ブロックチェーンを含め、世界を変えるような新たな技術をめぐる開発が世界中で活発におこなわれていますね。
以下の記事に書きましたが、2018年6月に台北で開催された国際的なICT・IoTに関するイベントである「COMPUTEX TAIPEI2018」の重点テーマとして、「5G、ブロックチェーン、AI、IoT、イノベーション・スタートアップ、e-sports・バーチャルリアリティ」が挙げられていました。
ここに挙がっているトピックは、それぞれ単体で多様な技術やサービスが開発・展開されていますが、それぞれがコラボレーションすることによってさまざまな問題を解決することが期待されています。
今回は「IoT×ブロックチェーン」の新たな取り組みが台湾で始まったというニュースを目にしたので、少し書き留めておきたいと思います。
(文中の日本語訳は、ざっくりとした粗訳です。参考までにご覧ください(^^;)
・TIOTAがSDChainと提携してブロックチェーンを導入!?
・SDChainって?
・TIOTAはIoTの国際的な連携を目指す!?
・技術の提携はグローバルに…
ブロックチェーン開発企業の「SDChain」が2018年7月18日に公表したプレスリリースによると、SDChainが「台灣物聯網協會(Taiwan Internet Of Thing Alliance,TIOTA)」と提携して台北で開催した「物聯網賦能區塊鏈生態系(IoT Enabled Blockchain Ecosystem)」に関するシンポジウムの席上で、ブロックチェーンを利用したIoTシステムサービスを開始したことを明らかにしたようです。
台北で開催されたというシンポジウムは、TIOTAの公式ウェブサイトによれば、2025年にはIoTの経済規模が6.2兆米ドル、IoTに接続する機器は250億台に及ぶという時代を控え、IoTをいかに安全に、正確なデータ転送に基づいて運用していくかということについて、ブロックチェーンの特質に注目したうえで、以下のような目的のもとで開催されたと説明されています。
區塊鏈就是物聯網應用邁向普及化的最佳解答,確保資料的可信度與安全性,並賦予資料價值,將其轉變為可計價的數位代幣 (Token),讓物聯網在實際應用過程中產出的巨大資料,成為此代幣的信用基礎,並建立激勵物聯網快速發展的生態系統。
(ブロックチェーンはIoTアプリが大きく普及していくための最も良い答えであり、ドキュメントの信用性と安全性を確保し、ドキュメントに価値を与える。そうした変化は計測可能なデジタルトークンによって実現し、IoTによって実際のアプリの使用過程のなかで生み出される膨大なドキュメントがこのトークンの信用の裏付けとなり、IoTの速やかな発展を促すエコシステムを形成する)
文章がわかりにくいのは僕の翻訳の問題があるのだろうと思いますが、ブロックチェーンの技術的特性を利用した信用性と安全性の確保を活かす形で上記のIoTの持つ課題を解決していくとともに、トークン発行によるエコシステムの構築が目指されているらしい…ということがうかがえます。
このあたりのことを理解するために、基盤技術を提供しているSDChainの事業内容を少し見てみたいと思います。
「SDChain(六域链、SixDomainChain)」は公式ウェブサイトによれば、以下のことを実現するために創設されたと説明されています。
全球首个融合物联网“六域模型”国际、中国国家标准和分布式区块链参考架构标准的去中心化公有区块链生态体系。
(世界で初めてIoTの「シックスドメインモデル」の国際規格、中国国家規格、分散型ブロックチェーンのリファレンスアーキテクチャー規格を融合させた、非中央集権型パブリックブロックチェーンエコシステムのことである)
ここで言われている国際規格と中国国家規格は、具体的には「ISO/IEC 30141 DIS」と「GB/T33474-2016」という、IoTに関する統一規格が挙げられています。
こうした統一規格の準拠しているという「シックスドメインモデル」とは、IoTの実際的な管理運営や持続的なビジネスの展開を目指すうえで、以下の6つの「ドメイン」を接続させて、一括的に運用していくモデルのことだと説明されています。
用户域(User domain)
服务提供域(Service domain)
感知控制域(Sensing Contorol domein)
目标对象域(Target domain)
资源交换域(resource Exchange domain)
运维管控域(Operation and Governance domain)
