「ブロックチェーンは素晴らしい!」と誰もが叫んでいる一方で、多くの人や企業がブロックチェーンテクノロジーのキャッチアップに苦慮している。ブロックチェーンはそんなに素晴らしいテクノロジーなのに、なぜ仮想通貨に続くディスラプションは生まれないのか?
いま一度、この宗教のようなブロックチェーンの盛り上がりを冷静に見直した方がよい。
■なぜブロックチェーンビジネスは成功しないのか
最も大きな原因は、特に解決したい課題がないまま、ただ「ブロックチェーンを活用したい」というモチベーションだけで議論が始まっている点だと考える。
世の中では「既存テクノロジーにできなくて、ブロックチェーンにできることは何か?」という点がほとんど議論されず、「ブロックチェーンはすごい」と盲目的に言われがちである。しかし実は、ブロックチェーンのユースケースと考えられていることの多くはブロックチェーンが無くても実現可能である。
ブロックチェーンの価値とは、管理者不在でも情報の信頼性を担保できること。この価値を正しく理解し、世の中の課題に紐づけることができなければ、ブロックチェーン活用は成功しない。
■ブロックチェーン活用のポイントとは?
この宗教から抜け出し、真にブロックチェーンならではの魅力を活かして新しいビジネスを生み出していくために、考慮すべき点は以下の3つだ。
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1社内に閉じた仕組みをブロックチェーンで構築することは、ただDBを分散させるのと同じであり、ブロックチェーン化のメリットは生まれない。したがって、他企業や他トークンエコノミーとの連携を前提とすべき→契約管理、個人認証など
「非中央集権」に囚われすぎない
ブロックチェーンは「非中央集権」と言われるが、リップルではリップル社が、ビットコインでも取引所が手数料を取っており、プラットフォーム内部に属する企業にお金が集まっていくことについては、これまでのプラットフォームビジネスと大きな違いはない。すなわち、ただ分散させるのではなく、これまで集権化されていたものを分散させた上で、自社が新しい「中央」になれるような、バランスの取れたプラットフォーム設計を行うことが重要→送金など
数の上限があるものに注目する
「トークン」がこれまでのデータと最も違う点は、数に上限があること。そのため、総量が決まっているものの方が、ブロックチェーン化との親和性が高い→シェアリング等
まずはこの視点に立ち、これらが世の中の課題に対してどうFitするのかを冷静に考えることが、周りに流されてブロックチェーンで失敗しないための方法論だ。