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「2018 Asia Blockchain Summit」Part4(完):日本の取り組みに対する反応は?そして「台湾×ブロックチェーン」のこれからは?

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  • kaz
  • 2018/07/06 14:43
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台湾・台北で2018年7月2日・3日に開催された「2018 Asia Blockchain Summit(亞洲區塊鏈高峰會)」には、日本からも3名の方が登壇されていました。

「日本ブロックチェーン協会」事務局長の樋田桂一さん、「Hotaru Inc」の共同創業者・CEOの篠原ヒロさん、「HushHub」CEOの東晃慈さんの3名です。

みなさんそれぞれ、サミットでの様子をTwitterにアップされていて、会場の雰囲気を感じることができます。



諸外国・諸地域の方々の議論がそれぞれに興味深いことに加えて、こうした方々がどのような議論をされ、それがどのように受け止められたのかというところもまた気になりながら情報を追いかけていたのですが…これがなかなか、見つかりません(^^;

今のところは台湾の各種メディアが報じる情報から内容と反応を拾っていくしかないのですが、僕の見た範囲ではわずかに、樋田さんがパネリストとして登壇されていたSROに関する議論が注目されているようです。

他のおふたりの議論とそれへの反応も気になるところですが…現場に行けなかった者の限界です(^^;

今回のサミットを呼びかけた許毓仁さんの閉会時のスピーチと合わせて、サミット関連記事のまとめとして、少し書き留めておきたいと思います。

(文中の日本語訳はざっくりとした粗訳です。参考までにご覧ください(^^;)


もくじ

・本題に入る前に…

・SROに関するパネルディスカッションの意味

・日本も含めた各国の取り組みについて…

・台湾を「區塊鏈之島」に!


本題に入る前に…

「2018 Asia Blockchain Summit」の公式ウェブサイトはこちらです。(英語)

Part1の記事に、サミットに関する情報ソースなどをまとめています。合わせてご覧いただければ、会場の雰囲気をイメージしやすいかなと思います。

Part2の記事には、Binanceの創業者・CEOの趙長鵬さんや、台湾政府関係者のブロックチェーン・仮想通貨に対する見方についてまとめました。

Part3の記事には、ブロックチェーン・仮想通貨にかかわる企業について、特にデジタルコンテンツや芸術とブロックチェーンを結びつけるプロジェクトについてまとめました。



SROに関するパネルディスカッションの意味

サミットのアジェンダによると、7月2日の12時から“SRO from different countries”と題されたパネルディスカッションが開催され、香港、シンガポール、日本、台湾、韓国のSRO関係者による議論が展開されたようです。

台湾の経済紙である「經濟日報」のウェブサイトに、このパネルディスカッションでの議論がコンパクトにまとめられています。

記事の中で、今回のサミットで特にこうしたパネルディスカッションが設けられた意図について、台湾フィンテック協会理事長の王可言さんが語っている以下のような内容が参考になるように感じました。

區塊鏈與加密貨幣的發展快速,大部分的國家尚不知應該如何管理,而業者自律組織的成立可以用來避免系統性風險,同時在產業發展的過程中,協助主管機關了解風險因素,針對弊端提出監管規範。
(ブロックチェーンと暗号通貨の発展は速く、ほとんどの国家はどのようにこれを管理すれば良いのか未だにわかっていない。そうしたときに、SROの成立はシステマティックリスクを回避しうるものであると同時に、産業発展のプロセスにおいて、所管機関がリスク要因を理解する助けとなり、弊害に対する監督ルールを提案することができる)

政府と産業との関係性のなかで、どのようにして健全な市場の発展を目指していくのかということにかかわって、SROの存在が重要視されているということが伝わってきます。

Part1やPart2の記事でも触れましたが、サミットの呼びかけ人の許毓仁さんや、Binanceの趙長鵬さんも、「政府」の役割について言及していました。

両者のあいだを取り持つ存在としてのSROに注目が集まるのは自然な流れなのかもしれませんね。

また、台湾ではブロックチェーン・仮想通貨業界のSROが誕生したばかりということも、今回のパネルディスカッションが設けられた理由のひとつだろうと思います。

(台湾のSROの結成については、以下の記事にまとめています)

また、王可言さんは、「自律組織亦需建立跨國協作的合作機制,近期會和國際自律組織簽約協作(SROはまた、クロスボーダーに協力するメカニズムを打ち立てる必要があり、近々、国際的なSRO協力関係を締結したい)」とも述べたようです。

各国のSROがグローバルにつながっていく動きが生まれてきそうで、楽しみですね!


