
(台北郊外の北投の温泉博物館。木造の建物が素敵ですよ)

前回の記事で、台湾の大手金融機関である華南グループが、学生向けのフィンテックコンテストを開催し、フィンテックの人材発掘に尽力している動きを書き留めました。
こうした金融機関の動きに限らず、フィンテック・ブロックチェーンの開発に携わることができる人材をいかに養成し確保するかという課題は、世界的な課題もありますから、台湾でもさまざまな企業が多様なアプローチを展開しています。
こうした課題に向き合っているのは企業や業界だけではなく、行政機関や公的機関も人材発掘を含めたフィンテック・ブロックチェーンへのアプローチをいろいろな形で進めているようです。
今回は、台湾の行政機関や公的機関のこうした動きを少し目にしましたので、記事として書き留めておきたいと思います。
・金融總會はFinTechSpaceで学生をサポート⁉︎
・金融を監督する行政機関のトップが大学生と議論⁉︎
・若者の業界参入を行政的にもサポートしていく?
台湾の経済紙「經濟日報」が2018年10月15日に掲載した記事によれば、台湾の金融業の発展を担う「台灣金融服務業聯合總會(Taiwan Financial Services Roundtable、金融總會)」の秘書長(事務局長)である吳當傑さんが、總會が運営する「FinTechSpace」で学生さんのフィンテック参入を後押ししていく方針であることを明らかにしたそうです。
具体的には、大学と協力してフィンテックに関するカリキュラムを開設し、学生さんが直接的にフィンテックの開発に関わっていけるような環境を整備するという方針のようです。
金融總會は公式ウェブサイトによれば、2005年5月にそれまであった複数の金融業界の自主団体を行政機関である金融監督管理委員會(金管會)の管理監督のもとで統合することで開設された業界団体だということです。
こうした結成の経緯からもうかがえるように、台湾の金融業発展を使命とする官民協働組織だといえますが、そうした活動の一環として金融總會はフィンテック推進のためのコワーキングスペースである「FinTechSpace(金融科技創新園區)」を開設・運営しています。
FinTechSpaceは公式ウェブサイトによれば、2018年9月に開設されたばかりのコワーキングスペースで、「デジタルサンドボックス(數位沙盒)」や「レギュラトリークリニック(監理門診)」といった、技術開発環境の提供から起業に関する法的サポートまでを一括しておこなう施設として位置づけられているようです。
上に挙げた「經濟日報」の記事によれば、FinTechSpaceにはまだ開設から1か月ほどしか経っていませんが、すでに37の開発グループが入居しているそうです。
そうした環境に学生さんを引き込むことで、今後需要の拡大が見込まれているフィンテック、とりわけ、「行動支付(スマホ決済)」、「區塊鏈(ブロックチェーン)」、「大數據(ビッグデータ)」の開発に関わることができる人材の養成と確保を進めていく狙いがあるようです。
公的機関による具体的な環境整備を基にした人材養成の計画は、これからの展開に期待が持てますね。
「經濟日報」のニュースサイトに2018年10月15日に掲載された、上に挙げた記事とは別の記事のなかで、金管會のトップである主任委員の顧立雄さんが、国立政治大学で学生さんたちとの直接対話に臨み、ICO(首次代幣發行)やレギュラトリーサンドボックス(監理沙盒)について意見交換をおこなったことが報じられています。
以下の記事にも書きましたが、顧立雄さんは今、まさに議論が進んでいる「洗錢防制法(マネーロンダリング防止法)」に仮想通貨が位置づけられることになった場合の直接的な責任者になる人物として、発言が常に注目されているキーパーソンです。
記事では、学生さんから、中国でICOが締め出されてからその資金が台湾に流入してきているが、政府としてはどのように捉えているのかという、ストレートな質問が投げかけられたようです。
この質問に対して、顧立雄さんは投資的な性格を持つICOは「有価証券」として位置づけられる可能性があるため、台湾の証券に関する法律である「證券交易法」に基づいて処理する必要があると述べたようです。
ただ、仮想通貨は今のところ投機的性格が強いため、価値保存の機能が十分に期待できないため、政策として證券交易法で管理することが妥当であるかどうかにはなお検討を要すると述べたということです。
このあたりの見解には、世界的な潮流を視野に入れつつ、現在進んでいる法整備の動向も意識されているようで、なかなか興味深いやりとりがなされたのではないかと感じています。
国立政治大学は以下の記事にも書き留めましたように、銀行と提携してブロックチェーンを使ったスマホ決済システムの試験運用をおこなうなど、ブロックチェーンの開発に積極的な教育機関です。
こうした場に行政機関のトップが出向いて直接対話をおこなうというのは、行政的な課題として、ブロックチェーンを含めた新たな技術開発の裾野を広げていこうと考えていることがうかがえ、これからの展開に期待が持てますね。
台湾では、たとえば新北市が「ブロックチェーン特区」を設置して、スタートアップの育成を進めていく方針をすでに打ち出しています。
他にも、地方自治体のなかには「スマートシティ」への移行を目指して、ブロックチェーンの導入を積極的に進めていこうというところが出てきています。
こうした動きと並行する形で、記事に書き留めたような中央行政機関や公的機関による取り組みも進んでいることがうかがえますね。
多様な分野へのブロックチェーンの導入には、開発に携わる人材の養成と確保を欠かすことはできませんから、行政機関・公的機関も積極的に学生さんたちへのアプローチを展開しているのかなと感じます。
とりわけ、台湾が国際的にもこうした分野で存在感を高めていくためには、人材の養成が喫緊の課題であるといえます。
そうしたところからも、こうした動きがこれからも活発に展開されていくと予想されますので、引き続きコツコツと追いかけていきたいと思います!















