ブロックチェーンの特性を活用していくためのサービスとして、「食品トレーサビリティ」への応用は注目を集めている分野ですね。
台湾でも、ブランド米の「池上米」や春節には欠かせない「ポンカン(椪柑)」の流通にブロックチェーンを活用する試みがおこなわれています。
今回は、世界的な台湾の名産品である烏龍茶の識別にブロックチェーンを活用していこうという動きが目に留まりましたので、記事にしておきたいと思います!
・亞洲大學による「AI・ブロックチェーン×烏龍茶」って?
・そもそも亞洲大學って?
・ブロックチェーンが台湾の烏龍茶産業を変えていく?
台湾の報道機関である「中央通訊社」が2019年3月27日に報じた記事によると、台湾の「亞洲大學」は、自らが開発したAIとブロックチェーンを活用したシステムによって、台湾のブランド烏龍茶である「東方美人茶」の識別に成功したということです。
記事によれば、今回の技術開発は台湾の行政機関である「客家委員会」が、2018年に亞洲大學に委託することで実現したということです。
客家委員会は、台湾の「四大族群(四大エスニックグループ)」のひとつである客家に関する行政施策を担う行政機関です。
ちなみに、四大族群とは多様な歴史的背景から台湾に居住することになった、閩南人、外省人、客家、先住民族の4グループから構成されています。
「四大族群」で検索していただければいろいろと出てくると思いますのでここでは詳細は省きますが、台湾は多民族的な色彩を帯びていますので、地域によって民族的な特徴を持っているところも多くあります。
台湾の高地で栽培され、台湾の名産品として名高い烏龍茶にはいろいろな種類がありますが、なかでも「東方美人茶」という品種は、客家の人々が多く住んでいる台湾北東部の新竹や苗栗などでたくさん栽培されています。
客家委員会としては、客家の人々の主要な産業である東方美人茶のブランド力と安全性の向上に、ブロックチェーンやAIを活用した食品トレーサビリティを必要としたということのようです。
食の安全への意識が消費者のあいだで高まっている状況のなかで、ブロックチェーンを活用した技術がセールスポイントになるというのは、新たな動きとして注目されますね。
今回の技術開発を担った亞洲大學は、ブロックチェーンやAIなど、新たな技術に関する研究開発を積極的に進めています。
以下の記事にも書き留めましたが、亞洲大學には「人工智慧暨區塊鏈國際產學聯盟(International AI & Blockchain Consortium、iABC)」と、「金融科技區塊鏈技術研技中心(Fintech Blockchain Center)」といった、新技術開発を担っているセクションが開設されています。
この記事にまとめました「シェアリングの先駆け」と言われている「時間銀行」の取り組みへのブロックチェーン導入や、以下の記事に書き留めました、医療機関との提携のもとで医療情報を結ぶシステムの構築など、多種多様な取り組みを進めています。
台湾では総合大学や理系大学で、民間企業などと提携する形でブロックチェーンの研究開発が進んでいます。
そうした学術研究機関のなかでも、亞洲大學は具体的な提携だけではなく、実質的なサービスやシステムをすでに構築している点で、一歩抜きん出ている印象はあります。
民間企業と歩調を合わせる形で、ブロックチェーンをめぐる技術開発や人材養成が進んでいることがうかがえますね!
亞洲大學による今回のシステム開発によって、将来的には以下のようなビジョンの実現が目指されているようです。
将来的には各種の茶製品について、より多くの茶葉の映像資料を収集し、輸入品が台湾茶に混入する状況を無くすようにしていきたい。
(未來將針對各類茶品,蒐集更多茶葉影像資料,希望杜絕進口混充台灣茶的現象。)
台湾茶のブランド力を守り、さらに向上させていくために必要な技術としてブロックチェーンをはじめとする新たな技術が位置づけられていることがわかりますね。
以下の記事にも書き留めましたが、「農産品×ブロックチェーン」の取り組みは農産品のイメージ向上に一役買っているようです。
なかでも、烏龍茶は世界的にも競争力のある農産品ですから、ブロックチェーンの特性を活用した食品トレーサビリティの重要性は高いように感じます。
こうした具体的な動きが上手く展開していくかどうか…これからもコツコツと情報を追っていきたいと思います!