(台北駅の近くの通り。手前にダイソー、奥にユニクロが見えますね)
ブロックチェーンや仮想通貨をめぐる動きは世界中でスピード感を持って展開しているので、いつ、どこで、何が起こっているのかを知るうえで、ネットメディアの果たす役割は重要だと考えています。
僕の記事はまさにそうですが、メディアの情報として載ったものを基にすることで初めて、いろんな動向を包括的に追うことが可能になります。
加えて、ブロックチェーンに関わる人たちにとっても、メディアでいかに報じられるかということが、プロジェクトの推進にとっては大切な要素のひとつだろうと想像します。
そうした視点から、台湾でブロックチェーン・仮想通貨に関する新たなネットニュースサイトが開設されたというニュースは大切だろうなと感じましたので、少し書き留めておきたいと思います。
・専門ニュースサイト「幣特財經Bitnance」がオープン!
・Bitnanceの特徴は?
・情報が充実していきますように!
台湾のネットニュースサイト「Knowing新聞」は2018年9月1日に「區塊鏈價值權威-幣特財經Bitnance發刊詞(ブロックチェーンのオーソリティを:Bitnance発刊の辞)」と題した文章を掲載しました。
「Bitnance」という名前が、某世界的な取引所の名前とかぶってややこしいということはともかく…^^;
「Knowing新聞」というサイトに発刊の辞が掲載されたことからもわかるように、この新たなニュースサイトは「Knowing新聞」から派生したサイトだということです。
…と思ったら、発刊の辞を書いたのは「KNOWING新聞暨幣特財經創辦人(Knowing新聞およびBitnance創業者)」の楊方儒さんだということに後から気づきました ^^;
「Knowing新聞」というニュースサイト自体、2015年の開設時から一貫して、台湾の先進的な技術に関する情報を幅広く報じてきたサイトです。
今回、特にブロックチェーンに関する部分を独立させたということは、それだけこの分野に可能性を感じていることの証拠なのかなと思います。
実際に、今回の発刊の辞には、ブロックチェーンや仮想通貨をめぐる動きが近年、台湾や香港・中国で盛んになってきているという状況があると同時に、そうした産業をめぐる汚職や詐欺、あるいはマネーロンダリングなどのようなネガティブな状況も生まれてきているという現状を受けて、以下のようなことが語られています。
此時需要更多且更專業的區塊鏈產業媒體, 傳播進步觀念,啟發讀者對於區塊鏈發展動態的正確認知。
(こういう時には、より多くの、より専門的なブロックチェーンメディアが、これからの進歩を伝え、読者にブロックチェーンの発展に関する正確な認識を与えていくことが求められている)
ブロックチェーンや仮想通貨をめぐる状況が激しく展開していくなかで、そうした動きに即したメディアが必要だという強い思いを感じることができます。
とはいえ、台湾にはすでにブロックチェーン・仮想通貨に関する専門的なメディアとして、「區塊客blockcast.it」や「動區動趨BlockTempo」があります。
Bitnanceがこうした先行メディアとどのように差別化を図っていくかということについては、今後の目標も含めて以下のように説明されています。
一年來我們看到,台灣的區塊鏈產業媒體,都是「從業者」成立的,大家都是圈內人,能夠最直白的反映發展實況。相對來說,台灣的傳統媒體,對於區塊鏈產業的認知與投入,仍在早期階段,摸不到癢處。(…)未來,幣特財經將秉持中立客觀立場,積極協助政府政策推動, 並創造台灣官民之間,以及本土業者與跨國業者之間的多贏格局。
(ここ一年、私が見てきたところによると、台湾のブロックチェーンメディアはみな「従業者」が作っている。みな、サークルの中の人たちであり、発展の状況をもっともストレートに報じることができる。他方で、台湾の伝統的なメディアのブロックチェーンに対する認知度と取り上げ方というのはまだ初期段階にあり、かゆいところに手が届いていない(…)将来的に、Bitnanceは中立客観の立場を堅持し、政府の政策の進展に積極的に協力し、台湾の官民間、および台湾の業界とグローバル企業とのあいだにwin-winの関係を生み出していきたい)
ブロックチェーンメディアにおいては後発だけれども、上に挙げた二つのブロックチェーン専門サイトの開設よりも早くから技術系のニュースサイトを運営してきた立場から、伝統的なメディアとニューメディアを融合させたような立ち位置を作っていこうと考えていることがうかがえますね。
こうした特色は、実際に公開された公式ウェブサイトにも表れています。
トップページには主要な仮想通貨のレートが示されていると同時に、BinanceやCoinEXなど主要な海外取引所へのリンクが貼られていて、上記2つのサイトに比べて仮想通貨情報が前面に出ています。
このあたりは、サイト名にも入っている「財經(財政経済)」の特色が出ているように感じます。
そうした情報の下に各種のニュースが並んでいるのですが、それらのニュースの間に、6名の人々の写真と名前が並んでいます。
その6名とは、立法委員の許毓仁さんや余宛如さん、弁護士(律師)の蔡玉玲さん、NCC(國家通訊傳播委員會、国家通信メディア委員会)主任委員の詹婷怡さん、前金融管理監督委員會主任委員で政治大学副学長の王儷玲さん、台湾大学教授の廖世偉さんです。
いずれも、台湾のブロックチェーンや仮想通貨に直接的に関係しているキーパーソンたちです。
(特に、許毓仁さんについては以下の「まとめ記事」から、許毓仁さんと余宛如さんの動きについては、以下の記事をご覧いただければ嬉しいです)
この点については、上に挙げた発刊の辞のなかで、こうした人々には「無給職的榮譽顧問與專欄作家(ボランティアの名誉顧問と専属ライター)」をお願いしていると書かれています。
こうしたキーパーソンをある意味で「囲い込む」ことで、ニュースメディアとしての信頼とコンテンツの充実を実現しようと考えていることがうかがえます。
発刊の辞には、Bitnanceで独自記事が上がるのは9月中旬以降ということなので、今、サイト内に上がっている記事はすべて「Knowing新聞」に掲載されていた過去記事のようです。
発刊の辞の末尾には編集部の人材募集も掲載されていますから、走りながらシステムを作っていくようなところも垣間見えますので、これからどうなっていくのかが注目ですね。
新たなニュースメディアが生まれることは、それだけ情報へのアクセス機会が増えるので素直に喜ばしいことだと思います。
とりわけ、変化の激しいブロックチェーン・仮想通貨に関する情報を、より早く、より多く、より専門的に伝えるメディアが生まれることは、既存のメディアにも影響を与えるという意味で、注目すべき動きだろうなと感じます。
僕自身、まだ台湾での情報を追いかけ始めて間もないので、それほどいろいろ語れるわけではありませんが、それでも、一般的なメディアでブロックチェーンや仮想通貨に関する動向が、だんだんと報じられるようになってきたのではないかと感じています。
これからBitnanceがどんな情報を発信し、それがどのような形で受け入れられていくのか…これは、台湾の業界発展にも寄与するところが大きのではないかと思っています。
僕にとっては、こうしたメディアは情報を受信するための大切なチャンネルであるわけですが、同時にメディアの存在そのものにも目を向けて、コツコツと情報を追いかけていきたいと思います!
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