(台湾の最南端、墾丁にある大尖山。墾丁といえばリゾート地として海が注目されますが、山も自然豊かですよ。晴天の日も多いので青空に映えます)
市場的には低空飛行が続く仮想通貨ですが、その投資商品としての価値が向上するうえで、仮想通貨取引所が果たす役割は少なくないですよね。
日本でも取引所をめぐる動きは、ポジティブ・ネガティブ双方の面で多様な動きが現れていますが、台湾でも同様にいろいろな動きが活発になっています。
以下の記事にまとめてありますが、台湾にはいろんなタイプの取引所が開設されています。
今回はこのうち、台湾の大手仮想通貨交換業者MaiCoinが新たな取引所開設を進めているということで、少し書き留めておきたいと思います。
・MaiCoinがシンガポールに取引所開設予定
・MaiCoinとZilliqaの提携って?
・セキュリティトークンの取引は注目されている?
台湾の投資系ネットニュースサイト「Money錢」が2019年1月31日に掲載した記事によると、台湾の大手仮想通貨交換業者である「MaiCoin」が、パブリックブロックチェーンプラットフォームを開発・運営する「Zilliqa」と提携して、シンガポールでセキュリティトークンの取引所である「Hg Exchange」の開設を進めているということです。
記事では、Hg Exchangeについて、「東南アジアで初めてのプライベートメンバーズ制度によるセキュリティトークン取引所(東南亞首間私有會員制度的證券型代幣交易所)」として、シンガポールの「FinTech Regulatory Sandbox(金融科技監理沙盒) 」の制度に申請する形で設置が目指されているそうです。
このHg Exchangeの特徴については、以下のように説明されています。
この異業種間提携は、未上場企業へセキュリティトークン取引と情報プラットフォームを提供し、投資情報の透明性を引き上げるだけではなく、取引市場全体の効率性を向上させることにもなる。
(這項異業合作,提供未上市公司一個證券型代幣交易與資訊揭露的平台,不僅提高了投資資訊的透明度,更提升了整體交易市場的效率。)
この点、Hg Exchangeの会員募集専用ウェブサイトには、以下のような説明が冒頭に掲げられています。
Hg Exchangeは、民間企業の株式の発行と取引を支えるための業界の共同の取り組みにおいて、主要な金融仲介業者と新興のテクノロジーイノベーターを結びつけます。
(Hg Exchange unites leading financial intermediaries and emerging technology innovators in a collaborative industry effort to underpin the issuance and trading of private company shares.)
とりわけ、新興企業にとっては資金調達の新たな道を開くとともに、投資家に対しても安全な資産の選択肢を増やすということが目指されているようです。
取引所の専用サイトによれば、「Hg Exchange」の「Hg」には「Mercury」がイメージされていて、ローマ神話における「the messenger to the gods」という役割を世界的な投資環境のなかで果たしていくという意味合いが込められているそうです。
そうした仲介的な役割を果たすうえで、MaiCoinの取引所としての実績とZilliqaの技術が重要になってくるということのようです。
今回の取引所開設を主導しているMaiCoinについては以下の記事で触れましたが、2014年に台湾で開設された「老舗」の仮想通貨販売所で、2018年には「MAX」という台湾で初めての仮想通貨取引所を開設したことで知られています。
記事にも書きましたが、台湾では「BitoEX」と並んで「二大仮想通貨交換業者」と言われていて、台湾の仮想通貨取引をリードする存在だと位置づけられています。
そうしたMaiCoinが新たな取引所開設にあたって提携相手に選んだのが、トランザクションのスケーラビリティ問題を解決する技術を開発しているZilliqaでした。
Zilliqaについては蟻巣ジョシさんがわかりやすい記事を書かれています。
蟻巣ジョシさんの記事はZilliqaの特徴を理解するには本当にわかりやすいのでぜひ読んでいただきたいのですが、安定した取引の速度向上を実現するために欠かすことのできない技術を開発しているということがわかります。
Zilliqaの公式ウェブサイトには、「Our Ecosystem Partners」として日本のDMM.comやLayerXが名を連ねているように、グローバルかつ多様な企業と提携していて、積極的な技術活用を進めているようです。
今回のMaiCoinとの提携も、自らが開発した技術を具体的なフィールドで活用するための取り組みだということがうかがえますね。
(追記:Zilliqaが1月31日にメインネットローンチしたことを記事に入れるのを忘れていました。昆布森ちゃんさんのくださったコメントで「あ!ちゃんと入れとかないと!」と思いましたので追記します。昆布森ちゃんさん、ありがとうございます!)
Hg Exchangeの開設は「東南アジアで初めてのセキュリティトークン取引所」と評されていますが、セキュリティトークンの取引は「STO(Security Token Offering)」というワードとともに、新たなトレンドとしてすでに多様な進展を見せているようです。
STOと取引所の近年の動向については、CoinChoiceの朱子川さんのコラム記事がわかりやすくまとめられています。
また、ALISのうめきちさんの記事にも触れられていますように、STOはICOに比べて安全・安心な投資方法のひとつとして注目されているんですね。
そうした世界的に求められている環境を提供するためには、MaiCoinの取引所としての実績とZilliqaのスケーラビリティ問題を解決する技術が有効だと認知されたことが、今回のHg Exchange開設の動きへとつながっているといえそうです。
2019年中の開設が目指されているということなので、これからの動きにコツコツと注目していきたいと思います!