(台北の東区は「新都心」としてオシャレな建物が並んでいますよ)
仮想通貨取引はまだまだ個人投資家がプレイヤーの中心となっていますが、これからの発展を見据えて、いつ機関投資家が入ってくるかということが注目されていますね。
また、ボラティリティの大きさなどから個人投資のハードルが高く、市場拡大がなかなか進まないという状況もあるようです。
こうした状況のなかで、今回は台湾でスマートコントラクトを活用した投資会社が、トレーダーを育てるプログラムを始めるという情報を目にしましたので、少し書き留めておきたいと思います。
・台湾でトレーダー育成プログラム「HatchQ」開始
・Bincentiveってどんな企業?
・仮想通貨取引拡大の予兆?
台湾のテック系ニュースサイト「iThome」が2018年10月8日に報じた記事によると、スマートコントラクトによる投資プラットフォームを運営している「Bincentive」がアジア太平洋地域で初めてのトレーダー育成プログラムとなる「HatchQ」を始めると明らかにしたそうです。
「HatchQ」の特設ウェブサイトによれば、まずは2018年10月20日に「亞洲首次虛擬貨幣交易高手孵化計畫發表講座(The First Crypto Trader Incubation Program in Asia)」を台北で開催することになっているとのことです。
講座の登壇者は、BincentiveのCEOである卓昭明さんのほか、投資会社のJefferies Asiaの前CIO(資訊長)の張志清さん、仮想通貨ヘッジファンドのAmber AIの共同創業者である張成さんが予定されているようです。
加えて、パネルディスカッションでは、以下の記事で取り上げた、「トレードマイニング」を押し出している台湾の仮想通貨取引所「幣必多」の創業者でCEOの楊俊書さんが加わるようです。
台湾を中心とするアジア地域の仮想通貨取引所、投資会社、ヘッジファンドのキープレイヤーが集まるということで、注目されているようですね。
「HatchQ」のサイトにはプログラムを運営する「Bincentive」について、以下のように説明されています。
Bincentive 是國際性的智能跟投平台。利用區塊鏈與智能合約技術,讓交易專家可以安全與方便地展現其交易策略,使投資客戶可簡單的選擇他們喜歡的交易服務。
(Bincentiveは国際的なスマートトレードプラットフォームです。ブロックチェーンとスマートコントラクトを使い、プロトレーダーが安全で便利なトレード戦略を提供し、投資家が簡単に理想の取引サービスを選ぶことができるようにします)
また、Bincentiveの公式ウェブサイトには、以下のような「使命」が掲げられています。
Bincentive 的解決方案簡化了投資流程,提供了利潤共享獎勵制度,並建立了一個值得信賴且安全的投資生態系統。
(Bincentiveの解決方法は投資プロセスを簡略化し、利益分配報酬制度を提供し、信頼に足る、安全な投資エコシステムを構築する)
つまり、仮想通貨取引をおこなう投資家に対して、スマートコントラクトを活用した投資サポートサービスを提供する企業であることがわかりますね。
公式サイトで公開されているホワイトペーパーによれば、スマートコントラクトによって実施される投資方針は、伝統的な専任のトレーダー(傳統交易高手)に加えて、プラットフォーム上に形成されるトレーダーコミュニティ(量化交易專家)とAIによる投資エンジン(AI交易引擎)によって決定されるようです。
このシステムをBincentiveは「類去中心化應用程式(Quasi Decentralized Apps、Q-DApps)」と呼んでいます。
上に挙げたトレーダー育成プログラムは、このQ-DApps内の専任トレーダーを育てようという計画のようですね。
公式サイトに掲載されているロードマップによれば、会社設立が2018年第二四半期、ホワイトペーパーの公開が2018年第三四半期となっていますから、まだ開設されたばかりの、これから事業展開が始まる企業のようです。
年内にはプライベートセール、年明けにはICOを予定しているということですから、資金調達と事業展開がどのように推移していくかが注目されますね。
「HatchQ」のプログラムには投資会社やヘッジファンド、仮想通貨取引所の人々が関わっていますが、加えて、Bincentiveの事業パートナーには仮想通貨取引所の「BitPoint APEC」や仮想資産専門の投資会社「Coinful Capital」などが名を連ねています。
台湾を初めとするアジア地域の仮想通貨取引に関するキープレイヤーが関わっているということで注目されているといえますが、事業自体はこれからという感じですので、実際にどのような事業が展開されるかを見守っていく段階なのかなと思います。
ただ、こうした企業がトレーダーの人材育成に乗り出し、それがメディアにも注目されるという動向自体は、台湾における仮想通貨の位置づけとして興味深い動きであるように感じます。
こうしたプログラムが受容され、注目される程度には、仮想通貨取引に対する期待が徐々に高まってきているのかなという印象を受けます。
同様のプログラムや人材養成の機会がいろいろなところで展開され、そこから多様な人材が育っていけば、台湾の仮想通貨・ブロックチェーンに関する動きもより活発になっていくのかなと思います。
こうした人材養成の動きも含めて、コツコツと動向を追いかけていきたいと思います!