台湾は2019年2月5日に春節を迎えました〜!本年もよろしくお願いします!
以下の記事にも書きましたが、春節といえば「年菜」という新年の料理を作るための食材や、みんなで食べるおやつをこぞって買いに行きます。
そういう時期ですので「食」への注目が特に高まるのですが、ブロックチェーン関連のニュースも食とのかかわりで取り上げられています。
今回は、春節に合わせた「ブロックチェーン×食」のニュースが目に留まりましたので、少し書き留めておきたいと思います。
・OwlTingは春節の食品も追跡可能に!
・「ポンカン×ブロックチェーン」って?
・ブロックチェーンの社会実装への第一歩⁉︎
台湾のネットニュースサイトの「台灣數位匯流網」は、2019年2月4日に「ブロックチェーン年越し料理 食品履歴をオープンに透明化(區塊鏈年夜飯 食品履歷公開透明)」と題した記事を掲載しています。
このニュース、台湾の「Yahoo奇摩」のトップニュースにも上がっていました。
この記事では、台湾のブロックチェーン開発スタートアップである「OwlTing(奧丁丁)」による食品トレーサビリティの取り組みが紹介されています。
具体的には、「OwlTingマーケットは春節の商機を捉えて、2月1日までオンライン年末大売出しを開催し、年越し料理、生鮮食品、肉類、サプリメント、スナック、ギフトなどの春節関連商品の宅配サービスをおこなった(奧丁丁市集看準春節商機,即日起至2/1推出線上年貨大街,涵蓋年菜、生鮮、肉品、補品、零嘴、伴手禮等各式春節相關商品宅配服務)」とあります。
OwlTingについては以下の記事に書き留めましたが、ブロックチェーン技術を基盤に、食品トレーサビリティや旅行予約のプラットフォームを開発・提供しているスタートアップです。
春節に合わせた今回の取り組みでも、販売商品に付されたQRコードを読み取ることによって、食品の来歴をユーザーが確認できるようになっているということです。
食品トレーサビリティは、ブロックチェーンの特性を大いに発揮することができる分野のひとつとして、世界的にもさまざまな取り組みがおこなわれています。
こうした分野と春節の時期に取り扱いが急増する食品の流通という台湾特有の状況がかけ合わさって、ブロックチェーンが有効活用されていくひとつのパイロットケースになっていくのかもしれませんね。
他方、台湾の経済系ニュースサイト「鉅亨網」には2019年2月3日に「ブロックチェーンを使って新年用のポンカンを輸送(用區塊鏈運送新年椪柑)」という記事が掲載されました。
台湾の春節には、縁起のいい果物として「ポンカン(椪柑)」が玄関先などに飾られたりします。
記事のなかにも、「大吉大利や吉祥如意を象徴するものとして、贈り物として人に送ったり人々が集まったときにみんなで食べたりします(象徵著大吉大利、吉祥如意,常被用作節慶送禮或在聚會中一同享受)」と紹介されています。
記事には、このポンカンの輸送にブロックチェーンを活用した、以下のような取り組みが紹介されています。
PILはIBMと提携して、IBMのブロックチェーンプラットフォームを使った電子船荷証券(e-B/L)の試験運用を進め、中国からシンガポールへと運ばれた28トンの柑橘類の輸送状況をリアルタイムで追跡した。
(太平船務 (PIL) 與 IBM 合作,針對基於 IBM 區塊鏈平台的電子提貨單 (e-BL) 進行試驗,實時追蹤從中國到新加坡的 28 噸柑橘的運輸情況。)
PILは公式ウェブサイトによれば、1967年にシンガポールで設立されたコンテナ出荷業務を主とする大手運送会社ということです。
今回の取り組みについてもPILの公式サイトでリリースされていて、より具体的な内容が公開されています。
この公式リリースによれば、B/Lの事務処理時間がブロックチェーンを活用することによって劇的に短縮されたことで、以下のようなメリットが確認できたということです。
・電気料金(積載を待っているあいだに港で冷蔵貨物コンテナを載せる)電気料金や、(港での)保管費用、および、機器の使用率向上によるコスト削減などの運用コストの低減
(Lower operating costs such as electricity costs (charging for refrigerated cargo containers at the port while waiting for collection), storage costs (at port) and cost savings from enhanced equipment utilization)
・追跡可能で改ざんが防止されたドキュメントの、より強力な来歴とリアルタイムな可視化
(Stronger provenance and real-time visibility of documents which is both traceable and tamper-proof)
・海事詐欺の40%を占める文書詐欺防止のためのセキュリティ強化
(Greater security by helping prevent document fraud, which comprises 40% of all maritime fraud)
僕もこれまでに記事として書き留めてきましたが、中華圏では貿易業務の効率化を目指してブロックチェーンを導入する動きが活発になっています。
複雑かつ大量の事務処理が必要となる貿易・海運業の作業効率を上げるために、ブロックチェーンは大きな効果を発揮する技術として注目されていることがわかります。
台湾の春節には欠かせないポンカンのような縁起物にまでブロックチェーンが入り込んでいるということに、これからの展開が期待されますね。
実は今、台湾ではアフリカ豚コレラに感染した豚肉が入ってきたということで、豚肉の輸入制限の措置が採られるとともに、食の安全への関心が高まっています。
こうした状況のなかで、春節に取り扱われる食品の安全性にも注目が集まり、OwlTingのような取り組みがニュースとして報じられているように思います。
また、台湾の人々にとってこの時期に馴染みの深いポンカンとブロックチェーンが関連づけて報じられることによって、ブロックチェーンにも関心が寄せられているように感じます。
食の安全や流通という課題は人々の生活に密着しているトピックであるだけに、そうした分野へブロックチェーンが活用されていることが知られるようになってくると、社会のなかにこの新技術を実装していくための環境整備が一層スムーズに進んでいくのかもしれません。
春節という一年のはじまりにもブロックチェーンのことを意識しながら、これからもコツコツと情報を追いかけていきたいと思います。
あらためて…