ALISで記事を書くようになってから、ブロックチェーン・仮想通貨をめぐる動きを気に留めるようになり、実際に技術開発をおこなっている人たちの話を直接聴いてみたいなぁ…と思うようになりました。
そうしたことを比較的簡単に実現することができる機会のひとつとして、ミートアップやカンファレンスに参加するということがあるかなと思います。
ミートアップについては台北で初参加を果たしました(けれど、記事にしていません…もうタイミングが…)
今回は、初めてカンファレンスに足を運んでいろいろな方のプレゼンを聴いてきましたので、「レポート」というには僕の力不足、かつ内容不足なので、備忘録的に書き留めておきたいと思います。
・「2018 BLOCKCHAIN SUMMIT」に行ってきました!
・期待したんですけれど、冒頭から…
・「官」と「学」の視点から
・ブロックチェーン導入・開発企業はどう考えている?
・その後…
今回、参加したのは2018年12月17日に台北で開催された「2018 BLOCKCHAIN SUMMIT(2018台北區塊鏈產官學高峰會)」というカンファレンスです。
英語名だけ見ると非常に大きな規模のカンファレンスなのかなと想像してしまいそうですが、中国語名を見ると「產官學」というフレーズが入っていますね。
公式ウェブサイトに掲載されているアジェンダを見てみると、だいたい4部構成になっています。
行政機関および教育機関、ブロックチェーン開発・活用企業、投資家、メディアといったそれぞれの立場から、今のブロックチェーンをめぐる状況と今後の展望について語るといったような内容になっていました。
主催は「EASY.ONE」という企業で、公式ウェブサイトによるとブロックチェーン開発企業を専門とする広告代理業を主力事業としているようです。
また、共催として台湾の仮想通貨取引所である「BitAsset」の名前が挙がっていました。
BitAssetについては以下の記事に書き留めましたが、金融機関でのキャリアを持った人々によって創設された仮想通貨取引所として注目されているようです。
こうした企業が中心になって開催されたということで、投資家の視点やメディアの視点が組み込まれているのかなと感じました。
朝9時開場、9時半開会ということだったのですが、若干寝坊してしまい、タクシーに飛び乗ってなんとか開会までに会場入りしました。
開会時間までにどうしても会場入りしたかったのには理由がありました。
アジェンダを見ると、まず「官方代表」による挨拶が30分間予定されていて、その次の登壇者が立法委員の許毓仁さんの名前が挙がっていたので、冒頭から聴きたい!と思っていました。
(ちなみに、許毓仁さんについては以下のまとめに関連記事へのリンクを貼っています)
「官」の代表として誰が来るのかということも気になりましたし、何よりもブロックチェーン・仮想通貨関連の立法に積極的な許毓仁さんが登壇するとなれば、ニュースバリューがあるなぁ、どんな話が聴けるのかなぁと期待に胸を膨らませつつ待っていました。
…と思っていたのですが、9時半を過ぎても始まらず、10時を過ぎても始まらず。
結局、開会は10時20分。しかも初めに登壇したのは、EASY.ONEのCEOであるEdward Chenさんでした。
もともとのアジェンダでは9時半から10時20分までが、上に挙げた2名の登壇時間となっていたので、丸ごと無くなったということのようです。
まあ「そういうものなのかな…」と思うことにしましたが、期待していただけに残念でした。
午前中は「産官学」のうちの「官」と「学」からの視点を中心に、以下の方々が登壇しました。
(名前および肩書きはアジェンダの記載の通りです。)
王可言さん(台湾金融科技協会・董事長)
許智強さん(国立清華大学・兼任副教授)
Marcoさん(BitAsset・全球商務副總裁(グローバルビジネスVP?))
このうち、王可言さんはフィンテックの推進に関わる官民協働組織の代表として、2018年7月に台北で開催された「2018 Asia Blockchain Summit(亞洲區塊鏈高峰會)」にも登壇するなど、積極的な情報発信を展開している方です。
それぞれのプレゼンの内容について、僕の理解できた範囲でざっくりとまとめておくと、まず、王可言さんはICOの(厳しい)状況に触れつつ、ブロックチェーンのこれからの可能性について幅広く言及したものでした。
このあたりは、上に挙げた許毓仁さんの関連記事でも書いていますが、台湾の仮想通貨やICOに関する法整備が今まさに進行中だということが念頭にあったのかなというように感じました。
加えて、細かいことかもしれませんが、プレゼン中、「加密貨幣(暗号通貨)」という表現を一貫して使用していて、「虛擬貨幣(仮想通貨)」という表現を避けていたように見えたのは印象的でした。
続いて、許智強さんは、自分の経歴紹介に続いて、自らが主導する国立清華大学での人材養成カリキュラムや各種の取り組みについて紹介されていました。
ブロックチェーンは若い人たちが主役になる・引っ張っていくとして、学生さんたちの「自主的」なサークル活動に注目しているようです。
ブロックチェーンの導入を進めているスタートアップのなかには、「Accupass」や「集點樹」など、学生時代に立ち上げられたところが少なからずあります。
これからの展開には、こうした「原動力」が欠かせないということなのかなと思いながら、話を聴いていました。
そして、MarcoさんはBitAssetの事業紹介と今後の展開について紹介されていました。
おおよそ、上に挙げたBitAssetについての記事を書いたときに調べた内容を出るような感じではありませんでしたが、今後の展開ということについて触れたピッチデックのページで、2019年の取り扱い予定通貨のところに日本円が挙げられていました。
