中国から広がった新型肺炎コロナウイルスの影響で、マスクの供給が世界各地で追いついていません。
ウチの周りのスーパーやドラッグストアからも、1月の終わりあたりからとうとうマスクが消えてしまいました…
こうした状況は、中国近隣の香港・台湾・マカオも同じようで、各地それぞれにいろいろな問題や対策が生まれています。
香港の友人からは連日、マスクを買うために長蛇の列が至るところでできている様子が送られてきます。
たとえば、デモの様子をライブで報じ続けている香港のネットメディア「立場新聞」の記事では、老若男女問わず、マスクの購入のために徹夜で並ぶ人の様子を伝えています。
以下のBBC中国語版の記事では、医療関係者への優先配布を進めているなかで、香港市民への供給が追いついていない様子が報じられています。
香港特別行政区政府の林鄭月娥行政長官も、短期間での状況回復は難しいと言及しています。
行政長官のこうした姿勢は、普通の社会状況ならともかく、この半年以上、香港で展開された抗議活動に対する政府・警察の暴力的排除の影響で、政府批判の動きに油を注ぐような状況を招いているようです。
香港の友人たちも、政府の「無能」さと結びつけて今回の状況を捉えています。
社会システムの混乱が、今回のコロナウイルス対策のようなイレギュラーな事態への対応に大きく影響してしまったといえますね。
それに対して、香港と同じ特別行政区に指定されているマカオでは、電子システムによる供給管理がうまく機能していて、今のところマスクの供給が順調に進んでいるようです。
上に挙げたBBC中国語版の記事では、マカオの人口76万人に対し、2000万枚のマスクの供給準備ができていると報じられています。
マスクの価格高騰も今のところは見られないということで、市民の満足度、とりわけ政府への信頼度が上がっていると、香港の状況と対比される形で言及されていて注目されますね。
他方、香港・マカオの対岸に位置する台湾では、2020年1月24日から1か月間、マスクの海外への輸出を禁止することになったと、上に挙げたBBC中国語版の記事は報じています。
それでも、街中の薬局からマスクが姿を消すなかで、今日、2月6日からマスクの購入を実名制にする方針が実施されることになりました。
記事によると、台湾ではマスクを政府が買い上げて供給管理をしていて、国民健康保険の特約薬局を通じてマスクを供給・販売するシステムを採用しているということです。
このシステムのもと、国民全員が持っている健康保険カード(健保卡)の番号によって、購入日を制限することになるようです。
なお、旅行などで一時的に台湾を訪れる外国人は、この方針が実施されているあいだは台湾でマスクを購入することができないと報じられています。
台湾の人口は約2,300万人。
マカオや香港より多くの人々に、公平・公正にマスクが供給されるようにいろいろな対策が講じられている様子がうかがえますね。
インフルエンザの流行や花粉症の時期と重なって、マスクの供給はまだまだ滞りそうな雰囲気です。
この問題は、香港の状況から考えてもイメージできますが、社会システムやそれを取り巻く社会の状況、社会の人々のあいだの信頼関係などが影響するものになリつつあるようです。
マスクの増産が進めばとりあえず需給関係は改善しますが、その先に見える社会システムをめぐる課題はこれからも検討が続けられるところなのかもしれません。
少しでも早くウイルスの広まりが落ち着くことを願うとともに、それぞれの社会での課題への向き合い方を、コツコツと追いかけていきたいと思います。