2018年5月から毎月1回公表されてきた、中国のCCID(中国电子信息产业发展研究院)による「Global Public Chain Assessment Index(全球公有链技术评估指数)」の第12回リストが、2019年5月23日に公式ウェブサイトで公開されました!
前回の第11回リストの公開が2019年3月22日でしたので、4月が過ぎて5月に入った時は「もう公開されないのかな…」と心配しましたが、2か月越しでようやく公開されました。
これで1年分のリストが公表されたことになりましたので、今回のリストの特徴と合わせて、これまでのインデックスの変化についても少し触れておきたいと思います!
(本記事は有料としていますが、内容はすべて無料でご覧いただけます。記事の一番下に有料部分の説明がありますので、ご関心ありましたらご覧ください!)
過去のリストと評価基準などについては、これまでの記事を以下にまとめてあります。
また、今年初めに公表された2018年の総括記事には、CCIDの評価基準について解説されていますので、合わせて読んでいただければ嬉しいです!
本リストの発信元は「CCIDブロックチェーン研究所(赛迪(青岛)区块链研究院)」で、リストは公式ウェブサイト「CCID赛迪区块链」に掲載されています。
詳細は上記のウェブサイトを見ていただくとして、以下、今回のスコアと順位を、過去1年分の総合評価と過去の順位を加えてまとめましたので、画像として貼り付けておきます。
12回分のリストをまとめたので小さくなっています…拡大してご覧ください🙇♂️
今回のリストでは新たなパブリックチェーンのリスト入りはなく、過去2回と同様、35のパブリックチェーンの評価がおこなわれました。
全体的な傾向としては、EOS・TRON・Ethereumの上位3つが飛び抜けた評価を受けていることと、以下、おおよそ①100〜110ポイント、②90ポイント以上、③90ポイント未満という3グループに分かれ、各グループのパブリックチェーンの顔ぶれもほぼ固定されてきたという印象です。
そうしたなかで、15位のNULSが前回から10.6ポイント減、23位のKomodoが11.9ポイント減、30位のTezosが9.9ポイント減、32位のBytecoinが8.1ポイント減、33位のLitecoinが9.5ポイント減といったように、大幅にポイントを下げたものが多く見られました。
今回は全体的にも評価が厳しめになっているようですが、それだけに、16位のSiaが15.2ポイント増と、大幅に評価を上げていることが注目されます。
Siaについては昆布森ちゃんさんの出来高ウォッチの記事にも取り上げられていますが、公式ウェブサイトには「Fully decentralized cloud storage(完全な分散型クラウドストレージ)」という説明がトップに掲げられています。
Siaの公式Mediumページに2019年5月8日に掲載された記事によれば、4月1日に大型アップデート「v1.4.0、コードネームDraco」がリリースされたということです。
以下、総合評価を構成する3つの評点について、Siaの評価上昇を頭に置きながら見ていきたいと思います。
上に挙げた総合点のリストは、「Basic-tech(基础技术水平)」、「Applicability(应用层级)」、「Creativity(创新能力)」という3項目の評点を合計した点数に基づいたものになります。
以下、それぞれの項目についても、過去11回分の評点と合わせたリストを挙げておきます。(それぞれの順位は第12回の評点に基づいています)
①Basic-tech(基础技术水平)
②Applicability(应用层级)
③Creativity(创新能力)
これら3つの評価の総合評価に占める割合はそれぞれ①64%、②20%、③16%となっています。
こうした比率だけを見ると①Basic-Techの変化が総合評価に結びついているのかな?と思ってしまいますが、過去記事にも書きましたとおり、必ずしもそのように直結するわけではないようです。
たとえば、今回、大幅に評価が上がったSiaについては、①が26位(前回から2.6ポイント増)、②が25位(1.6ポイント増)、③が6位(11.0ポイント増)と、③Creativityの評価が大幅に上がったことが総合評価の向上に影響しています。
この③の評価基準については、冒頭に挙げた2018年の総括記事に書き留めましたが、「開発スタッフの規模、コード更新状況とコードの影響力を含む、パブリックチェーンの継続的な開発状況」に対する評価を中心に、そのパブリックチェーンの「開放性」が重視されているようです。
③の評点では圧倒的にBitcoinがトップに位置していますが、これはこうした評価基準を象徴しています。
先に触れたSiaのアップデートも、この「継続的な開発状況」を反映する③の評価に含まれていることがうかがえますね。
今回のリストで2018年5月の第1回リストから1年分のリストが出揃ったわけですが、総合評価の全体的な傾向としては、リストの公開のたびに、少しずつパブリックチェーンごとの評価が固まってきたような印象があります。
このCCIDの評価に言及される場合、順位変動に注目されることが多いのですが、毎回の順位は相対的に大きく動くものなので、あまり参考にはならないなと思います。
それよりも各パブリックチェーンの評点に注目をすると、今回のSiaのような大幅なポイント変動はほぼ見られず、だいたい似たような評価が続けて付けられることが多いように思います。
EOS・TRON・Ethereumの上位3つに大きな変動がないことが、そうした雰囲気を象徴していますね。
これは過去1年、各パブリックチェーンともに、評価が大幅に変わるような大きな動きがなかったことを示唆しています。
同時に、それぞれのパブリックチェーンが地道に、着実に開発を進めていることを裏書きしているともいえます。
実際に、この1年で新たにリスト入りしたパブリックチェーンは7つありますが、リストから外されたものはありませんでした。
このことはパブリックチェーンの地道な開発状況を示していると言えるのではないかな…と思っています。
今後は公開のペースが2か月に1回になるということで、評価変動の傾向は変わってくるかもしれません。
そうした点に留意しながら、これからもデータ蓄積を進めていきたいと思います!
以下、有料部分になります。
記事中に挙げました12回分のリスト(総合評価および3評価)のスプレッドシートを公開しています。
ご関心ありましたら、ご活用いただければ嬉しいです!