(韓国・釜山の釜田市場。韓国の市場もにぎやかでイイですよ)
ブロックチェーン・仮想通貨に関する法制度の整備が進むためには、立法に関わるキーパーソンの存在が重要ですね。
台湾では、僕もたびたび記事にしている立法委員の許毓仁さんが積極的な活動を展開しています。
台湾内にとどまらず、国際的な場でもブロックチェーン・仮想通貨の関係者と交流・発信を続けていますが、今回は韓国で新たな取り組みの開始を公表したようですので、少し書き留めておきたいと思います。
・台湾がブロックチェーンで果たす国際的な役割って?
・国会議員によるグローバルな政策連携を進める?
・政策をめぐる議論もグローバルに⁉︎
台湾のネットニュースサイト「Knowing新聞」が2018年10月13日に報じた記事によると、台湾の立法委員(日本の国会議員に相当)である許毓仁さんが、韓国で開催された「全球區塊鏈政策論壇(Global Blockchain Policy Conference)」に出席し、「全球區塊鏈政策委員會(Global Blockchain Policy Council)」の開設を明らかにしたそうです。
許毓仁さんの公式Facebookページに掲載されている記事によれば、会議は韓国の国会議事堂で開催され、許毓仁さんは韓国国会の議長を務めているChoung Byounggug(崔正剛)さんの招聘で登壇することになったようです。
公式Facebookページの記事によれば、会議の場で許毓仁さんは以下のとおり、台湾のブロックチェーン・仮想通貨をめぐる現状について述べたそうです。
我分享了台灣在監理沙盒、SRO、ICO揭露平台、證券代幣未來規劃以及加密貨幣納入洗錢防制的作法(…)同時我也提及了正在進行的新北區塊鏈特區計畫,藉此特別強調政府部門應該要促進更多的區塊鏈應用。
(台湾のレギュラトリーサンドボックス、SRO、ICOプラットフォーム、セキュリティトークンの将来計画、および仮想通貨をマネーロンダリング防止法制に位置づける方法について共有し(…)同時に、今まさに進めている新北市におけるブロックチェーン特区計画について言及し、政府が多くのブロックチェーン事業を促進していることを特に強調した)
ここに挙がっている取り組みのほとんどについては、冒頭に上げた僕の過去記事で取り上げていますのでご参照いただければ嬉しいです。
国際的な場でも台湾の取り組みが、先進的な要素を含むものとして一定の共感を得て受け止められようとしていることがうかがえますね。
会議の公式ウェブサイトに掲載されたプログラムによれば、許毓仁さんが登壇したセクションは「A global conversation: Legislators from around the world discuss legal/regulatory framework conducive to nurturing the blockchain industry(グローバルカンバセーション:世界中の議員によるブロックチェーン産業を育成するための法的・規制の枠組みに関する議論)」というパネルディスカッションだったようです。
「Legislators from around the world」とあるように、プログラムによると、パネルディスカッションには許毓仁さん以外に、以下の方々が登壇したそうです。
Cheong Byunggug(Bareunmirae Party)
Kim Se-Yeon(Liberty Korea Party)
Kim Byung-Gwan(Democratic Party of Korea)
Nakatani Kazuma, Matsudaira Koichi(Japan)
Olli-Poika Parviainen(Finland)
Kalle Palling(Estonia)
Sheila Warren(Head of Blockchain & Distributed Ledger Technology, World Economic Forum)
最後のSheila Warrenさん以外は全員、各国の国会議員が登壇者として名を連ねています。
韓国の与野党議員やフィンランド・エストニアといった「ブロックチェーン先進国」の国会議員に加えて、日本からもブロックチェーンを始めとする新たな技術の導入・発展に関心の強い2名の国会議員(中谷一馬さん、松平浩一さん)が登壇したようですね。
パネルディスカッションで展開された議論については、許毓仁さんがFacebookページに以下のようにまとめています。
愛沙尼亞和芬蘭則是歐洲跑得比較快的國家,現在也已經推出數位身份計畫,對於ICO整體而言也是抱持友善的態度; 而日本在經過兩次的交易所駭客事件(Coincheck、Zaif)後,目前趨向保守;韓國則宣告這次會議過後將會積極動起來,預計未來法規會放寬,濟州島和首爾也在競爭成為區塊鏈特區。
(エストニアとフィンランドはヨーロッパで比較的先進的な国家で、すでにデジタルIDのプロジェクトを推進しており、ICOについても友好的な姿勢を持っている。日本は二度におよぶ取引所のハッキング事件(Coincheck、Zaif)を経て、今のところ、保守的な方向に動いている。韓国は今回の会議の後から積極的に動いていくことを公表し、規制緩和を予定しており、済州島とソウルがブロックチェーン特区の誘致で争っている)
台湾も含め、各国のリアルタイムな状況が共有されたようですね。
(比較すると、日本だけが後ろ向きな状況にあることが際立ちますね^^;)
また、許毓仁さんのFacebookページの記事によれば、この会議の後、以下のような形で「全球區塊鏈政策委員會」の結成が公表されたということです。
我與韓國、日本、愛沙尼亞、芬蘭及新加坡等國的國會議員共同宣布成立全球區塊鏈政策委員會(Global Blockchaibn Policy Council),並由我擔下亞洲區委員長的重任
(私と韓国・日本・エストニア・フィンランドおよびシンガポールなどの国会議員とグローバルブロックチェーン政策委員会を結成したことを共同で公表し、私がアジアエリアの委員長の重責を担うことになった)
また合わせて、第一回の政策フォーラムを台北で開催することが決まったということです。
日本も含めたアジア各国とヨーロッパのブロックチェーン先進国の法整備を担うキーパーソンが、グローバルに政策に関する議論をおこなう場が形成されたということで、これからが楽しみですね!
今回、許毓仁さんが登壇した会議は韓国の国会議事堂で、各国の国会議員を集めて開催されたブロックチェーンに焦点を当てたものとして注目されます。
また、「Knowing新聞」の記事には、韓国のブロックチェーン・仮想通貨をめぐる現在の状況についての言及があり、昨年9月に実施されたICO禁止令を修正する動きが出てきているとともに、韓国のブロックチェーン業界の自主組織である「Korea Blockchain Association(KBA)」が自主ルールを公表する予定だということです。
こうした韓国の前向きな状況を背景に、今回の会議も開催され、各国の法整備に関する先進的な議論が展開されたことがうかがえます。
台湾の置かれている国際情勢から考えれば、アジア各国を含め、多くの国や地域との交流を進めてつながっていくことが、台湾の国際的な認知度および存在感の向上に寄与することになると思います。
また、そうした台湾の活発な動きが、同時に各国・各地域においてもそれぞれに国際的な関係性を構築していくきっかけになっていくともいえます。
こうした国際関係上の動きにも注目しながら、それぞれの地域での動きやキーパーソンの動きをコツコツと追いかけていきたいと思います!