仮想通貨が投資・投機の対象として位置づけられているなかで、少しずつ資産の一部として仮想通貨を位置づける動きが広がっているように感じます。
もちろん、ボランタリーの激しさや送金をめぐるさまざまな問題から、まだまだ不安定な部分はありますが、「デジタル資産(數位資産)」のひとつとして取引をおこないたいと考える人々は増えているのではないでしょうか。
そうしたなかで、台湾でもさまざまな取引プラットフォームを提供する動きが盛んに展開されています。
たとえば、OTC取引(Over The Counter)を中心とするOTCBTCや、「DEX」プラットフォームとしてのスタービット、「HEX(Hybrid Exchange)」を提唱するJOYSOなど、多様な取引所が開設されています。
(それぞれの取引所については、以下の記事にまとめています)
今日はそうした動向に連なる動きとして、富裕層のプライベートプレイスメントプラットフォームを提供するという企業の動きが少し目に留まったので、書き留めておきたいと思います。
(文中の日本語訳はざっくりとした粗訳です。参考までにご覧ください(^^;)
・LeadBestは「Proof of Lead」を実現する!?
・「Proof of Lead」の内容は?
・富裕層向けのサービス展開も大切ですね
台湾の経済紙「經濟日報」のサイトに掲載された記事によると、台湾のLeadBestという企業が、「全球首個去中心化智能合約技術打造的私募領投工具平台(世界ではじめて、分散型スマートコントラクトによって、リードインベスターのためのプライベートプレイスメントプラットフォーム)」を実現したと報じられています。
リードインベスター(領投)、つまり市場を引っ張っていく投資家に向けたプライベートプレイスメント(私募)にスマートコントラクトを導入したという動きだといえます。
こうした動きが台湾メディアのなかで注目されている理由はいろいろありますが、そのひとつとして、このLeadBestのプラットフォームが、台湾の「寶島金融」やアメリカの「A7core」のプロジェクトとして採用されたということが大きいようです。
「寶島金融」は以下の記事で書きましが、台湾でブロックチェーン企業を専門に投資活動をおこなう投資会社です。
また、「A7core」は公式ウェブサイトによれば、ブロックチェーンを利用してブランド企業と消費者を直接結びつけるシステムの開発を展開している企業のようです。
とりわけ、A7coreはLeadBestとともに、先日、台北で開催されていた「2018 Asia Blockchain Summit」に参加していたようで、交流の様子がLeadBestの公式Twitterでツイートされています。
このツイートのなかで、A7coreと、台湾のチケット販売・イベント情報サイトである「Accupass」が、LeadBestが提唱する「Proof of Lead(リードの信任)」に協力していることが書かれています。
台湾の各種メディアで注目を集めた「2018 Asia Blockchain Summit」のなかで展開されていた動きのその後を、台湾メディアはコツコツと追いかけていることがわかりますね。
(ちなみに、「Accupass」にはブロックチェーン関連のミートアップの情報などもよく上がっていて参考になります。ウェブサイトはこちら)
(また、上述のサミットの詳細についてはいくつか記事を書いていますが、さしあたり以下の記事から読んでいただければ嬉しいです)
上に挙げた「經濟日報」の記事によると、従来のプライベートプレイスメントには、投資家を探すことから始めて、投資プログラムの設定、多くの投資家の召集、情報の不透明さなどの投資リスクが常につきまとっていると指摘されています。
LeadBestはスマートコントラクトを採用したプライベートプレイスメントのためのプラットフォームを提供することによって、こうした投資リスクを軽減するということです。
LeadBestの公式ウェブサイトによると、以上の問題に対して、「Smart Escrow」、「Automation」、「Lead Score」という3つの角度からアプローチするとしています。
とりわけ、ひとつめの「Smart Escrow」。
これまでの商取引では取引の安全性を確保するために第三者を介在させていました(これがEscrow)が、ここにスマートコントラクトを導入することによって、第三者が介在することなく、商取引の安全性を担保しようというものです。
これを軸として、ICOや投資家のスコア制度を組み合わせることによって、安全と信用を担保したプラットフォームの構築を目指すという計画のようですね。
「經濟日報」の記事によれば、取り扱いコインはビットコインとイーサリアムに限られているようですし、これから「連結全球領投人舉辦私募沙龍(世界のリードインベスターが立ち上げたプライベートプレイスメントサロンと繋がっていきたい)」と語られていますから、プロジェクトはまだ動き出したばかりのようです。
ベースとなるスマートコントラクトがどのような技術を用いているのか(上の記述からするとイーサリアムベースかな…)、ホワイトペーパー(白皮書)もまだウェブサイトに公開されていませんから、不明な点がまだまだ多いのですが…
そのうえで、「區塊鏈元年」と言われている台湾のブロックチェーン・仮想通貨をめぐる状況から、今後の展開が注目されているといえそうです。
LeadBestの事業展開は、LeadBest自身が「信用」を集めなければ成り立たないビジネスであるように感じますが、そのあたりについては創業者の経歴が信用を担保している側面があるようです。
「經濟日報」の記事によれば、LeadBestの共同創業者のひとりである李佳憲さんは、2013年に自らが創業した会社が台湾の三大携帯電話キャリアのひとつである「遠傳電信」に買収されて以降、エンジェル投資家や複数企業のデジタル戦略顧問、台北市の民間委員などの経歴をもつ人物とのことです。
こうした人への信用を通じて、会社の信用を打ち立て、同時に投資家の信用を担保する…「Proof of Lead」というフレーズには、そうしたプロセスがニュアンスとして含まれているように感じます。
そして、その信用をシステムとして担保するためにブロックチェーンによるスマートコントラクトを導入するという考え方なのだろうなと思います。
一見すると、ブロックチェーンの導入とそれによって実現されるサービスは、ある意味「ありきたり」なもののように見えるかもしれません。
でも、さまざまな経験やビジョンを背景として、実際に技術開発を行い、プラットフォーム構築を実現していくその動きは、それだけで注目に値すると思います。
こうした動きがどのようにして具体化し、実際にサービスとして展開されていくのか…これからの動きを追いかけていきたいと思います!
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