台湾ではここのところ頻繁に、ブロックチェーンや仮想通貨、さらにはフィンテックやスタートアップに関するカンファレンスやミートアップ、イベントが開催されています。
先日も、2018年12月7日・8日の2日間に台北で「FinTechTaipei2018」というカンファレンスが開催されて、台湾内外の多くの関連企業や官民組織が集まったようです。
こうした場でさまざまなことが公表されて、それらがニュースとして報道されるということもよくあります。
今回は、このカンファレンスで公表された提携の動きが目に留まりましたので、少し書き留めておきたいと思います。
・RAPIDZがNEMと戦略的提携⁉︎
・なぜ、NEMと提携?
・世界的な提携関係が着々と進んでいますね!
台湾の経済紙である「經濟日報」のニュースサイトに2018年12月6日に掲載された記事によると、スイスで設立された「RAPIDZ」が「FinTechTaipei2018」の場で、「NEM」とのグローバルな戦略的提携を発表したそうです。
ちなみに、記事の写真のおふたりは、RAPIDZ台湾エリアの責任者である温倚君(Brenda Wen)さん(左)と、NEM台湾エリアの責任者である方映涵(Flora Fang)さん(右)です。
RAPIDZが提供している仮想通貨ウォレット・仮想通貨決済システムである「RAPIDZ PAY」の公式ウェブサイトには日本語版も用意されています。
この公式サイトには「RAPIDZ PAY」の技術について、以下のように説明されています。
RapidzPayのモバイルアプリは、あらゆる技術的な煩わしさを取り除いてくれます。そのため仮想通貨を法定通貨で直接、素速く簡単に購入できます。ユーザーフレンドリーなインターフェイスは、仮想通貨市場で情報に基づいた判断を下すのに必要な、あらゆる情報とツールへの手軽なアクセスを提供します。
グローバル・アドレス・ブックからは、ユーザーネームが一つだけ割り当てられます。これによってアドレスの不明確さが排除され、あなたのデジタル・ウォレット全てがリンクされます。ユーザーネームはブロックチェーンに保存されるため、友達のアドレスを素速く簡単に見つけ出してすぐに利用できます。
RAPIDZ PAYは単なる仮想通貨ウォレットというわけではなく、送金や決済を一体として実現するワンストップサービスを提供しようとしていることがうかがえますね。
「經濟日報」の記事によれば、RAPIDZはこうした決済システムによって、ブロックチェーンをめぐる以下の2つの課題を解決することを目指しているということです。
まず、先端的なブロックチェーン技術および複雑な技術は、一般の人々がブロックチェーンコミュニティに入ることを妨げている。次に、ブロックチェーン関連製品のDAPP SDK(分散型アプリケーションソフトウェア開発キット)の複雑さが、エコシステムの発展を妨げている。
(其一,前端的區塊鏈科技及複雜的技術,阻礙一般大眾加入區塊鏈社群。其二,區塊鏈相關產品中DAPP SDK(分布式應用程序軟體發展錢包)的複雜性,阻礙了生態系統的發展。)
こうした課題に対して、シンプルなソリューションを提供することによって、業界の発展を進めていこうとしているようです。
今回のRAPIDZとNEMとの提携について、RAPIDZの台湾エリア責任者の温倚君(Brenda Wen)さんは「經濟日報」の記事のなかで、RAPIDZユーザーの拡大と技術的協力の2側面で効果が期待できると語っています。
台湾のブロックチェーン・仮想通貨専門ニュースサイト「幣特財經Bitnance」に掲載されたRAPIDZの記事では、今回の提携によって、「将来は双方のエコシステムを統合し、フィンテックとブロックチェーンの応用を共同で推進していきたい(未來將整合雙方生態圈,共同推廣金融科技與區塊鏈技術的落地應用。)」と説明されています。
今回の提携が台北のカンファレンスで公表されたのには理由があり、RAPIDZとNEMの双方とも、台北に拠点を開設しているという共通点が関係しているようです。
「幣特財經」の記事のよれば、RAPIDZは2018年11月に台湾に拠点を構え、わずか1か月のうちにNEMとの提携を発表するとともに、台湾の仮想通貨取引所であるBitoEX(幣託)ともすでに提携しているということです。
また、NEMについては以下の記事にも書き留めましたように、2018年10月に台北に拠点を開設していますので、どちらもこれから台湾でユーザー拡大・コミュニティ形成を積極的に進めていこうとしていることがうかがえます。
今回の提携によって、ブロックチェーン・仮想通貨に関するコミュニティの一層の拡大が意図されているようですので、これからの台湾での盛り上がりが楽しみですね!
「經濟日報」の記事によれば、RAPIDZはスイスに本社を置くと同時に、台湾とタイに拠点を開設し、アジアのマーケットを視野に入れながら、グローバルな展開を着々と進めているようです。
また、NEMはすでに世界中に強固なコミュニティが形成されていることで知られていますね。
今回の提携によって展望されているコミュニティの発展は、台湾内にとどまらず、日本も含めた各地に波及していくのではないかなと思います。
仮想通貨のマーケットが冷え込むなかで、仮想通貨決済をめぐる状況も決して良好ではないように感じます。
そうした状況のもと、RAPIDZの動きは着実な技術と地道なコミュニティづくりを同時に進めていくものとして、前向きな動きではないかなと感じました。
今回の提携がどのような形で発展していくのか、これからもコツコツと追いかけていきたいと思います!