このような各領域を連携させながら、IoTに関する技術開発からユーザーインターフェースまでを包括するプラットフォームの構築を目指しているようです。
また、より具体的に、「IoT×ブロックチェーン」によって実現する項目として、以下のような多様なサービスが想定されています。
数字资产发行、用户信用身份管理、P2P通信、加密算法、共识算法、智能合约、跨链合约模式、市场化共识激励、去中心化DApp、新业务快速接入等
(デジタルアセットの発行、ユーザートラストの身分管理、P2P通信、暗号アルゴリズム、信用アルゴリズム、スマートコントラクト、クロスチェーンコントラクトモデル、マーケット信用インセンティブ、非中央集権型DApp、新たな業務のスピーディなアクセスなど)
…う~ん、細かく見ていくとわかるものとわからないものが混在しているのですが、ひとつひとつを解説できるほどの知識はまだまだ持ち合わせていないので、お恥ずかしい限りです(^^;
yoshihiroさんの記事で基礎から勉強していかないと…
ただ、「跨链合约模式(クロスチェーンコントラクトモデル)」というトピックが挙げられているように、IoTに関するブロックチェーンをつなぎ合わせるプラットフォームの構築を目指していることはうかがえます。
ブロックチェーンの技術を用いて、爆発的に利用者と市場規模が拡大していくと予想されているIoTの運用プラットフォームの包括的な構築を目指すという、大きなビジョンを掲げたプロジェクトなのだな…ということがわかります。
また、公式ウェブサイトには、既にブロックチェーンエクスプローラーと、SDChainが発行しているERC-20独自トークン「SDA」の専用ウォレットがリリースされています。
こうした目に見えるサービスが、上に挙げた包括的なプラットフォームの構築へとどのようにつながっていくのか…これからの展開に注目していく必要がありますね。
このSDChainと提携してシンポジウムを開催したTIOTAは、公式ウェブサイトによれば2011年4月に結成された、IoTの発展を目指す産官学連携組織だということです。
上に挙げたSDChainのプレスリリースには、TIOTAが財団法人資訊工業策進會、公的な研究所である工業技術研究院、Secom Taiwan(中興保全)などを含めた300を超える関連団体・企業によって結成されたと説明されています。
ちなみに、「TIOTA」という名称を見ると「IOTA」を思い出してしまいそうになりますが、TIOTAは「Taiwan Internet Of Thing Alliance」の略称で、IOTAとは特に関係はないようです。
以下に示したTIOTAの理事長である梁賓先さんのインタビュー記事によると、TIOTAは台湾におけるIoTの発展に尽力するために、中国を含めた諸外国の関係組織との連携を積極的に進めているとのことです。
たとえば、記事には「北京全球物聯網大會」や「上海物聯網峰會」といった中国のIoT関連団体と共催でIoTに関するイベントを開催した事例が挙げられています。
上に挙げたSDChainも公式ウェブサイトによれば、中華系の人々を主要メンバーとしてカナダで結成されたブロックチェーン開発企業であり、世界的にさまざまな組織・。企業と提携することによって、台湾のIoTを発展させていこうという姿勢がうかがえます。
インタビュー記事には、「IoT×AI」の取り組みについても語られていて、IoTとさまざまな最新技術とのコラボレーションを積極的に進めている様子が垣間見えますね。
ブロックチェーンはもちろんのこと、IoTもAIも、世界各国で開発競争が激しくなっていますが、技術そのものはグローバルに世界を変えていく可能性を秘めているものであり、その開発は本来的には世界共通で、提携しながらおこなわれていくべきものだと考えています。
技術はボーダレスに広がっていく…ということを実感しますが、具体的にボーダレスに拡大していくためには、そうした技術を担う人々がボーダレスな動きを実際に行っていく必要があると思います。
SDChainとTIOTAの今回の提携は、ニュースとしては台湾という「ローカル」なところで展開されている動きですが、それぞれの組織・企業の動き方としては、「グローバル」に世界的な連携を視野に入れたものとして位置づけることができます。
もちろん、この提携から生み出されるサービスも、決して台湾という地域にとどまるものではなく、台湾から世界へとボーダーフリーに利用されていくサービスになっていくと思います。
そうした世界的な動きに発展していくことに注意しながら、これからの動きをコツコツと追いかけていきたいと思います!
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