨取引を扱う取引所もいろいろと開設され、それぞれに個性豊かな特徴を持っています。
また、取引所が増えて、仮想通貨取引が少しずつ活発になっていく状況をうけるように、台湾の仮想通貨取引所を中心とする業界自主組織の結成と自主ガイドライン制定の動きが生まれてきました。
こうした状況の中で、これまで記事にしていなかった仮想通貨取引所が目に留まりましたので、少し書き留めておきたいと思います。
・TWDTがKTradeに上場
・KTradeって?
・HalalChainって?
・台湾では多様な取引所の開設が進んでいるようです
台湾のビジネス系ニュースサイト「數位時代」が2018年7月12日に、台湾の仮想通貨取引所である「KTrade」に新たな取り扱い銘柄として「TWDT」が上場されたことを報じています。
TWDTについては以下の記事にまとめていますが、「USDT」がアメリカドルとのペッグ通貨であるのと同様に、台湾ドルと1:1の価値を維持するトークンとして発行されているもので、台湾の著名な取引所である「MAX」にも上場されるなど、注目度が上がっているようです。
記事によると、TWDTに加えて、ビットコインキャッシュ(BCH)とUSDTも同時に上場ということで、取り扱い銘柄を着々と増やしているのかなという印象です。
KTradeは公式ウェブサイトには設立年の記載が見当たりませんが、公式Facebookページによれば、2017年9月に設立された取引所のようです。
公式ウェブサイトには、「最專業、安全、便捷的幣兌幣現貨交易平台(もっともプロフェッショナルで、安全で、便利で速い仮想通貨間取引の現物取引プラットフォーム)」という特徴を打ち出しています。
具体的には、「分散式區塊鏈(分散型ブロックチェーン)」、「專業資產錢包(プロフェッショナルアセットウォレット)」、「最快提領速度(もっとも速い取引スピード)」、「社群共享機制(コミュニティシェアメカニズム)」、「即時客服服務(タイムリーなカスタマーサービス)」、「創新多元應用(多彩なアプリを生み出す)」という6つのポイントを挙げています。
このなかで注目されるのは、「コミュニティシェアメカニズム」というところでしょうか。この項目には、以下のような説明が書かれています。
社群挖礦機制、參與平台上幣活動,以及所有交易手續費全數反饋予KT持有者。
(コミュニティマイニングメカニズム、プラットフォームへのトークン上場活動への参加、およびすべての取引手数料はKT所有者に全部還元されます)
「KT]というのはKTradeが発行している独自トークンで、取引所で各種トークンと取引できると同時に、こうした特典を準備が準備されているんですね。
こうした特典は利用者の拡大はもちろんですが、上に挙げた「數位時代」の記事には、国際市場への展開を目指すための方法のひとつでもあるようです。
また、2018年8月12日現在で取り扱われているコインは以下のとおりです。
ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、TWDT、USDT、KT、IPTChain(IPT)、Nuls(NULS)、リップル(XRP)、BigBitcoin(BBC)、HalalChain(HLC)、ビットコインキャッシュ(BCH)
メジャーなものから、アメリカおよび中国発のトークンが多く見られますが、このなかで注目されるのが「HalalChain(HLC)」です。
HalalChainについては日本語で読める情報がすでに多く出ていますが、公式ウェブサイトによるとドバイ発のプロジェクトで、2017年5月からプロジェクトが始まっているようです。
このプロジェクトが発行しているトークン「HLC」は、もともとはQTUMベースの「QRC 20」トークンとして発行されていましたが、2018年8月6日からイーサリアムベースの「ERC 20」への切り替えが進められているようです。
プロジェクトの内容については、公式サイトのトップに以下のような説明が掲げられています。
Through internet of things, blockchain technology and smart contracts, a global halal product ecosystem is established to regulate the Halal food industry certification system, which aims to trace the end-to-end supply chain for Halal food, medicine and cosmetics.
(IoT、ブロックチェーン、スマートコントラクトを通じて、グローバルなハラール製品エコシステムを、ハラールフード・薬品・化粧品のためのend-to-endのサプライチェーンをトレースすることを目指した、ハラールフード製品認証システムの管理のために確立する)
ブロックチェーンを利用した食品トレーサビリティのようなシステムの確立を目指しているようですが、そこにイスラム圏特有のハラール認証制度が組み込まれているようですね。
食品などの由来が非常に重要なハラール認証制度にとって、その由来を確実に証明することができるブロックチェーンの技術は、とても親和性が高く、かつ重要度も高いと感じます。
なお、HalalChainのホワイトペーパーには、アラブ首長国連邦(UAE)の副大統領兼首相のMohammad bin Rashid Al Maktoumさんや、ドバイの皇太子であるHamdan bin Mohammed bin Rashid Al Maktoumさんのメッセージが掲げられています。
また、KTradeの公式ブログには、「Halal Chain為杜拜政府背書的項目,為國際區塊鏈專案擁有國家級政府的支持。(HalalChainはドバイ政府のエンドースメントがるプロジェクトであり、国際的なブロックチェーンプロジェクトとして国家レベルの政府の指示を受けている)」と書かれています。
政府としても「ハラール×ブロックチェーン」に関するプロジェクトを積極的にバックアップしていることがうかがえますね。
ちなみに、国は違いますが、イスラム圏の仮想通貨事情についてはMALISさんの記事もご参照ください。
KTradeに上場されているコインの種類はそれほど多くありませんが、TWDTのようなステーブルコインやHLCのような有望なプロジェクトのトークンなど、バラエティ豊かなトークンを厳選して上場している印象があります。
冒頭に挙げた台湾の取引所のまとめ記事にも書きましたが、近年、台湾でも多様な特徴を持つ取引所が開設されています。
そうした状況のなかで各取引所ともに、取り扱いコイン、独自トークンの発行・活用、取引方法などによって、独自性を出すようにしているようです。
台湾でもまだまだ仮想通貨取引に関心を持つ人々は多いとはいえない状況ですが、もともと投資熱の高い台湾ですから、さまざまな環境が整備されていくことによって徐々に関心が高まってくるように思います。
取引所の動向は法整備においても重要な要素のひとつですので、取引所をめぐる動きについてもコツコツ追いかけていきたいと思います!
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