(台湾でなぜかいただいたNEMバッジ、ALISペンとともに撮ってみました)
さまざまなブロックチェーンに関する技術が開発されることによって、どのような技術がシェアを拡大し、より早く社会実装が進むかということに注目が集まっていますね。
僕もコツコツとデータとしてまとめている中国のCCIDによるブロックチェーンの評価リストは、そうした動きを俯瞰するためのひとつの指標になりつつあります。
このリストでは評価があまり高くない「NEM」が台湾進出というニュースを目にしましたので、少し記事として書き留めておきたいと思います。
・NEMの台湾オフィスが正式に開設!
・XEMがBitoProに上場予定⁉︎
・NEMの中華圏・東南アジアでの展開に期待?
台湾の報道機関である「中央通訊社」が2018年10月31日に報じた記事によると、「NEM」(新經鏈)の台湾オフィスが正式に開設され、台湾の産業へのNEMの活用をより一層積極的に推し進めていくことが明らかになったということです。
今回のオフィス開設に合わせて開催された記者会見で、NEMの台湾エリアの代表(負責人)を務める方映涵さんは、台湾での拠点開設によって、今後、以下のような動きを展開していくと説明したそうです。
NEMの台湾における拠点開設から、多くの企業によるブロックチェーン技術導入のサポート以外に、各大学・大学院や企業と合同でインキュベーションセンターを開設し、ブロックチェーン教育や人材養成を推進していきたい。
(NEM在台灣成立據點後,除了協助更多企業應用區塊鏈技術,將推動區塊鏈教育以及人才培養,與各大專院校和企業合作成立孵化中心。)
NEMはまた、台湾の金融サービス業や医療産業にブロックチェーン技術を導入していきたい。伝統的な金融サービス業でいえば、ブロックチェーンの真の改ざん不可能性や即時決算という特性を活かして、銀行の電子手形や商業手形などをブロックチェーン上に記録することができよう。
(NEM也希望能為台灣的金融服務業及醫療產業引入區塊鏈技術。以傳統金融服務業來說,可以將銀行的電子票據、商業匯票等記錄到區塊鏈上,運用區塊鏈真實不可篡改而且可即時清算的特性。)
そのほかに、コンビニでのポイントサービスへの活用や食品トレーサビリティへの活用といったことが、これからの方向性として示されたようです。
記事によれば、こうした事例にはNEMを活用してポイント交換プラットフォームを構築したフィリピンの「LoyalCoin」の成功や、中国での食品トレーサビリティシステムの構築といった実績が意識されているとのことです。
NEMのフィリピンでの活用状況については、CryptoStreamの以下の日本語レポート記事が、中国での活用状況については、NEM中国のウェブサイトから活発な様子をうかがうことができます。
また、NEMTaiwanの公式Facebookページにも、NEMフィリピンのミートアップの様子が記事としてアップされるなど、意識的な連携が展開されているようです。
世界中で導入が進むNEMの活用サービスが、台湾でもさまざまな形で実装されていくビジョンが描かれているようですね。
また、台湾の大手紙「自由時報」のウェブサイトに掲載された記事によれば、今回の記者会見では、NEMが発行するトークン「XEM」が台湾の大手仮想通貨取引所である「BitoPro」に上場予定であることが公表されたそうです。
BitoProについては以下の記事に書き留めていますが、取引所を運営する「BitoEX(幣託)」は、ICOでの資金調達や独自トークン「BITO」の発行など、台湾の大手取引所として常に注目されています。
XEMは2018年11月7日にBitoProに上場予定で、当面は、台湾元、アメリカドル、イーサリアムとのペアで取引がおこなえるようになるそうです。
今回の記者会見に合わせて、BitoEXのCEO(執行長)である鄭光泰さんはXEMの上場について、以下のような期待感を示したそうです。
NEMの発展は非常に早く、仮想通貨の世界では指標としての意味を備えている。両者の提携によって、強者連合としてより安全でスピーディなサービスを提供し、あらゆるエコシステムを完全なものにしていく。
(NEM發展極早,在虛擬貨幣界也具有指標意義,所以雙方合作,代表強強聯手提供可更安全快速的服務,讓整個生態系更完整。)
NEMが台湾でこれから描いている積極的な事業展開ビジョンは、台湾の大手取引所によるバックアップも大きく影響しているように感じられますね。
こうした台湾での動きとは別に、NEMの中華圏での動きも少しずつ目につくようになってきています。
とりわけ、2018年9月発表された、香港発の投げ銭プラットフォームである「GIFTO」とNEMとの提携は、中華圏での大きな動きのひとつかなと感じました。
GIFTOについては以下の記事に少し書き留めましたが、さまざまなSNSサービスと連携し、中華圏で多くのユーザーを獲得しているブロックチェーン活用プラットフォームです。
大規模な流出事件が起きたり、CCIDによる評価では下位に位置づけられたり、表面上はなかなか良いニュースが見えてこないNEMですが、コミュニティの強さが評価されたり、地道な提携など、いろいろな動きを見せているんだなということを感じます。
台湾での動きやGIFTOとの提携などを見ていると、中華圏や、あるいはフィリピンなどの東南アジア地域で、これから活発な展開が見えてきそうな雰囲気もあるようです。
どのような範囲でどのような動きが具体化していくのか…こうしたプロジェクトの動きも、コツコツと追いかけていきたいと思います!