日本も含めた各国の取り組みについて…

「經濟日報」の記事には、以下のように各国のSROに関する発言を見出しとして表現しています。

日本自律組織與政府密切配合(日本のSROは政府と緊密に連携する)
韓國自律組織審查交易所業者的能力(韓国のSROは取引所運営業者の能力を審査する)
香港自律組織將交易所納入成員(香港のSROは取引所をメンバーとして取り込んでいく)
新加坡自律組織建立信任(シンガポールのSROは信任を打ち立てる)

見出しをみただけでも、それぞれの国・地域の現状や背景が垣間見える内容になっていたことがうかがえます。

そのなかで、日本のSROについて話した樋田桂一さんは、Twitterで発言の内容を以下のようにまとめています。

これに対し、「經濟日報」の記事では、以下のようにまとめられています。

日本的自律組織在政府的支持之下,由日本區塊鏈協會(JBA)與日本加密貨幣事業協會(JCBA)聯合成立,並與日本政府保持密切的合作,將對政府提出業界的研究調查報告,也將為法律相關可能出現的糾紛與裁決開闢專門會議,同時積極向國外其他的聯盟、自律組織尋求合作。
(日本のSROは政府の支持のもとで、日本ブロックチェーン協会(JBA)と日本仮想通貨事業者協会(JCBA)が協力して成立した。そして、日本政府と緊密な協力を維持し、政府に対して業界の研究調査報告を提出するとともに、法律をめぐって出てくるだろう問題と裁決について議論をするための専門会議を設置し、同時に積極的に海外のアライアンスやSROと協力したいと考えている)

台湾のIT系ニュースサイトの「iThome」の記事では、もう少し日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)の内容に寄せたまとめ方になっていて、メディアによる注目ポイントの違いが興味深いですが…

ただ、上に挙げた王可言さんの発言を想起すると、政府との関係性に注目した受け止め方がやはり強いのかなという印象を持ちました。

台湾の人々がSROに対して、どのような点に注目しているかということが透けて見えるように感じます。


台湾を「區塊鏈之島」に!

以上のようなSROをめぐる国際的な議論をはじめ、サミットでは本当に多様なテーマでさまざまな立場の人々がバラエティ豊かな議論を展開していたようです。

すべての議論を本当はフォローしたいのですが、現場に立ち会えなかった身としてはそれも難しいので、どうまとめようかなというところですが…

呼びかけ人の許毓仁さんが、開会時のスピーチとともに、閉会時のスピーチ原稿もMediumに掲載しているので、その内容を最後に引きながら、シリーズ記事を締めたいと思います。

(ちなみに、開会時のスピーチ原稿はPart1の記事にリンクを貼りました。こちらは英語でしたが、閉会時のスピーチ原稿は中国語です)

許毓仁さんの閉会スピーチでは、今回のサミットの登壇者の名前が挙げられています。僕が今回の記事に取り上げられなかった主要な人物を挙げると…

ライトコインの創業者である李啟威(Charlie Lee)さん
イーサリアムの法務顧問だったDavid Ben Kayさん
台湾のOwlTing(奧丁丁)創業者の王俊凱さん
UBITUS(優必達)CEOの郭榮昌さん
DTCOのCEOの李亞鑫さん
Vpon(威朋)CEOの吳詣泓さん
Bitpoint Taiwan(幣寶)CEOの郭雅寧さん
BitoEX(幣托)CEOの鄭光泰さん
CoolBitX(庫幣科技)CEOの歐仕邁さん

など、台湾や国際的なブロックチェーン・仮想通貨のキーパーソンの方々の名前が挙げられています。

こうした方々のコメントなどが紹介されたのち、許毓仁さんはスピーチの最後を以下のような言葉で締めくくっています。

在歷經兩天的亞洲區塊鏈高峰會後,我深信台灣在區塊鏈發展的未來不會缺席。讓我們一起加油,讓台灣成為區塊鏈之島。Yes, we can! Taiwan!
(2日間にわたるAsia Blockchain Summitののち、私は台湾がブロックチェーンの発展の未来に欠かすことができないと確信しました。ともにがんばって、台湾をブロックチェーンアイランドとしましょう。Yes, we can! Taiwan!)

この言葉を、サミットに集った、延べ4,000人(!)の人々はどのように受け止めたでしょうか。

僕にはこの許毓仁さんの「深信(確信)」は、このサミットで展開された議論を基にした、確かな「実感」なのだろうと感じました。

この場での多様な議論がどのように展開していくのか…これからの動きが楽しみです!


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公開日:2018/07/06
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