プレゼン全体を通して、日本市場への進出についてはそっと言及を避けていたように感じたのですが、内部で検討はされているのかもしれません。
この三者のプレゼンに続いて、王可言さんと許智強さんに、「台湾駭客協會(台湾ハッカー協会)」理事長の徐千洋さんと、台湾の有名掲示板である「台大批踢踢實業坊(PTT)」站長の戴志洋さんが加わったラウンドテーブルがありました。
ハッカーと掲示板運営者が加わったということで、熱のこもった議論を期待したのですが、4者それぞれに台湾のブロックチェーンをめぐる今の動きについて順番に話していくというスタイルで進み、議論らしい議論が特に展開されなかったのが残念に感じました。
PTTの戴志洋さんが、分散型メディア・プラットフォームの先駆者としてブロックチェーンには期待していると語っていたところは、PTTへのブロックチェーン・AI導入を検討していたことが想起されて、印象的でした。
昼食は登壇者の方々も含めて全員、会場の外に食べに出て、13時半から(の予定が15分ほど遅れて)午後の部が再開されました。
午後はまず、実際にブロックチェーンの技術・サービス開発や導入を進めている企業によるプレゼンが続きました。
登壇されていたのは、以下の方々です。(登壇順です)
清水史浩さん(日本、EMI foudation)
Jackie Wuさん(台湾、Amos)
Johnson Chngさん(シンガポール、Tuple)
林弘全さん(台湾、Poseidon network)
高重建さん(香港、LikeCoin)
基本的にはそれぞれの事業紹介と、ブロックチェーンをどのように活用していこうと考えているかといった内容でした。
EMI foundationは、病院検索・予約サイトの「EST doc」などを開発・運営しているest corporationを立ち上げた清水史浩さんを代表として創設された医療情報活用プラットフォームだと説明されていました。
プレゼンのなかで、一般的にブロックチェーンプラットフォームの構築というとイーサリアムベースで作られることが多いけれど、EMIは独自チェーンの開発から進めていることに言及されていて、印象に残りました。
Amosはヘルスケア・スポーツの向上・推進にトークンによるインセンティブを軸としたエコシステムの構築を目指しているプロジェクトで、ICOを控えているところだということでした。
Tupleは「SALES AI」というキャッチフレーズに事業内容が端的に示されているように、データ活用を目的としたAIプラットフォームの構築を主要事業としているということです。
(このあたりになると、集中力が切れ始めていたので…すみません。)
Poseidon networkは、台湾でブロックチェーン関連の技術開発を進め、台北市の「スマートシティ」計画にも関わっている「BiiLabs」など、多くの企業を立ち上げてきた連続起業家として知られている林弘全さんが新たに展開しているプロジェクトです。
(BiiLabsについては、以下の記事などに書き留めています)
林弘全さんの熱量の高さが印象的で、内容も多岐にわたっていたので公式ウェブサイトを参照しながら聴いていたのですが、事業内容としては、トークンエコノミーの構築によって、「World’s First Decentralized Content Acceleration Network」の実現を目指していくということのようです。
ABAやLongHashといったアクセラレーターや、NEMのようなコミュニティの活発なパートナーと提携しているようなので、コンテンツ作成をインセンティブやストレージ付与によってサポートし、それを非中央集権的に実現していくということを目指しているように感じました。
最後のLikeCoinについては、僕の以下の記事やWandaさんの記事にまとまっていますように、WordPressで作成したウェブサイトやMediumの記事などに、LikeCoin独自の「いいねボタン」を付けることができ、いいねがついた量に応じて、独自トークンがもらえるというサービスを展開しています。
2019年1月から試験的に、「讚賞公民」という、毎月5アメリカドルを支払うことでコミュニティの様々な活動に参加できるシステムをスタートさせるということが公表されていたのが印象的でした。
プロジェクトを実際に動かしている方々の話は、それぞれの熱量の違いも合わせて、なかなか興味深いなあと感じました。
この後、投資者の視点からのプレゼンやメディア関連のプレゼンが続くのですが、このあたりから会場を出たり入ったりしていたので、ほとんど内容を覚えていません…
とりあえず最後までいましたが、朝から夕方まで続くカンファレンスは集中力の維持が大変だなと感じました。
これもまだまだ、自分の力不足・理解力不足だなあと痛感します。
その後のメディアでの記事も少し探してみたのですが、2018年12月18日現在で、特に取り上げているところがなく…
カンファレンスの記事というのは報じにくいところがあるのかな、政府関係者や立法委員が登壇していれば、もう少し取り上げられるようになるのかな、と感じるところです。
プレゼンの内容も僕自身が理解した範囲では、すでにいろいろなところで公表されていて、自力で集めようと思えば集められる情報が多かったのかなと思いましたが、直接話を聴けたことによって、いろいろ調べてみよう!という気持ちになるというところも、カンファレンスに実際に足を運んだ効果かなと思いました。
レポート記事としてまとめるには、まだまだ勉強しないといけないことが山ほどありますが、これからもコツコツとこうした現場にも足を運んで、記事にしていけたらと思います!