仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンが普及するかどうかということは、技術の優位性と多様なサービスへの応用が幅広く行われるとともに、それぞれの社会のなかでどれぐらい開発と普及が支持され、バックアップされるのかが大事になってきますね。
そのためには、政府がどれほど当該分野を育てようとしているのかも大切な要素のひとつだと思います。
それがすべてではもちろんないですけれど、環境整備は必要ですよね。
(2018年7月15日追記。「もくじ」とkazのページへのリンクを付けました)
・2016年に出されたブロックチェーン白書
・「金融科技發展策略白皮書」におけるブロックチェーン
・ブロックチェーンの背景と方法
・具体的目標
・2016年、そして今
日本では2016年の総務省「情報通信白書」でフィンテックのことが言及されていますね。
同じ2016年に、中国では工业和信息化部(工信部)が「中国区块链技术和应用发展白皮书(中国ブロックチェーン技術と応用発展白書)」を発布しています。
もしかしたら、2016年のタイミングで台湾でもフィンテック・ブロックチェーン関係のホワイトペーパーが出されているのかも…と思ったら、ありました!
2016年5月に金融監督管理委員會が「金融科技發展策略白皮書(フィンテック発展戦略白書)」を出していました。
ここでは、今の仮想通貨・ブロックチェーンの台湾における展開の基盤となっている政策について、白書の内容を基に見ていきたいと思います。
(文中の日本語訳はかなり粗い素訳です。間違いも多々あるかと思いますので参考までに止めておいていただければ幸いです(^^;)
この白書は2020年までに「創新數位科技,打造智慧金融(デジタル技術を刷新し、スマートファイナンスを打ち立てる)」という目標のもと、11の重要施策目標を掲げています。
そのうちのひとつが「ブロックチェーン(區塊鏈)」であり、「身分認証(身分證認)」の技術とともに、フィンテックを支える「基礎面」の政策として位置づけられています。
「ブロックチェーン」の項目には、「推廣區塊鏈技術,鼓勵業者投入應用研發(ブロックチェーン技術を推進し、民間をバックアップして応用技術の開発にかかわれるようにする)」とあります。
民間の活力に基づくブロックチェーン技術の広範な利用が想定されていますね。
白書にはまず、2016年5月時点でのブロックチェーンをめぐる国際情勢がまとめられています。
特に、2015年9月にWorld Economic Forumが発表した報告書において、「預期 2027 年全球10%左右GDP將儲存在區塊鏈技術內(2027年には全世界のGDPの10%がブロックチェーン内に記録されているだろう)」と指摘されていることを挙げて、ブロックチェーン推進への積極的な議論を推し進めようとしていることが注目されるように思います。
また、技術的な側面ではブロックチェーンをめぐる3つの方法…
「公開制或非許可制(Permissionless Blockchain、パブリックまたは非許可型ブロックチェーン)」
「私有制或許可制(Permissioned Blockchain、プライベートまたは許可型ブロックチェーン)」
「混合制或聯盟制(Consortium blockchains、コンソーシアムブロックチェーン)」
が挙げられて、「數位貨幣(デジタル通貨)」から多様な用途への広がりが示されるとともに、政策面での各国の向き合い方についても簡潔にまとめられています。
そのうえで、具体的な目標として、「透過各周邊單位與相關金融智庫,推廣區塊鏈技術(ブロックチェーンに関連する機関や金融シンクタンクを通じて、ブロックチェーン技術を推進する)」ことを掲げています。
同時に、発展の方針として、以下のように説明されています。
鼓勵金融業者投入區塊鏈技術研發,建議在銀行公會內組成區塊鏈應用研究小組,彙整業者之需求,結合國內研究資源, 共同研發國內金融區塊鏈之應用
(金融業がブロックチェーン技術を開発できるように促し、銀行内にブロックチェーン応用研究グループが組織されるように提案し、すべての企業の要求を集め、国内の研究資源を結びつけ、国内の金融ブロックチェーンの応用技術が共同で開発されるようにする)
具体的な対象と方向性が示されていますね。
こうした目標を実際に進めていくために、人材養成のためのプログラムの実施やハッカソン(Hackathon、黒客松)の開催、金融機関やシンクタンクによる国際的で大規模な共同研究の推進が挙げられています。
2016年といえば、蔡英文総統が就任した年でもありますから、この白書の方針は現政権の発足と同時に、これから実施すべき金融政策の一端を担うものとして公表されたといえます。
実際に、今年施行される「金融監理沙盒(レギュラトリー・サンドボックス)」の成立にもつながっていると言えますので、台湾でも仮想通貨・ブロックチェーンの普及はコツコツと進んでいると思います。
台湾のレギュラトリー・サンドボックスについては以下の記事に書き留めました。
こうした情報を追いかけるのはなかなか大変ですけれど、ブロックチェーンの可能性を感じるためには必要だと思いますので、コツコツ追いかけていきたいと思います。
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